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2017.9.6(水)

EU離脱問題に潜む国民の思惑とは?(大前研一)

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EU離脱問題に潜むイギリス国民の思惑とは?(大前研一)2017/09/06(水)


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今回のテーマ

EU離脱問題に潜むイギリス国民の思惑とは?(大前研一)

【英国】EU離脱問題の最新動向

 ベルギー・ブリュッセルのEU本部で先月31日、イギリスのEU離脱をめぐる第三回交渉会合が終了しました。終了後の会見でEUのバルニエ主席交渉官は、主要分野に於いて大きな進展はなかったと表明、特に600億ユーロ、およそ7兆8000億円ともいわれる清算金の支払いについて、離脱後は法的義務はないと考えていることが明らかになったとして、イギリス側の姿勢を批判、双方の溝があらためて浮き彫りになりました。

 テリーザ・メイ氏が日本に来てお茶でも飲んでいる間に、このようなタフな交渉が行われましたが、溝が深すぎて貿易交渉なんていう程度のものではなく、きちんと清算金を払っていくのかどうかという点が論点になっているように見受けられます。

 今の一連の動きを見ていると、来年の秋には時間切れでもって、イギリスはEUを出ざるを得なくなるのです。テリーザ・メイ氏はちょっと頭が固いので、その辺りがどの程度フレキシビリティがあるのか分かりませんが、今後もう一回国民投票を行うムードが急速に出てくると思います。それで国民投票をした結果、離脱しないという人が恐らく7割近くになって、結局このような下手な交渉ではにっちもさっちもいかないという感じになるのです。

 したがって、イギリスもこんなことならやはり離脱しない方が良いとか、北アイルランドが荒れるのはもう嫌だとか様々な問題がありますので、どこかの段階でテリーザ・メイ氏が少し頭を働かせれば、もう一回国民投票になるのではないかと思います。最後に条件面でなかなか煮詰まらない部分はあれど、それでもハードブレグジットという方に向かいます。

 ソフトブレグジットは要はいいとこ取りで、EU側がNOと言っています。従ってハードブレグジットの方向となり、イギリスには痛い目に遭わせてやろうと手ぐすね引いてEU側は待っているわけです。それで最後にもう一回国民投票に持ち込むということを誰かが実行することになれば、結果として国民は7割近い人が離脱なしという方向に行くと思います。

【北朝鮮】核実験/今後の動向

 日本時間3日午後0時30分ごろ、北朝鮮北東部豊渓里付近でM6.3前後の人工的な揺れが観測されました。朝鮮中央テレビは午後3時から重大報道を行い、ICBM(大陸間弾道ミサイル)搭載用の水爆実験に完全に成功したと発表、去年9月に続く6回目の核実験を公式に認めました。

 これは多分水爆なのだろうと思います。前に言った水爆というのは規模から推測してダーティー水爆というもので、原爆をトリガーにして水爆を作るというものですが、今回のものはM6.3、6.1とも言われています。

 エンジという吉林省の朝鮮族が多く住んでいる地域があるのですが、そこで撮影された映像を見ると、その揺れ方が相当半端ではない揺れ方で、今までであれば大体M5.3 とかM5.4 だったので、これは恐らく水爆であったのであろうと思います。かなり規模が大きいですし、今までの少なくとも10倍以上に相当します。(マグニチュードが一段階増えると、約10倍になるのです。)そういう点からも、水爆であった可能性は非常に高いと思います。しかもそれに成功したと言っていますので、そこまで北朝鮮はきたのかと思います。

 アメリカは最近、北朝鮮の分析を大分修正し、原爆だったら60発くらい持っているのではないかというようなことも言っていますし、そういう点ではウクライナから買ったのか、ロシアが燃料を提供しているのか、そういうところも全部謎のままですけれども、相当な攻撃力を持っています。そしてアメリカまで届くようなミサイル、いわゆるICBMも持ってきたということです。

 それから3つに割れたというのは、映像が乱れたのではないかと思っていますが、アメリカとロシアはMIRBというものを持っていまして マルチヘッドで目的地が違うものを持っているのですが、北朝鮮の場合にはヘッドを切り離した後、ロケットを上手く操縦するような技術はまだ無いので、恐らく3つに割れたというのは映像が乱れたか、あるいは本当は分裂してしまったのかのどちらかであると思います。

ただ、襟裳岬の向こう側に実際落ちたのはどうも1発みたいなので、途中で日本の撮っていた映像がおかしくなったのかなと思います。しかし、いずれにしても先日の地震は水爆であった可能性が高いということです。

【米国】移民めぐるトランプ政権と米企業の対立再燃

 日経新聞は2日、「移民めぐり対立再燃」と題する記事を掲載しました。幼少時に親とアメリカに不法入国した若者に滞在許可を与える制度、DACAの撤廃を検討中のトランプ政権に対し、アップル、グーグルなどの企業TOPら300人あまりが連名で制度の維持を要請しました。制度が無くなれば、およそ80万人の移民が強制送還の対象となります。

 アップル、グーグルなど、いわゆる新興企業には移民の方がたくさん勤めている現状がある為、影響は大きいということになります。

 DACAの取得者の国別一覧を見ると、メキシコが圧倒的に多いのです。中南米、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ペルー、そしてなんと韓国です。ということで強制送還されるということになると、アメリカの企業は相当大きな影響を受けるということになります。

外国出身者と米国で生まれた人の労働者数の推移をみてみると、外国出身者の方が伸びており、特にカリフォルニアなどは(外国出身者の比率が)非常に多いところになります。

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 それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!