グローバル・マネー・ジャーナル

2019.1.30(水)

歳出増を止められるのか。年金需給対策 (大前研一)

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歳出増を止められるのか。年金需給対策 (大前研一)
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歳出増を止められるのか。年金需給対策 (大前研一)

年金需給増加により歳出増

 日経新聞が報じたところによりますと、厚生労働省が公的年金の受給開始年齢を、75歳まで繰り下げる検討に入ったことがわかりました。現在は70歳が開始の上限ですが、さらに上の選択肢を作るもので、働く高齢者を増やし、社会保障を支える側に回ってもらいたい考えです。
 これを75歳で選択するとしたら、65歳の受給額に84%上乗せするとしています。何とかなると思って選択した人たちが、割と早めに死んでくれるという期待があるのでしょう。
 一般会計歳出の主要経費の推移を見ると、社会保障関係費が1990年、2000年そして現在と、爆発的に伸びていて、どうしようもない状況になっています。
 その内訳を見ると、医療給付の次が年金給付ということで、年金を十分に積み立てていれば良いのですが、足りない分はこうした形で国家予算の方から出てくるということなのです。社会保障に関しては、かなり大変な状況になっているのです。
 75歳までの引き上げ、その狙いは受給の期間が短いということです。84%も上乗せとなれば、良いと思う人もいるかもしれません。かく言う私も来月76歳になり、それに適応する歳になっています。

日本電産業績減益見込み

 日本電産は17日、今期の連結純利益が、前の期に比べ14%減少の1120億円になる見通しを発表しました。最高益更新を見込んでいた従来予想の12%増から一転して、減益となるものです。中国の景気減速により、主力のモーター販売等が落ち込んだことが要因としています。
 あの、経営に非常に鋭い感を持った日本電産の永守会長が、これは経験がない、尋常ではないと話しているのです。46年間経営をしてきて、初めてのことだと言うのです。実は永守会長の勘が当たっているのです。今、半導体関連や半導体製造装置は、キャンセルに次ぐキャンセルの状況になっています。去年の11月、12月、年が明けても変わらず、急減速しているのです。
 一つには米中貿易戦争もありますが、中国そのものもともと非常に減速に入っていたことも影響しています。台湾系の会社なども中国で展開しているので、これが今トランプ大統領のターゲットになっています。したがって台湾系の企業も共連れになり、UMCやTSMCといったファウンドリーなども含めて、中国ががくんと落ちてきているのです。
 永守会長は部品をやっているので非常によくわかると思います。これは景気の先行指標ではありませんが、同行指標、同時進行の指標であり、状況は永守会長の言う通りなのです。
 日本電産の業績推移は赤丸急上昇かと思いきや、売上高が伸び悩み、営業利益、純利益ともに減益予想となりました。最高を達成すると言っていたわけなので、彼にとってはショックなことだったと思います。
 しかし、この永守会長の感覚をまだわかっていない経営者もたくさんいるのです。こうした鈍い経営者が多くいるのです。彼らは結果が出るまで見えないのかと思いますが、永守会長のセンサーとしての役割、感覚は非常に重要で、あのプライドのある人が、俺も初めてだ、尋常ではないと言ってくれたのは、非常に大切な警鐘だと思います

中国出生数と男女比がもたらすシリアスな問題

 中国国家統計局が21日に発表した、2018年の出生数は、前の年に比べて200万人減少の1523万人でした。すべての夫婦に二人目の出産を認めた2016年は高水準となりましたが、翌年にはその効果が薄れ、18年は反動で大きく減少したとみられます。
 一人っ子政策があるから一人だと思っていましたが、中国の場合には長く続いた一人っ子政策の様々な影響が出ているのです。
 一つには、その最先端の人が30代になってきているということです。彼らは6つのポケット、リトルエンペラーと言われているように、双方の祖父母と両親が、一人に集中してきました。それによってひ弱い子が育ってしまっているのです。怒られたら弱いという面があるなど、我々がよく知っている昔の中国人とは全く違う、競争に弱い人たちが出てきているのです。
 また、学校などは、プライベートの授業料等が非常に高くなっていて、結果的に二人産むとやっていけないという状況になっているところもあるのです。どうぞ自由に産んでくださいと言って、本当に欲しかった人はすぐに産みましたが、それ以外の人はむしろ一人以上は無理だということになってしまったわけです。
 3年目にはその影響が非常にはっきりと出てきてしまい、結果的に中国は、やはり非常に低欲望で、産んでよいと言われても一人で充分といった状態になってしまったのです。時あたかも、中国も、日本同様に低欲望社会になっているということで、私の、「低欲望社会」という本の中国版もよく売れています。中国には元気を出してもっとたくさん産んでくれないと、中国らしさが失われてしまうのです。
 私の本が売れるのはありがたいですが、しかしいくつか不安な理由もあります。中国の年齢階層別女性人口比を見てみると、男を100とした女性の割合がどんどん減っているのです。こうした世代が20代後半から30代になってくると、結婚の相手に困ってしまうのです。圧倒的に女性が強い社会になるのです。
 世界で男女比がここまでずれているところは他になく、全く未踏の世界だと言えます。戦争があって男性が多く殺されたところは、日本やドイツ等にありましたが、それ以外ではこうした現象は見たことがないのです。統計的に見ると、女性が多く住んでいるというところとしては、フィンランドのタンペレという第二の街があり、そこには女性人口が圧倒的に多く住んでいます。しかしそこは繊維の街で、昔、女工さんがたくさんいたので、そういう構成になっているのです。それ以外にこうした大きな差は見たことがありません。
 これは社会的には非常に難しい問題です。今フィリピンやなどから集団見合いのような形で対策をしていますが、これは何億という人たちに影響していることなのです。低欲望以上に、ここから先は女性支配の社会になっていくということです。しかも女が男を非常に厳しく選ぶのです。弱い男が多ければ、今度は逆にそういう人とは結婚などしないということになってきます。これを社会現象としてから対策して行くのか、中国にとっては非常にシリアスな問題だと捉えています。
【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座 学長
大前 研一
1月27日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
▼講座受講をご検討頂いている皆さまへ
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【次回の記事】米国のベネズエラ政策・直近の国内経済トピック(大前研一)
【前回の記事】
エネルギー地政学一変と新興国の新興企業とは(大前研一)

株式・資産形成実践講座事務局
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それでは、次回のグローバル・マネー・ジャーナルもどうぞお楽しみに!
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