グローバル・マネー・ジャーナル

2018.10.17(水)

第4次内閣発足から見る未来(大前研一)

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第4次内閣発足から見る未来(大前研一)

第4次内閣発足から見る未来

 第4次安倍改造内閣が2日、発足しました。文部科学大臣に柴山昌彦党総裁特別補佐、厚生労働省大臣に根本匠元復興大臣を起用したほか、石破派の山下貴司氏も初入閣させ、法務大臣に充てたもので、首相は会見で、明日の時代を切り開くための「全員野球内閣」と強調しました。
 メンバーを見る限り、2、3人はポカをして、途中退陣になるだろうという感じがします。また、残った人たちは安倍首相のガードマンのような人ばかりです。
 私は今回、今のような時に防衛大臣が変わったということは極めて具合が悪いのではないかと思っています。新しく防衛大臣になった岩谷さんについては、昔、平成維新の会で推薦して、確か大分県へ応援に行ったことがありますので、私としてはそうしたことを言ってはいけないのですが、やはりこの局面は、小野寺氏にやっておいてもらった方がよかったのではないかと思います。また他の人はどちらでも良いのではないかと言う印象です。片山さつき氏が女性唯一で、地方創生担当ということになりました。しかし、東大でも法学部でなければ人間ではないという感覚の人なので、これから先、どういう失言をされるのかということが恐れられています。
 ひとまず無事に発足したわけですが、これから先、何日かこの形を保っていられるのか、全員野球と言いますが、先行きが疑問視されます。教育勅語を愛しているような人もいるようですが、お友達内閣だとこうしたことになってくるわけです。そもそもあまりたいした仕事もこの5年間していないので、ガードがしっかり固まったという感じです。
 実は今回、読売新聞などは、安倍首相に非常に近しい加藤勝信氏が、ポスト安倍に急浮上したと報じていますが、私の感覚では、国民は、内閣にいる人の中では、河野太郎なのだろうと見ていると思います。また、石破氏や野田氏、もしかして手を挙げたかもしれない岸田氏などはもう去ってしまい、仮に安倍首相があと3年やるとすると、時代も変わっており、日本の置かれている状況も、オリンピック後で全く変わっています。その時には、河野太郎が出てくるか、あるいは小泉進次郎が出てくるか分かりませんが、メンツがすっかり変わってくるわけです。ただこれを国民に聞くと良くないのです。
 かつて、次の総理は誰がいいのかと国民に聞いたときに、田中真紀子などが一位だった時もあれば、小沢一郎が一位という時もありました。しかし長い目で見てみると、今回はやはり今大きく変わるのではないかと思います。この中にポスト安倍がいるとすれば、河野太郎なのだろうと思います。
 河野氏は外務大臣としてちょっと外へ行きすぎて、飛行機代をたくさん使ってしまったと言って責められていますが、彼の言っていることはまともなのです。おそらく安倍首相とは全く合わないと思いますが、どちらかと言うと穏健派の人なのです。そういう点では、海外、韓国や中国とも安倍首相よりは上手くやる人だと思います。その点では、小泉進次郎まで飛ばないとすると、中間は河野太郎なのかと思います。
 いずれにしても、新聞などとは違い、私の意見は、今回は安倍カード内閣、がっちり固まっていた内閣だとみています。特に菅氏などが固めているとやりにくいでしょう。また茂木氏は、今回横並びの立場ではなく、彼が働き方改革、人生100年等について、また年金そのものの制度も含め、まとめていくと言っています。新聞などがそのように報道していますが、非常にアンビションの高い人なので、そうした書き方をされると嬉しいだろうと思います。世耕氏の厚労大臣の部分なども、全てを茂木氏が治めるということになり、非常に喜んでいると思います。ただ役職としては新しい役職で、経済財政・経済再生ということで、いわゆるポートフォリオ、大きな役職を持っているわけではないのです。個人技で勝負するしかないということになります。

所有者不明土地の活用へ

 所有者不明土地の活用へ向けて、民間の有識者研究会が1日、制度設計の中間取りまとめ案を提示しました。土地を放棄したい人と活用したい人を仲介する仕組みを作るにあたり、担当する組織が、マッチングや所有権の引き受け、及び土地管理などの役割を担う必要があることなどを指摘したもので、来年1月に提言をまとめ、政府内で議論に反映させる考えです。
 これは少し甘すぎると思います。日本全体で、こうした幽霊土地を足せば、九州と同じ面積という報告もありました。2040年には北海道と同じ面積になるというほど深刻な問題です。したがって、所有者不明土地による経済損失などといった問題に取り組むには、まず地域、地方自治体が官報に出し、1年間誰も私のものだと名乗り出ることがなかったら競売に出し、それを町なり市が所有できるようにする、そしてその上で、今度はさらに競売に出すということをすべきなのです。これを早くやらないと、非常に大切な土地が手付かずでそのままになってしまうのです。
 私も今、熱海で欲しい土地があるのですが、それがなんと16人の幽霊地主で、しかもそのうちの半分はあの世に行ってしまっていると言うのです。そして土地取引をやろうとすると彼らのハンコがないとダメだと言われるのです。どうやって天国にハンコをもらいに行くのかと、市とも話し合いを進めていますが、そう言われても難しいという反応なのです。熱海で識者の人にいろいろ話を聞きましたが、みんな頭を抱えるのです。どうやったらいいのか相談しているのに、これは本当に困る問題なのですと言うばかり、という状況なのです。そこでは温泉が沸くので、温泉の権利を16人が持っているのです。
 そのうち半分が天国に行っていて、残る半分は隣のマンションが使っています。これではニッチモサッチもいかないわけです。このマンションで使っている人たちの分を取り上げるわけにはいかないので、逆に温泉はいらないからそのままでいいと言ってみても、対応する法律がないというわけです。
 こうした問題は、有識者委員会で話し合っているようなものではなく、非常にストレートに言えば、土地を欲しい人が手を挙げ、不明な土地の詳細を官報に出し、クレームがなければ入札し、そのお金は市町村が取るとした方が良いでしょう。市町村も税収が少ないわけですから、そのようにすべきだと思います。
【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座 学長
大前 研一
10月14日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
▼講座受講をご検討頂いている皆さまへ
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【次回の記事】日米欧で異なる金融緩和からの出口戦略(大前研一)
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企業の想定為替レートと上昇する物価(福永博之)

株式・資産形成実践講座事務局
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 講座後半の投資アルゴリズムのパートでは、経済環境を投資に活かす手法について多角的に学びます。デイトレードやFXといった概念はありません。世界中で実践されるようなインデックスでコツコツと実践していくスタイルの運用スキルです。世界標準の資産運用を学び、資産形成の第一歩を踏み出してください!
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それでは、次回のグローバル・マネー・ジャーナルもどうぞお楽しみに!
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