グローバル・マネー・ジャーナル

2018.1.10(水)

熱狂なき世界株高、時価総額21%増(大前研一)

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熱狂なき世界株高、時価総額21%増(大前研一)

【世界株式】熱狂なき世界株高、時価総額21%増

 日経新聞は12月29日、「日本株、記録ずくめ」と題する記事を掲載しました。これは2017年の最終取引で、日経平均株価が2万2764円と、年末の終値として26年ぶりの高値を更新したと紹介しています。10月には過去最長となる16連騰を記録したほか、年間では3650円高と、6年連続で上昇したとしています。

 これはあまりあてにならない話です。日経平均の推移を見ると、昔は3万5000円を超えていました。まだその点では低いということです。一方、世界の時価総額の推移を見ると、右肩上がりです。世界の方はもっと堅調に伸びているのです。日本はその点ではうんと控えめだと言えます。

 世界のGDPと通貨供給量、マネタリーベースをグラフで比較すると、かなりのギャップがあります。この間の白い部分は、株や不動産などに行かざるを得ないのです。実質経済であるところのGDP、企業活動に行く分と比べて、余っているお金が株を押し上げているのです。株というのは企業の稼ぐ収益の現在価値なので、その実態よりも上がるという事は、やはりバブルであると言えます。その意味で今は、完全にバブルなのです。私に言わせると、これはどこかでキャッチアップすることになるのです。

 昔、私はアメリカのABCの番組で、非常に卑猥なことを言ってマイナスの人気が出たことがあります。ブラックマンデーの前の金曜日、ニューヨーク・タイムズにこのバブルはどこかで弾けると言ってその週の開けた月曜日に大崩れしたのです。それで番組の有名なキャスターが電話をかけてきて、この事態を予測したわけだが、なぜこうしたことが起こったのかと聞いてきたのです。

 その時に、ミルトン・フリードマンがシカゴから、私が日本から出演し、もう1人ドイツの人が出ていたのですが、ミルトン・フリードマンはこの展開の理由を説明できなかったのです。そしてキャスターがいきなり私に、ケン、これはどういうことかと質問を振ってきたのです。その時私は、NHKのスタジオで、モニターもなくカメラだけしかない状況で、まさかライブ放送だとは思わずに答えたのです。

 当時、世界経済は金融経済が4%で伸びていて、実質経済が2%しか伸びていなかったので、ここにギャップが長い間溜まってきたのだという話をしました。これは、Aサイズの胸にDサイズのブラジャーを着せているようなものなので、触ってみたら潰れるのは当たり前だと言ったのです。するとガーンという音がして、いつの間にか音声が聞こえなくなってしまいました。

 しばらくすると、向こうのキャスターが、ケン、日本には他にもこのような面白いジョークがあるのかと言ってきました。そして後に、フリードマンとスタンフォード100周年記念のイベントで会ったときには、元同僚の司会者が私の紹介をしようとしたら、彼はそれを止め、私のことを、日本では信じられないようなユーモアの持ち主だと言ってきたのです。彼は自分が説明できず、悔しくてしょうがなかったのでしょう。当時にはそのような局面もありました。私自身はその放送の画面を見ていなかったわけですが、マッキンゼーのグラック社長が役員会で録画を見せてくれました。竹内弘高氏も、たまたまアメリカで見ていてずっこけたと言っていました。

 今はまさにその時と同じ状況なのです。金融経済と実体経済がずれているという事はどこかでそれをキャッチアップする状況になるので、今までの歴史から見たらどこかで潰れるはずなのです。グラフの通貨供給量のラインが、Dサイズだと思って見ればよいのです。実際はAサイズの経済しかないということなのです。

【イラン情勢】反政府デモ拡大

 12月28日に始まったイランの反政府デモは、全土40都市以上に拡大し、現地メディアによると、3日までに参加者21人が死亡、警官隊との衝突などで700人以上が拘束されました。経済など市民生活への不満が発端でしたが、非難の矛先は1979年以来続くイスラム共和制にも向かい、治安当局が異論を弾圧してきたイランでは、異例の事態となりました。

 イランの情勢を見ると、インフレ率は一時よりも収束してきています。また、ヨーロッパ、アメリカも含んだ核合意ということでしたが、期待したほど、海外の物資が入ってきて自分たちの買いたいものが買える状況にはなっていないという失望があります。しかし、失業率は高いとはいえ、若年失業率はまだ高いままですが、全体としては爆発的な高さではありません。

 また、イランの通貨リヤルの推移を見ると、リヤル安が進んできています。結果的にこれが輸入品の価格を上げることになっています。とはいえ、インフレ率で見るとそれほど爆発的に高くなっているわけではない状況です。

 さらに輸入品目を見てみます。イランの人たちが期待していた、核合意によって生活物資が安く入ってくる状況ではないということが、不満の一つだったわけですが、この品目を見る限り、そうしたものはあまり入ってきていないと言えます。

 ロウハニ大統領の公約というものがあり、それにより彼は選ばれたわけですが、インフレ率を25%以下にするという公約はすでに達成しています。しかしながら、SNSを遮断しないとか、映画産業などへの規制を少なくするとか、出版の検閲を緩和するなど、色々と言っていたわけですが、ここのところがうまく進んでいません。

 イランの人から見ると、余計なところに金を使い、軍隊を派遣して、例えばイエメンやシリアといったところで争いをしていて、自分たちのところに金を使っていないと言うのです。そんな金があるなら、国内の方に回して欲しいというのが、やはり不満の源泉なのです。宗教指導者に対する不満というよりも、お金の使い方について、余計なことをしないで自分たちの方を見て動いて欲しいということです。そして、せっかく核合意ができたのなら、外国のものをもっと安く入るようにしてほしいということなのです。ただ、これは今アメリカが渋っているので難しいところがあるでしょう。

 私は一時、これは相当ひどいところまで行くと思いましたが、ここ1日、2日の状況を見ていると、何となく収束の方向にきているように感じます。地方ではまだそういった芽があるようですが、少なくともテヘラン等では、ひどい状況ではなくなってきていると言えます。

 対立するシーア派のイランとスンニ派のサウジアラビアということで、中東各地でその代理戦争が起こっています。シリアやイエメン、こうしたところで余計なことをするなというのが、今回のイラン国民の反政府デモに出た人たちのメインのメッセージであり、私は非常に健全なメッセージだと思います。なおよその国に行って勢力を拡大するなど、まだそんな段階ではないというわけです。イエメンやシリアに義勇軍を送り込んでいる状況に対し、国民は疲れて辟易としているのです。

 イラクも基本的にはシーア派の国になっているので、その点では何とかイラクの今の状況を守りたいのです。サウジの影響、スンニ派の影響をなんとか抑えたいという気持ちはわかりますが、イランはやはり国内問題にもっと集中することで、この問題は最終的な収束を迎えると思います。

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大前 研一
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