グローバル・マネー・ジャーナル

2018.7.25(水)

トランプ劇場と今後の日本の対応策(大前研一)

2018.07.25(水)
トランプ劇場と今後の日本の対応策(大前研一)
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トランプ劇場と今後の日本の対応策(大前研一)

【米イラン制裁】日本のイラン友好関係とドル決済

アメリカがイラン産原油の輸入停止を各国に求めている問題で、日本の石油元売り大手各社が、停止に向けて最終調整に入ったことがわかりました。10月にも輸入量はゼロになる見通しで、今後はサウジアラビアなど、他の中東産原油で代替することになりますが、調達費が膨らむのは避けられない情勢です。
トランプ大統領がそのように言っているわけですが、これは、アメリカの銀行などを含め、イラン産原油の輸入を続けたら、ドル決済ができなくなるという脅しなのです。それによりフランス勢もイランとは長い付き合いがあるにもかかわらず、ギブアップの状態です。日本もうまい対抗手段がないのです。依然として元売り各社は、イランとの関係を維持すべきだと言っていますが、それが難しいわけです。アメリカに意地悪をされると、完全に息の根を止められてしまいます。
中国、インドあたりは、イランの大きな輸出先ですが、決済手段をドルにせずにやっていく方法を考えると思います。また、トルコはおそらくこれには従わないと思います。もう一つ大きな輸入先の韓国はどう出るかということになってきます。
また、日本の場合にはすでにイランに対する依存度が非常に少なく、日本側から見ても輸入先としてイランは6位で、それほど多くない状況です。金額的にはあまり影響は無いかもしれません。しかしここでイランとの関係を、アメリカの横槍で、断たれるのは問題です。
しかもトランプ大統領は、そのうち去ってみれば単なるピエロだったということになる可能性が高い人間で、そのおかげでイランとの非常に大切な関係を遮断されるということは非常に大きな問題です。ただ日本の今の力では、ドル決済そのものをできなくされてしまったときには、輸入を続けることが難しいと思います。

【日欧】日本、EPA経済連携協定に署名決定

安倍総理とEUのトゥスク大統領、ユンケル欧州委員長は17日、日本とEUの、EPA経済連携協定に署名しました。2019年3月下旬までの発行を目指す方針です。
これには日本側はサインをすると思いますが、EU側の国がサインをするということを、ユンケル氏、トゥスク氏がきちんとやってくれないといけません。
ただ内容を見ると、かなり残念な感じです。EUから来るものに関しては、関税を10年で下げましょうとか、11年目にゼロにしましょうとか、16年目にゼロなどとなっています。
日本の車についても、8年目にゼロとしています。今、EUは10%で、実はイギリスで作っている日産車等は、今後BREXITをしてしまうと、EUに持っていくのに10%払わなくてはなりません。この協定により日本から出した時には払わなくていいということになると、今後の動きは微妙になってきます。その点では。かなり日本にも影響があると思います。
日本酒については即時ゼロにすると言っていますが、売れる量が少ないので大した影響はないと思います。一方、ワインの輸入関税が即時ゼロになるという事は、ある意味ありがたいことです。現在は15%または1リットル125円となっていますが、そこからの引き下げです。ただ、実際の値段は輸入業者で3倍にもなり、さらに流通の過程で倍ぐらいになるという流れを見ると、ここで15%下げていただいても大きな変化にはならないかもしれません。
ルーチェのブルネッロ・ディ・モンタルチーノなどは、現地では19ユーロなのに、楽天で1番安いもので1万8000円と、6倍にもなっています。それがウルフギャングでは6万円で提供され、20倍にもなっているのです。関税をなしにしていただくのはありがたいですが、日本の場合にはそこから先の流通で20倍まで行くというのです。それならBUYMAで直輸入するのが良い方法かもしれません。ただそれをウルフギャングに持ち込んだら、1本5万円いただきますということになってしまうでしょう。このように、日本の場合には関税に問題があるわけではないのです。流通の仕掛けに問題があるということです。
今回の合意は全体から見るとあまり大きな影響はないと思いますが、トランプ大統領に対する対抗手段としては面白いと思います。

【米朝】北朝鮮の非核化の行方

トランプ大統領は17日、北朝鮮の非核化について、「われわれは期限を設けていない」と述べ、急いで行う必要がないとの認識を示しました。また北朝鮮との協議が行われており、非常にうまくいっているとも語りましたが、米朝首脳会談から1カ月余りが経過した現在も具体的な進展は報告されていません。
おかしなことにトランプ大統領はそういうことを言い、金正恩から良い手紙が来ている、彼とはフレンドだ、などと言っている反面、新聞報道や専門家の意見では、実は北朝鮮はまた騙しにかかっているという話が出ています。専門家たちも、北朝鮮は核兵器製造能力は全く失っていない、核実験場を破壊したのは事実ですが、製造能力や核弾頭の維持については、そのまま持っていると言っています。
また最近トランプ氏は、側近に、1ヵ月経ったのでフォローをしろと言い、ポンペイオ氏も北朝鮮まで行って何も成果を持ってこない、手ぶらで帰ってきたと苛立っていると言いますが、これも本人が悪いのです。わけのわからない抽象的なものにサインをし、彼は良い友達だなどと言っているわけで、結局北朝鮮は圧力がふっと抜けてしまっています。期限を設けないなどといった結果、1ヵ月たっても何も進展しないというわけです。
さらに見てみると、北朝鮮はいろいろなことを反故にしてきた歴史があるのです。米兵の遺骨を返還するという件も、もっとも簡単だと思われていたにもかかわらず、全く進捗がありません。300体を返すということでしたが、数字もタイミングも全く明らかになっていません。こうした一番易しいもので、タイミング的に出て来なくてはいけないものですら、まだ進展がないのです。また、核製造施設等のリストを出すと言っていますが、それはどういう順序で解体していくのかという話をしたら、強盗だとポンペイオ氏が言われたわけです。
結局、今ここで面白いのは、トランプ大統領が追い込まれていて、一方、金正恩の方がほっと一息となっていることです。トランプ大統領のことなので、反対に何か、ガンとやる可能性もあるわけです。ここから先、マスコミやスタッフから追い込まれ、あるいは研究所などから追い込まれ、トランプ大統領がしびれを切らせて反対側へ行かない限り、北朝鮮はこれで良かったとなるわけです。そういった状況に対し、米朝の橋渡しをしたと思われる韓国文在寅大統領が、そこは待ってください私がやりますと言って、彼がまとめても良いのですが、彼にはその気がまったくありません。私はこれについては、そろそろトランプ大統領が、逆転一発宙返りのようなことをやらなくてはならない状況に追い込まれてきているのではないかと見ています。
【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座 学長
大前 研一
7月22日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
▼講座受講をご検討頂いている皆さまへ
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【次回の記事】外国人労働者受け入れ拡大へ(大前研一)
【前回の記事】
日本の財政健全化は本当に実現するのか?(大前研一)

株式・資産形成実践講座事務局
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それでは、次回のグローバル・マネー・ジャーナルもどうぞお楽しみに!
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