グローバル・マネー・ジャーナル

2018.2.14(水)

ブラックマンデー再来? 株式市場急降下(大前研一)

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ブラックマンデー再来? 株式市場急降下(大前研一)

【米株式市場】下げ幅過去最大の1175ドル安

 5日のニューヨーク株式市場は、前の週末のアメリカ雇用統計を受けて広がったインフレ懸念をきっかけに、パニック売りが加速し、ダウ工業株30種平均の終値は、前週末に比べ1175ドル安と、一日の下げ幅としては過去最大となりました。

 実は去年の年末総括でもこの話をしていました。結局、世界中が「低欲望社会」に向かっていて、金余りはブラックマンデー直前の状況と似ているというお話をしました。その後もこの番組の中で何度か同様の話をしています。つまり、通貨供給量が増えてきている一方、実体経済がその前で留まっていて、その間に隙間ができている状況というのは、まさにブラックマンデーの時と同じなのです。

 実はブラックマンデーの一週間前に、私はニューヨークタイムズに記事を書いています。その中で、東京の地価が非常に高くなっていて、それが輸出されてアメリカを買いまくったことで、アメリカも高くなっているのだと主張しました。

 強気のマーケットのことをブルマーケットと言いますが、そのブル、つまり雄牛が、円のお札で作ったタワーの上に不安定に乗っているという挿絵を載せました。その絵がまさにブラックマンデーのトリガーになったと言われ、私はその後、アメリカの放送局から、引き金を作ったなどと言われたものです。

 この記事が10月11日で、ブラックマンデーは10月19日でした。この記事を見てみんながやばいと思ったのです。日本から来ては景気よくロックフェラーセンターなどを買ってくれていたわけですが、それはこういうことなのかと皆が気づいたのです。

 私は当時、日米経済というのは、貿易戦争をやっていたので喧嘩をしているように見えるが実際は連結経済であり、このジャンボジェットのエンジンは、2つのうちどちらかが上手くいかなければ、どちらも倒れるという理論を展開していたのです。日本が崩れればアメリカも崩れるという考えは、アメリカ人にとっては初めて聞いた話で、驚きだったのです。

 私がこれを主張した理由は、金融経済と実体経済の伸びが異なる状態が何年か続くと、隙間ができてしまう現状を見ていたからです。

 今回もいわゆるブラックマンデーと同じような状況で、株価はストンと落ちることになるのですが、その後については、落ちてしまえばそれまでで、リーマンショックの時のように銀行をいくつも倒産に追い込むような構造的な問題はありません。

 ブラックマンデーとリーマンショックの違いは、リーマンショックの場合は各銀行がいわゆるサブプライムなどといった毒をいっぱい食っていたところにあります。一方のブラックマンデーは、株の期待値が高くなっていて、実態がそれより低いところにあるので、実態まで落ちればそれで良いということなのです。よって、あまりパニックになる必要はないというわけなのです。

 今回も、ブラックマンデーの時も、見ていただくと分かるように、実はブラックマンデーが発生した1987年も、どんと落ちた後は調整して終わりです。その後奈落の底に行ったとか、銀行がいくつも潰れたなどという事は起きていません。もちろん個人で投資をしていたり、ファンドなどでこうしたところを買っていた場合は大損になりましたが、今回もそういう意味ではリーマンショックとブラックマンデーの違いがしっかりと分かっていれば、実は問題はないのです。株価が調整されればそれで良いのです。

 トランプ大統領の演説のように、株は史上最高更新を50回以上も繰り返していると強さを誇張するのはおかしいのではないかということなのです。

 今回の下げを、ブラックマンデーの時の騰落率と比べてみると、ダウは22%下落に対して、今回は4~5%という下落率です。その程度の下落を二度繰り返しましたが、それでもブラックマンデーの下落率には及びません。東京も5%ほどの下げを2度繰り返しました。香港等はブラックマンデーの時は33%も下落しています。

 このように、パニックになる必要は全くありませんが、安倍首相やトランプ大統領の話を聞いていると、株が高いのは自分たちの政策が合っているからだと得意になっていて、この部分は全く間違っています。

 実体経済以上に、また企業の実態以上に、株が上がるという事は無いはずなので、彼らは自分の業績に結びつけるべきではないのです。一方、政府の方は債券を出すので、結構な利回りを出さなければ債券の方には寄ってこないため、どうしてもこのような状況の時には債券利回りは上がってしまいます。上げないと債券にお金が流れてこないのです。

 国内の株式も、先ほど紹介したニューヨークタイムズの記事に書いたように、日米は同じ運命で、当時私はこれを連結経済と呼んでいましたが、ジャンボジェットの両エンジンであり、どちらかがこけたらどちらも共に墜落するという運命共同体なのです。これが私が80年代に非常に頻繁にウォールストリートジャーナルやニューヨークタイムズなどに寄稿していたテーマだったのです。

 日本株はアメリカ株の下落を受けて、6日に1071円安となり、コンピュータによるアルゴリズム取引の機械的な売りが一因かと言われました。ブラックマンデーの時も同様でしたが、いわゆるストップというものが今回は効いていませんでした。5%以上下落するとストップとなるはずなのですが、それがなされておらず、いわゆるロボットアドバイザーなどAIを活用したものを使っていくと、こうしたときには売る一方になってしまうのです。

 それによりどんどんと価格が落ちてしまうのですが、冷静に考えてそれほどパニックになる必要はないと分かってくれば、翌日には少しずつ戻ってくるというわけです。そしてまたさらに考えるとまだ高いということになれば、再び調整するといった局面が続いているということなのです。

 1987年のブラックマンデーから、その後様々な急落局面を経験しているわけですが、リーマンショックもその一つです。リーマンショックの場合には、毒を食っていたということで、買ってはいけないサブプライムというものを、色々とみじん切りにするなどし、AAAという高い格付けに仕立てて、それを皆に食わせていました。

 こういうものを食べていたところは、リーマンショックで実際問題として立ち直れないほど大きなダメージを受け、銀行もいくつも合併してしまう事態になったわけです。いずれにしてもそれぞれの急落局面で性格がだいぶ違うのです。実物によるそうした問題と、金融経済と実態経済の乖離から来る調整とでは、内容が違うということです。

 そうは言っても、アメリカの場合にはまだ自動車ローンや学生ローンなどがあり、ハウジングローンも若干溜まってきている状況です。しかし、まだそれがみじん切りになっていろんな商品に化けてAAAなどといういかさま商品で売られているような事態にはなっていません。それぞれ一つずつ分解して見ていけば良く、パニックになる必要はありませんが、同じ急落でもそうした違いがあるということを理解することが重要です。

 それでもこの一週間で、ドイツ株の落ち方も大きかった上にアジアも軒並みやられました。私としては1987年の10月を彷彿とさせるものでした。

【講師紹介】

ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座 学長
大前 研一
2月11日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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