グローバル・マネー・ジャーナル

2017.11.15(水)

世界同時株高 リスクオンの背景を探る(藤本誠之)

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世界同時株高 リスクオンの背景を探る(藤本誠之)

【日経平均 予想EPS】

株価について、今後の相場展開を確認してみます。現実を示すEPS(一株あたり利益)と、夢を示すPER(株価収益率)の掛け算が株価となります。EPSが上がれば株は上がるということになります。アベノミクス以降の日経平均株価の動きは大きく値上がりし、今回ぶち抜けた上昇となりました。一方、同じグラフに示した日経平均の予想EPSも足元、一気に上がっています。

決算期が変わることによって、つまり、2017年3月期の予想から、2018年3月期の予想に変わったことによって、EPSは増益を反映して大きく上昇しましたが、株価の方は、北朝鮮問題などでぐだぐだと2万円を抜けきれずにいたわけです。しかし一旦抜けると、一気にEPSの水準に追いついていく動きとなりました。やはり、EPSと株価は細かい動きはよくずれるものの、ざっくりとEPSが上がればそのうちに株価も上がり、EPSが下がる傾向にあると、株価も下げるという動きが見て取れるので、非常に重要な見方だと言えるでしょう。

PERの13倍から16倍までを並行してグラフにして見ると、このところの急騰で15倍を超えてきた形になっています。11月6日現在では15.2倍という水準ですが、過去を見ると15倍をかなり超えているところもあり、まだそれほど割高という感じではありません。平均的には15.5倍程度だと考えると、まだもう少し余地がありそうです。

どこあたりまでかと言うと、例えばEPSが1500円まで行ったとして、PERが15倍というところが2万2252円ですが、今はこれを抜けてきている状態なので、15.5倍まで行くと2万3250円、その辺りが目処になるかと思います。明日にでもその水準を抜けてきてしまう可能性はもちろんありますが、そこまで今回の相場の勢いは続かず、このあたりまでではないかと思います。と言うのも、今回上がった最大の理由というのは、ないのです。これがきっかけだということで株が上がったわけではなく、複合的に上がったのです。

もともと、EPSは上がっていたので、株は上がるはずだったのです。上がるものだったのが、北朝鮮問題や様々な理由で抑えられていたわけです。そしてそうしたものが少し取れたので上がっていったというのが、今回の上昇の理由だと思います。そしてそれ以上強いかと言うと、やはり皆が、来期の予想が上がると確信できなければ、さらには上がりづらいのだろうと思います。

そうなってくると、日経平均よりも出遅れているのがマザーズです。個人投資家にとってはやはりこのように出遅れているところが注目になってきます。もともと、過去データでは、1月には中小型株は一番上がりやすいのです。11月、12月に仕込んで、来年1月まで見るということで、ここから個別銘柄としては、マザーズ、ジャスダックを含めた新興市場銘柄のリターンが良くなってくるタイミングになるのです。確かに出遅れていて、今までは上がらなかったのですが、逆に言えば、これから上がれば大きく上昇が期待できるので、ここからはマザーズなどに注目していきたいところです。

【世界同時株高 リスクオン】

世界的に見ると今回は、世界同時株高、リスクオンという状況になりました。まずは欧州ですが、金融緩和を縮小するということになり、欧州経済はかなり立ち直ってきました。欧州に関しては、Brexitの問題や、他にもスペインやイタリアなどの様々な問題、財政問題、ギリシャ問題などたくさんの話があったかと思いますが、やはり世界景気が良い中、欧州景気も良くなったことによって、問題点もかなり救われていると思われます。

欧州の景気は非常に好調になってきたことで、金融緩和を縮小しても大丈夫ということになったわけです。そうした中、様々な不安も取り除かれているのが現状です。スペインの独立問題などもありましたが、さすがにEUから完全に離脱してしまうと、それはそれで困ってしまうので、そこまで広がりは見せませんでした。今年の懸念はいくつかあったと思いますが、どれもこれも結局のところクリアして、欧州はうまくいっているという形になっていると思います。

一方、アメリカも、今回FRB議長がイエレン氏からパウエル氏に変わりますが、イエレン氏の下、12月には利上げがあるとされています。来年にも複数回の利上げがあるのではないかと見られています。アメリカに関してはそれほど景気が良いということです。ハリケーンの問題などいくつか懸念されていた点もありましたが、結局は経済指標を見ると、ほぼ良いものが続いているという状況で、好調が続くと見られています。

そして日本にも、同じように懸念点がありました。過去の民主党政権の時にはなかなかうまくいかず、野党が与党になった場合にはいつも揉めているので、アベノミクス体制が崩れると株式市場は混乱します。アベノミクスの継続が日本株や日本景気にとってプラスであったと思いますが、そこには若干の不安感がありました。しかし、それをうまく総選挙で切り抜けてしまったわけです。総選挙をやって、一度禊を受けておけば、これでガタガタ文句を言われることはなくなるということです。衆議院選挙によりアベノミクス継続が決定したことで、日本でもそれまでにあった不安が払拭された形となりました。

また、株価が下げたところでは、大きな理由として北朝鮮問題がありましたが、これもなんとなくではありますが、少し遠のいたように皆が思い始めました。実際にはこの11月から来年1月にかけて危険な動きも予想されています。もともと、今回の衆院選をやった理由として、もしかすると近い将来に、北朝鮮問題が深刻化するかもしれないということで、そんな時に選挙をしているわけにはいかないので、手前でやってしまおうという意図があったとも言われています。

そう考えると、北朝鮮問題がなくなったわけではないのですが、ただ、目先は忘れているふりをしているという印象です。実際、あれだけ何回もミサイルを撃ったり、挑発的な行為を行ったりすると、マーケットはやはり慣れてくるのです。オオカミ少年の話ではありませんが、オオカミが来たと言われても、最初は驚いて株価も下がりますが、意外なことに何もなければ、株価も戻っていったわけです。北朝鮮がミサイルを撃つ、株が下がる、そこが買いだ、といったイメージができてくると、今度は下がらなくなるのです。

こうしたことにより北朝鮮問題は徐々に忘れ去られ、大したことはないのかというムードになり、世界同時株高にも繋がっているのです。そしてその見方の大元にはやはり、世界的に全部景気が良いという現状があるのです。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座/「金融リアルタイムライブ」講師
SBI証券 投資調査部 シニアマーケットアナリスト
藤本 誠之
11月07日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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