グローバル・マネー・ジャーナル

2018.1.17(水)

英、EU離脱に待ち受ける協定見直し。Brexitは時間切れか(大前研一)

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英、EU離脱に待ち受ける協定見直し。Brexitは時間切れか(大前研一)

【米学生ローン】10年間で2.5倍の約160兆円

 日経新聞が報じたところによりますと、2017年9月末時点でのアメリカの学生ローンの残高が1.4兆ドル、約160兆円と、10年間で2.5倍に増加しました。私立大学の学費の高騰が背景にありますが、20代から30代世帯の住宅購入が停滞するなどの影響も出始めており、アメリカ政府や金融機関は学生ローンの返済と住宅購入の支援制度を相次いで立ち上げるなど、対応を急いでいます。

 アメリカの場合には、車と住宅と学費のローンが、経済の中で3つの爆弾だと言われています。学生ローンの残高別借り入れ状況を見ると、1万ドルから2万5000ドルほどを借りている人が1200万人もいるわけです。

 年齢層別の学生ローン総残高を見ると、30から39歳、40から49歳が多くなっています。

 アメリカは資格社会で、やはり大学院でMBAを取ったり弁護士の資格を取ったりという人が上につくという傾向があります。そのため、アメリカ人は大学を出てしばらくすると、もう一度学校に通い直すことがよくあります。そのためにローンを借りるというケースが多くあるのです。それにより、日本で言えば比較的中年の層に学費ローンが多く残ってしまっているのです。学生ローン債務者数を見ても4000万人以上と、大変な数に上っています。アメリカにとっては、これが地雷の一つとなっているのです。

【米国債】中国政府が購入減額、停止検討反政府デモ拡大

 日経新聞が11日報じたところによりますと、中国政府がアメリカ国債の購入の縮小や停止を検討していることがわかりました。これはアメリカブルームバーグの報道を引用したもので、今後のアメリカ国債の発行増に伴うリスクに加え、米中の貿易摩擦も理由に挙がっているとしています。

 これは当然中国は否定するでしょう。今、米国債保有残高は日本よりも若干中国の方が多くなっています。これを、これ以上は増やさないというポリシーに変えたのではないかと思います。アメリカとしてはこの国債を売りに出されてしまうと非常に困るというわけで、中国にとってはそれが抑止力の一つとなっているわけです。日本は橋本龍太郎政権の頃にそれを使おうとして大問題になりましたが、中国の場合はやる時はやるだろうと思います。

【米英関係】米トランプ大統領が2月の英訪問をキャンセル

 イギリスのBBCなどが12日報じたところによりますと、米トランプ大統領が2月に予定していた、国賓としてのイギリス訪問を、キャンセルしたことがわかりました。ロンドンの中心部メイフェアから、テムズ川南岸のボクソールに移転する、在英アメリカ大使館の開所式に合わせて訪問する計画でしたが、トランプ氏はTwitterで、オバマ前政権が、ロンドンで最も立地が良く立派な大使館を、つまらない額で売却し、12億ドルで移転するのは不快との理由を述べました。

 これについては面白いやりとりがいろいろありました。実はこの計画というのは、オバマ政権より前の、ジョージ・W・ブッシュの発案で始まったものなのです。しかしトランプ大統領としては、黒人大統領の政策を全て消したいわけです。そういうことから、これもまたオバマ前大統領のせいにしているのです。しかし実際、これによってイギリス側は助かっていると思います。トランプ大統領が来ることをイギリス女王はあまり歓迎していないからです。

 そしてもう一つには、ハリー王子の成婚も関係しています。ハリー王子は6月に成婚するわけですが、その時にトランプ大統領は当然自分が呼ばれていると思っていました。しかし王子は実はオバマ前大統領を呼んでいるのです。ハリー王子とオバマ前大統領はとても仲が良く、インタビューなどもやったりしている仲です。そしてトランプ大統領を結婚式には呼んでいないのです。当然自分が行くと思っていたトランプ大統領に、この情報が入ったのではないかと思います。それでオバマ前大統領のことにかこつけて、アメリカ大使館のオープニングのテープカットはやらないと言っているという訳なのです。

 そしてまたもう一つ問題となっているのがダボス会議です。トランプ大統領はこれに出ると言っているのです。まもなく始まるスイスのダボス会議ですが、すでに、トランプ来るなというデモが始まっているのです。あのような雪の中でデモをするのも大変だと思いますが、それほどトランプはnot welcomeという状況なのです。トランプ大統領はノルウェーからの移民を受け入れるべきと発言しましたが、そのノルウェーがユーモアを効かせてわが国に移民してきてはどうかなどと言ったら面白いかもしれません。

【米EU離脱問題】英、EU離脱で750の協定見直し

 日経新聞は8日、「イギリス、EU離脱で750の協定見直し」と題する記事を掲載しました。離脱交渉が今年から通商協議に入るものの、EU側が示した猶予期間は実務交渉に限れば今年秋までと、残り10ヶ月しかありません。イギリス側は冬休み返上で体制を整えているものの、専門外の担当者が目立つなど人材不足が顕著で、もし猶予期間で交渉がまとまらなければ、無秩序離脱の断崖が待ち受けているとしています。

 協定の見直しが750あるという事ですが、見直す法律も1万2000あり、これらを新たに書かなくてはなりません。どちらも同じもので良いとすれば、何のために離脱するのかということになってしまいます。企業としては、この辺がクリアでない間は、やはりイギリスにいたのではこれまでのメリットはなくなるという前提で判断し、大陸の方に主な事業を移すということが起こり始めています。あともう10ヶ月しかないという状況で、このBrexitに関しては、法的なリスクが非常にあるので、すでに動きが始まってしまっているのです。

 一方、これだけの多くの法律をどう変えるか検討し、時間に間に合うように書き込んで、しかも議会の承認を得て、そして発表していくという事は、すでに技術的に難しいと思われます。Brexitは時間切れということになってくると、このままアウトするしかありません。たとえ交渉が中途半端であっても、宣誓から2年でアウト、つまり出ていくことになるのです。その時イギリスは出ざるを得ないのです。その場合、私がこれまで言ってきたように、急遽その瞬間に国民投票をして、ステイに切り替えるという形にせざるを得ないのではないかと思います。

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ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座 学長
大前 研一
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