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2018.08.01(水) |
外国人労働者受け入れ拡大へ(大前研一) |
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資産形成に役立つ情報を、大前研一ならびに一流講師陣から学ぶ! |
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【アルゼンチン】「泣きペソ」3ヶ月で3割下落
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アルゼンチンは政策金利が40%となり、ペソが3ヶ月で3割下落し、「泣きペソ」と言われています。こういう状況で、アルゼンチンもペソが大きく下落する中、経常収支が悪化しています。2001年と2014年に、二度デフォルトしていますが、アルゼンチンというところでG20の財相中央銀行会議が行われたという皮肉も含め、アルゼンチンは今後の立て直しが非常に大変という状況になっています。政府の力だけでは何ともならないというほど、経済は痛んでいると思います。
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【日本】内閣支持率低下 IR法強行等への不満か?
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日本経済新聞社とテレビ東京が行った世論調査の結果によると、安倍内閣の支持率は45%と、前回の6月下旬から7ポイント低下しました。参院定数を6増やす改正公職選挙法や、カジノ含む統合型リゾート施設整備法への反対が多かったことなどが、支持率低下の要因とみられています。
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安倍内閣は、対抗馬がいないので安心してやりたいことをやってしまっていますが、世論調査の結果は支持が45%で、不支持が47%という形です。これは参議院で6議席増やしてしまったことや、IR法をどさくさに紛れて最後の日に通してしまったことなど、国民生活とはあまり関係のないことを一生懸命やっているということが影響したのでしょう。6議席増についてはお手盛りだと言われても仕方ないことです。また、西日本豪雨の時に、自民亭で酒盛りをしていたということも、評価しない人が非常に多かったというわけです。
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安倍政権の内閣支持率の推移を見ると、実は、2015年にも支持と不支持が錯綜した時がありました。今また同じような状況になっているわけです。最近のそれぞれの政党支持率の推移を見ると、支持政党としての自民は下がり、支持政党なしが第一党になるという、前代未聞のことが起きています。野党の方はやはり空中分解ということです。立憲民主党は若干知名度が上がってきていますが、その他政党の合計の方がまだ高いという状況で、野党第一党も形無しということです。
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支持政党なしというセグメントもあるわけですが、これはいわゆる都市型第1区現象というもので、そこを民主党がうまく捉えて政権まで取ったのですが、結局惨憺たる状況でした。支持政党なしが増えているということは、今の自民の、いわゆるノイジーマイノリティの人たちに対するサービスが行き過ぎていて、一方、サイレントマジョリティーは無視という得意技、これが、この現象の理由になっています。やはり、野党がこの支持政党なしというセグメントをもう少し冷静に分析し、そこに遡及するような政策を出していけば良いということです。
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石破氏も政策が重要だという内容の本を書いていて、読んではみましたが、その政策の中核が分かりません。いわゆる政略よりも政策だと言っていて、それならあなたの政策は何なのかという観点で読んでみると、内容がないものでした。
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【日本】産業界人手不足に介護人材1万人受け入れベトナムと合意
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政府は24日、外国人労働者の受け入れ基準や支援のあり方を検討する関係閣僚会議の初会合を開きました。その中で安倍総理は、即戦力となる外国人材を幅広く受け入れていく仕組みを構築することが急務と述べ、2019年4月の新しい制度導入を目指し、関連法案の提出や、受け入れ業種の選定など、準備を速やかに進めるよう指示しました。
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基本的には安倍総理が移民に反対していたわけで、よく言うものだと思います。今度は産業界から、人が足りないのでなんとかしろと突き上げられて、急げと指示までしているのです。
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私は古くから人材開国をやらないと間に合わないということで、20年前から「新大前研一リポート」の中で提案してきました。これはきちんと制度を作ってやらないといけないものです。前回人が足りなくなった80年代の終わりのように、急いでブラジルの二世だったら大丈夫などと受け入れ、また不景気になったら追い返してしまうというようなやり方ではダメなのです。やはり日本は圧倒的に勤労人口が減るので、受け入れなければいけないわけで、その頃から提案をしているのです。 |
外国人労働者数の推移を見ると、実質的には伸びていますが、まだまだ足りない感があります。外国人労働者の在留資格別の比率を見ると、留学生のアルバイトが非常に増えています。また、国籍別では、中国、ベトナム、フィリピン、ブラジルなどが上位で、ネパールが増えてきています。ベトナムやネパールは、ある意味このところの新顔と言えます。
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外国人居住者は1.8%、232万人になったということですが、いわゆる先進国、高所得国の平均は14%なのです。つまり10人に1人は外国で生まれた人が国力の中に入っているというのが世界の常識なのです。
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基本的にはこれまで、インドネシアやフィリピンから介護に従事する人たちを呼びましたが、最終的な国家試験が非常に難しく、みんな帰ってしまったのです。それで今度は、1万人を目標としてベトナムにお願いしているわけで、私に言わせれば、ちゃんちゃらおかしいことです。あれだけ一生懸命2年、3年と働いて、受け入れ側の施設や病院もこの人でOKと言っているにもかかわらず、試験に落ちたことで、95%を返してしまったのです。今回の態度は何なのかと言われても当然です。ベトナム人に1万人をお願いしていますが、こういう優秀な人たちは世界中でも引く手あまたなのです。私に言わせると、そう態度をくるくると変えてはだめなのです。やはり制度をきちんと作ってやらないとだめなのです。
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94年の「新大前研一レポート」で書いたのはこういう内容です。夫婦どちらかが日本国籍を有する場合、その子供には日本国籍を与える、これは世界中常識となっています。夫婦がともに外国籍の場合も、子供が日本で生まれ、または日本で義務教育を終了した場合には日本国籍を与える、これは本人が希望すればの話です。そして日本に移民をしてきた外国人に、2年間、日本の言葉、文化、法律、社会常識などの教育を無料で提供し、修了した人には永住権、いわゆるグリーンカードを与える、この部分をやはり数百万人単位でやらないといけないのです。
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毎年30万人ずつ就業人口が減っていく国であり、今後は60万人ずつ減っていくということなので、やはり受け入れも少なくとも何十万人かは毎年やっていかないといけないのです。そこにはグリーンカードを与えるべきなのです。
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ただ、いきなり入れてしまっても、日本の場合には言葉の問題や、文化、法律、社会常識といったものが全然他の所と違うので、それを教えていくことが必要です。それには今、少子化に伴って学校の先生や校舎が余ってきているので、それらを使っていけば良いのです。 |
このようなことは、私が20年以上も前に提案しているのです。当時はこれに対してもちろん総務省や自治省、すべての政党が反対をしていたのですが、今になってベトナムに1万人をお願いしますと言っているのです。さらに安倍総理は急げなどと言っていますが、遅れた理由は誰にあるのか考えてみてほしいものです。
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