グローバル・マネー・ジャーナル

2017.9.27(水)

北朝鮮情勢で重要な時期に行う衆院選挙の意義とは?(大前研一)

2017.9.27(水)
北朝鮮情勢で重要な時期に行う衆院選挙の意義とは?(大前研一)
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北朝鮮情勢で重要な時期に行う衆院選挙の意義とは?(大前研一)
訪日外国人数の推移/国別の状況
 観光庁の田村明比古長官は20日、9月15日時点で、日本を訪れる客が2000万人を突破したと発表しました。これまで団体旅行が多かったアジアからの訪日客が、個人でも訪れるようになったことで、前年に比べ45日早い突破となったものですが、団体客のバス移動と違い、個人客は地下鉄などを利用するため、外国語案内が乏しいなどの課題も浮上しており、政府はそれらをどう整備するか、財源として出国税を検討するということです。
 国によっては出国税をとっているところもあります。訪日客の推移を見ると、半端ではない伸び方をしています。インフラが追いついていないということなのです。中でも中国、韓国が非常に数が多いわけですが、実は中国に比べて、韓国はどういうわけかリバイバルしてきています。
 台湾はもともと多く、香港も非常に伸びてきています。さらにフィリピン、インドネシア、ベトナムなども、どんと伸びてきています。また、嬉しいことにイギリス、カナダ、フランスなどからも結構な数が訪れていることがわかります。しかし、全体的にはアメリカが少なく、昔はアメリカが一位でしたので、その点は物寂しいところではあります。
【日本】金持ち企業ランキング
 企業の与信管理などを手掛けるリスクモンスターがこのほど発表した、金持ち企業ランキングによると、1位は信越化学工業、2位は任天堂で、第一回調査から1位を保持してきたファナックが3位に陥落したということです。
 ファナックは結構投資をしているようで、それによってランクが落ちても仕方がないでしょう。信越化学が1位となり、2位の任天堂も常連です。ランキングで意外だったのは、三菱自動車が4位というところです。トラブルになり日産に買収してもらわないといけないというところでしたが、4位にランクインしています。その他、スバルは順当なところで、キーエンス、京セラ、ロームなども常連です。
 信越化学の金川さんは古い経営者ですが、ここはやはりシリコンウエハーと塩ビで、非常に堅調な事業をやっているので、久しぶりにトップになったといえるでしょう。ファナックはかなりお金を使い始めているのですが、投資に使っているということで、悪いことではないと言えます。
量子コンピューター最新動向
 東京大学の古澤明教授の研究チームは22日、新型の量子コンピューターの基本原理の開発に成功したと発表しました。これはループ構造を持つ光回線を用いた新方式により、1つの量子テレポーテーション回路を無制限に繰り返し大規模な量子計算を実行できるということで、古澤教授は本来の意味での量子コンピューターの実現につながるとしています。
 我々は商用化したカナダのD-Waveという企業を訪問しました。これは、もともとの原理は、東工大の西森教授の「量子アニーリング」という考え方を導入して、急に発展したものです。絶対0度に近いところで量子効果を出すというもので、私も詳細に見せてもらいました。ちょうどその企業を訪問している日に、このニュースが飛び込んできたわけです。今度は東大の古澤教授の研究で、量子テレポーテーションということで、こちらの方がD-Waveのやり方よりも強く、今後はこれにより今まで出来なかったような計算ができるということを示しました。
 どちらも理論的な基礎については、日本の教授が握っているというわけです。ただこの教授たちは基本特許を持っていないようです。少なくとも西森教授は、尊敬はされていましたが、特許が彼にかかっているという話は企業側からは出てきていませんでした。
 しかしすでに、リクルートやGoogle、NASAなど、いろいろなところがこの方法を使って実験をしているということです。絶対0度に持ってくるということは凄いことですが、そこでチップを作っているわけで、そのチップをアメリカのいくつかの会社が製造しているのも見てきました。今後はこの東京大学の古澤方式がどこまで実用コンピューターとして多くテストされるでしょうか。D-Waveの場合は、ロンドンのタクシー400台に付けて一斉に動きを見ながら、これまで30分かかっていた計算を数秒間で、どの道が最も早く空港にたどり着くのかを導けると言って、実用化の事例を挙げていました。
衆議院解散
 安倍総理は23日、自民党の岸田政調会長と会談し、衆議院議員選挙の公約づくりに向けた党内の調整を指示しました。首相は25日に開く記者会見で、臨時国会冒頭の28日に衆院を解散する方針を表明するとみられ、各党は10月10日公示、22日投開票へ準備を急ぐ方針です。
 麻生氏の祖父である吉田首相がバカヤロー解散というのをやりましたが、今回も2年9ヶ月経っているので、最後の一年になると、やはり非常に解散しにくくなるということです。また、国会を開いてしまうと、もりそばとかけそばの問題が出てきてしまい、安倍首相が攻撃され、さらに支持が落ちてしまうということで、国会を開く前にやってしまおうというのです。すると、なぜ解散するのかがわからないということで、岸田政調会長を呼んで、なぜ解散するのかを考えろと言っているわけなのです。
この理由で解散しようと思っていると言えれば良いのですが、国会を開けば安倍いじめがどんときます。また、若干スキャンダルを持った議員もいるので、そうした点で国会を開く前にとの考えなのです。しかも3ヶ月休んだ後であり、安倍首相及び夫人に対する追求がしばらくないままになっているところで、開けばまた追求がどんとくるのは間違いないのです。したがってここでやるしかないわけで、ある意味予想はされていたことです。
 麻生氏はこれはどちらに転んでも上手くいかない賭けだが、ここでやってしまっておけば、小池勢力もまだまとまらず、民進党も少なくとも前原氏であれば、共産党とがっちりやっていこうという感じでは無いので、野党の勢力がなかなかまとまりにくい今、やった方が良いと考えていたのです。ただ国民にとっては、安倍首相はそれにしてもひどい、経済はどうなってしまったのか、アベノミクスはどこへ行ってしまったのかと、そうした成果がないのに、うまくやろうとしているように見えます。
 おそらく今回は、政党の戦いというよりも、個別の議員の、地元における支持の集め方の具合によって決まってくると思います。大きくどちらに流れるという形にはならないのではないかと思います。やはり個人の方が非常に大きなウェイトを占めてくると思うのです。そうなると予想するのは難しくなります。安倍首相の一人勝ちになるということはないでしょうし、かと言って今の民進党や、まだ誰が集まるかわからない小池勢力が勝つということも考えにくいので、その意味では混沌とした、意味のない衆議院選挙であり、北朝鮮関係などでは最も重要な時期ですが、1ヵ月半政治がお留守になるという状況です。
講師紹介
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座 学長
大前 研一
9月24日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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 それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!次週は休日のため、5月10日に配信いたします。