グローバル・マネー・ジャーナル

2017.1.18(水)

トランプ氏の雇用創出方針に潜む製造業の課題(大前研一)

グローバル・マネー・ジャーナル

トランプ氏の雇用創出方針に潜む製造業の課題(大前研一)2017/01/18(水)


大前研一学長総監修 資産形成力養成講座 グローバル・マネー・ジャーナル 「最新・最強・最高」クオリティの金融情報とデータ!

 第475号 資産形成力養成講座メルマガ

大前研一
 資産形成に役立つ情報を、大前研一ならびに一流講師陣から学ぶ!

【新春お年玉キャンペーン!】新年学習応援7万円引き他 1月26日(木)15時まで

 2017年は資産運用にとってどんな年になるのか? 考え方から最新情報まで幅広く提供してまいります!「自ら考え、自ら行動を起こし、自らの手で資産を形成すること」 答えのない時代を切り開く知恵の獲得をサポートしてまいります。

【新春お年玉キャンペーン!】新年学習応援7万円引き他 1月26日(木)15時まで

【無料講座説明会】東京(1/23)、オンライン(1/19)、大阪、名古屋、広島、福岡でも開催!

今回のテーマ

トランプ氏の雇用創出方針に潜む製造業の課題(大前研一)

【オーストラリア】都市部の住宅価格2016年に10.9%上昇

 アメリカの住宅情報大手、コア・ロジック社がまとめた調査結果によると、2016年のオーストラリア都市部の住宅価格が、前年比10.9%上昇したということです。これは7年ぶりの上昇幅で、人口の増加や低金利を背景に、住宅投資が活発化していることが要因とみられます。

 オーストラリアの場合は、住宅が安いということで有名になったわけですが、今シドニーの中央価格帯は7300万円と、日本でも見られないほどの値段になっています。住宅価格の対前年騰落率を見ると、オーストラリアの中ではシドニーが最も伸びています。こうした価格が伸びるところにはほとんど中国人が入ってきていると言えます。

 中国人には2種類あります。一つは、脱中国、オーストラリア国籍をとって、すぐにオーストラリア国内で活発に商売を始めるというケースで、これは若い人が多いです。クイーンズランドの南半分だけでも25万人もそういう人たちがやってきていて、それにより商業がとても活発になっています。オーストラリアは旧態依然としたところもあるものの、新興国のような活況もあるのは、ものすごい数の中国人が移住してきていることによるものなのです。

 そしてもう一つは、そうした人たちを頼って中国のお金持ちが資金を移しているケースです。シドニーの価格が大きく上がっている理由は、シドニー湾の非常に景色が良いところにある住宅などを中国人が買うと、価格が3倍に跳ね上がるからです。このような動きを全て合わせてシドニーは15%の価格上昇となっているのです。

 私自身もゴールドコーストに不動産を持っていますが、中国人に来てほしいものだと思います。しかしまだ中国人はそこまでは来ていません。ただ、正月に訪れた際には、バスに乗って不動産買い付けツアーをする中国人が目立ちました。ソブリン島の中まで入ってきて、マイクロバスから1人ずつ降りてきては写真をたくさん撮っていました。こうした動きでシドニーは3倍になったので、ゴールドコーストも買われることを期待しています。

 一方、オーストラリアに住む人たちにとっては自分たちの息子や娘が家を買えなくなってしまうのでとんでもないことだと言えます。ただ、FIRBという、外国投資を規制する制度があります。もともとは日本からの投資が増えたためにできたもので、新しい不動産を買う事はできるものの、それを外国人に売ることはできないというものです。日本人同士が取引をしていて大変な高値になってしまった経緯から生まれたものです。

 購入するときにはパーマネントビザを持っているかどうかが問われるわけですが、中国人は既に中国籍を放棄して現地のパスポートを持っている人が非常に多く、方策があれば対策ありという状況になっています。中国人は外国人なので、FIRBには引っかかるのですが、裏でパーマネントビザを持っている人に名前を貸してもらい、弁護士などを入れて自分のものにしているようです。そのうちに時間があれば国籍をとるということなのでしょう。日本人のときにはこの制度で取引がばたりと止まったのですが、中国人のケースではまだまだ続いているということなのです。

【アメリカ】トランプ氏の雇用創出方針に潜む製造業の課題

 アメリカの貿易収支は、サービスが非常にプラスとなり、財がマイナスになっている状況です。これはアメリカの選択による問題です。主な貿易相手国別の収支を見ると、中国に対するマイナスが最も大きく、そしてドイツ、日本となっています。

 しかしトランプ氏はドイツの事には全く触れず、中国と日本をいつも対象にしています。またメキシコについても厳しく批判していますが、NAFTAにはカナダも含まれます。カナダとの間には塀を作るのかということになりますが、カナダについても失念しているようです。NAFTAにカナダが入っているということが、彼の頭の中には無いのです。

 一方、サービス収支を見ると、一位が中国、そしてカナダ、ブラジル、日本と続きます。これはアメリカにとってプラスの順なので、この点と相殺して考える必要があるのです。物の収支だけの問題では無いのです。

 ニューズウィーク誌の記事でも、事業を息子に譲って退くことができるのかと書かれています。頼っているイヴァンカとその夫はホワイトハウスに入り、自身の二人の息子たちに事業を引き継ぐとしていて、フィリピンのトランプタワーの建設など、息子たちが出向いているようですが、こうしたものが世界中に何十もあるのです。実際にコンフリクトがないのか懸念されています。

 さらに、最近ワシントンDCのホワイトハウスの側に新しいトランプタワーができました。外国からの要人が来た時に、一行がそこに泊まるとなると、それは贈収賄になるのではないかと指摘され、彼は急に、そのお金を国に返すなどと言い出しているのです。本当に事業を人に渡すと言うならば、トランプタワーでなく、別の名前にすればいいのです。結果的にこうした場所をプロモーションに使うことはやはり贈賄になるということで、国にお金を返すと言うものの、どうするのか疑問に思われます。

 また、通商政策については、やはり彼のやり方はマイナスになります。アメリカは自由貿易協定NAFTAがあるカナダとメキシコはほどほどに使っていて、それによりコスト競争力が出ているのです。それらを無理にアメリカに持ってくることで、アメリカ企業の競争力が削がれることにつながります。

 トヨタは5年で1.1兆円の投資をすると言っていますが、これはトヨタにとっては誤差の範囲です。トヨタはメキシコ工場を止めるわけでもありません。そして、トランプ氏が間違っている点は、実は非難されたカローラはカナダで作っているのです。それをメキシコのグアナファト州で作ろうとしているわけです。

 さらにバハで作ると発言しましたが、実際にバハで作っているのはタコマであり、トランプ氏の頭は全くクリアではないのです。アマゾンも10万人の雇用と言っていますが、倉庫と配送人ばかりだということです。今回の通商政策は、幼稚園レベルの認識に基づいて、ツイッターで命令をしていると言えるのです。

 一方、日本の国別投資残高はアメリカが圧倒的一位です。この点をトランプ氏にわかるように説明してあげる必要があると思います。彼は日本と中国は同じことをしているという認識ですが、日本の場合は北米が生産基地になっており、トヨタなどは、部品会社も多数連れて行くなど、誰よりも雇用を作っているのです。功績を讃えられてしかるべきだと思います。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 学長
大前 研一
1月15日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
詳しくはこちら

資産形成力養成講座 加藤

 トランプ新米大統領が1月20日に就任します。上院・下院も共和党が過半数を占めたため政策を進めやすい土壌はできましたが、Twitterで世界に影響を与える発言を続けています。今後の米経済をどのように予見し、マーケットに織り込まれていくのか。これまで以上に世界経済についてじっくり考えていく必要があります。

 経済環境を鑑みて投資に活かす。また、資産運用は株式・債券・為替・コモディティ・不動産など多岐に渡り、世界中に金融商品は存在します。総合的な理解や考え方が求められます。世界標準の資産運用を学び、第一歩を踏み出してください!

【新春お年玉キャンペーン!】新年学習応援7万円引き他 1月26日(木)15時まで

【無料講座説明会】東京(1/23)、オンライン(1/19)、大阪、名古屋、広島、福岡でも開催!

資産形成力養成講座では、Facebookページでも金融にまつわる最新ニュースなどご紹介しております。ぜひこちらもチェックしてください。

 それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!