グローバル・マネー・ジャーナル

2019.1.23(水)

エネルギー地政学一変と新興国の新興企業とは(大前研一)

2019.01.23(水)
エネルギー地政学一変と新興国の新興企業とは
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エネルギー地政学一変と新興国の新興企業とは(大前研一)

原油価格はなぜ安いのか?

 日経新聞は14日、「エネルギー地政学一変」と題する記事を掲載しました。
  これは、EIA、アメリカエネルギー情報局などの推計によると、2018年のアメリカの原油生産は、日量平均1090万バレルと、前年比で約2割増加し、9月までにサウジアラビアとロシアを抜き、首位になったと紹介しています。
 アメリカのシェールオイルが技術革新によるコスト低減で、1バレル50ドル以下でも採算が取れるようになったことなどが要因とみられています。
 せっかくOPECが産油量を絞って値段を上げようとしたのに、あっという間に原油価格は45ドル近辺まで下がってしまいました。
 OPECの外にあるロシアおよびアメリカが、このように最大の生産国になってしまったからです。
 まだアメリカはサウジに遠慮して、OPECを優先していますが、実はその当人が1番の生産者だということなのです。
 アメリカの原油生産量のグラフを見ると、どんどん伸びているのがわかります。その一方で、アメリカの原油輸入量はどんどん下がってきています。基本的にアメリカそのものはOPECの外側にあり、枠の制限を受けません。
  OPECの場合にはそれぞれ生産量が決まりますが、その外側にロシアとアメリカがいるということが、今の原油の値段が高止まりしない最大の理由なのです。

サウジ原油埋蔵量発表の意味

 サウジアラビアのファリハ・エネルギー産業鉱物資源担当大臣は1月9日、2017年末のサウジアラビアの推定原油埋蔵量が、従来の推定を上回る2685億バレルだったと発表しました。
 また、サウジの原油生産コストが1バレル当たり4ドル程度とし、アメリカのシェールガスと比べて圧倒的な価格競争力があることを強調しています。
 サウジアラビアの原油生産コストは10ドル/バレル程度と言われており、アメリカのシェールに比べても圧倒的に数十ドルも安いわけです。
 ただそうした値段のことを言うと、ブラジル沖でやっているものや、メキシコの辺りで掘っている、いわゆる海底油田などは、どれも競争できないということになります。
 原油生産量、埋蔵量のランキングを見ると、生産量は先ほどあったようにアメリカがサウジアラビアを超えましたが、埋蔵量はベネズエラが1位、2位がサウジアラビアです。実際には埋蔵量が増えたという発表もして、今後予定している200兆円とも言われるサウジアラムコの上場に花を添えているという話です。
 これは若干マーケット操作と言えるでしょう。埋蔵量などは誰もチェックできないからです。
 そしてサウジアラビアの輸出品目を見ると、圧倒的に油ということになっています。またサウジアラビアでは、人口も油に乗じて増えているという状況で、年々増加していています。一方、政府支出の方は、油の値段がそれほど伸びていないので頭打ちとなっています。

台湾半導体TSMC業績動向

  「台湾半導体受託TSMC、成長踊り場」と題する記事を日経新聞が掲載しました。これは、TSMCの2019年1-3月期の営業利益が、前年同期比2割以上減少する見通しだと紹介しています。
  それ行けドンドンの勢いのTSMCは、利益も売り上げもずっと伸びてきましたが、さすがにここにきてiPhoneのトラブルなどもあり、米中貿易戦争も直接これに絡んでおり、業績に影響が出てきています。
  TSMCは江蘇省の方で工場を立ち上げて大きくやっていますが、これらが非常に難しくなってくるという話です。久しぶりにTSMCのネガティブな、スローダウンの情報が出てきました。

インドネシアのユニコーン企業

  「インドネシア通販のトコペディア、データ駆使、本拠守る」と題する記事を日経新聞が掲載しました。インドネシアのネット通販サイトの草分け的な存在、トコペディアの取扱高は、年およそ7000億円と、この4年間で77倍に拡大したと紹介しています。
  実はインドネシアにはユニコーン企業が多いのです。国別のユニコーン企業、つまり想定時価総額1千億円を超業の数を見ると、中国は83、インドは14などとなっており、日本には、プリファードネットワークス1社しかありません。
  そうした中、インドネシアには4つもあるのです。日本からするとインドネシアがうらやましい限りです。
  インドネシアのそうした企業のトップがトコペディアなのです。オンラインのマーケットプレイスで、ソフトバンクやアリババが投資をしています。
  続いてトラベロッカはオンラインの旅行代理店で、推計企業価値が2億ドル、ゴージェックはバイクで何でも配ってしまうという企業ですが1.8億ドルです。
 こうした企業がいくつかあるわけですが、日本には一企業しかないのです。そのインドネシアのオンラインマーケットプレイスが第二段階に入ってきて、ますます調子が良くなってきたということです。

ビル・グロース氏ファンドから資金引き上げ続く

  ブルームバーグが報じたところによりますと、著名債権投資家のビル・グロース氏が運営する債券ファンドから投資家の資金引き揚げが続いていることがわかりました。昨年2月に運用資産が過去最高となって以降、10ヶ月連続で減少していました。
  このビル・グロース氏は、ピムコという世界最大の、フィクストインカム、債券のファンドを率いて、非常に調子よく8%程度で長い間回していた人で、私も彼の書いた本を読んだことがあります。それが内紛があって彼は外に追い出され、新しくファンドを立ち上げたのです。
 彼のことなのでお金は集まったわけですが、それが今散々な状況ということです。今の状況はやはり株式の方に行った方が良かったので、債券はなかなか良い成績が得られないということで、彼はミスター債券と言える人物なので散々な目に遭っているというわけです。
  関心のない人にとっては全く興味がないと思いますが、このビル・グロースという人は、世界最大の債券ファンドを長い間良い成績でやっていた超大物です。しかしこれでもう終わり、もうお金は集まらないでしょう。
【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座 学長
大前 研一
1月19日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
▼講座受講をご検討頂いている皆さまへ
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【次回の記事】歳出増を止められるのか。年金需給対策 (大前研一)
【前回の記事】
米経済が商品価格に与える影響(近藤雅世)

株式・資産形成実践講座事務局
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それでは、次回のグローバル・マネー・ジャーナルもどうぞお楽しみに!
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