グローバル・マネー・ジャーナル

2019.2.13(水)

豪・英政治経済トピックス(大前研一)

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豪・英政治経済トピックス(大前研一)

豪政府中国人実業家永住権取り消し

 オーストラリアメディアが7日までに報じたところによりますと、オーストラリア政府が、シドニーに住む中国人実業家黄向墨氏の永住権を取り消し、帰化申請も却下したことがわかりました。黄氏をめぐっては、過去に黄氏から献金を受けた野党の議員が中国よりの発言をして辞職に追い込まれる事態となっており、今回の決定も中国の影響力を警戒したものとみられています。
 帰化の申請も却下された黄氏は、結果的にあまりにも政権に取り入りすぎたということです。モリソン首相も一緒に催事をやっているような写真がいくつか出ていて、慌てて火消しをしているところです。
 実は、豪州に移り住んだ国別の出身者数を見ると、当然イギリスが一番多く、次がニュージーランドとなっています。ニュージーランドの人は意外にオーストラリアに住むことに抵抗がないのです。そしてその次に多いのが、今は中国になっていて、しかもこの10年で見ると中国が圧倒的なのです。そしてインド、フィリピン、と続きます。またここでは11万人程度になっていますが、メルボルンなどに行くとギリシャが非常に大きな勢力となってきています。
 ただ、日本はあまりこうした数字には出てきません。やはりいろいろあっても日本は住めば都と言う人が多いようです。
 中国からの移住がここで急速に広がってきているわけですが、お金を持ち込んで事業をやることで、オーストラリアの経済を活性化するという点では、非常にプラスになっています。
 しかし、やはり政治献金などをして自己誘導をする人が非常に多いのです。日本の場合にも、かつてアラン・ボンドと一緒にボンド大学を作った高橋治則という、ある意味で開業の始祖と言える人が、イ・アイ・イという会社でオーストラリアの不動産を買いまくり、開発して非常に派手な動きをしていた時期がありました。それ以外の人では大京の横山氏がクイーンズランドの中ではゴールドコースト、ケアンズの開発に膨大なお金を突っ込んでいます。そういう意味では日本の若干目立った動きが20年以上前にはありました。
 しかし最近は日本からはとても下火になっています。
 一方、中国は逆にシドニーなどにどんどんと出てきていて、まず土地を買い漁って値段を上げているという状況です。色々と意見が欲しいということで政治家にアプローチする、献金をするということが起き、影響力が強すぎるという大きな問題になっているのです。
 また、イギリス、ニュージーランドに関しては、二重国籍がどちらの国も認められています。したがって、オーストラリアでは国会議員になったら国籍が二重ではいけないとなっているにもかかわらず、自分でも知らずに、イングランド国籍を持っていたなどという人が辞任に追い込まれたケースが、過去数年で大変な数に上っています。二重国籍のまま、イギリス国籍とオーストラリア国籍を持つ人が結構いるのです。年金もイギリスからもらっている人も多く、イギリスで年金をもらい、オーストラリアで支払いを受け、オーストラリアのようにのんびりと過ごせるところで暮らしていたら文句ないわけです。イギリスにいれば天気の良い日など少ないからです。
 オーストラリアの移住にはいろいろな側面がありますが、今回の件は、中国の影響が強くなりすぎて警戒を受けたということなのです。

日産英工場での生産計画中止

 日産自動車は3日、イギリスで予定していた主力車種の生産計画を取りやめ、日本に切り替えると発表しました。イギリスの合意なき離脱の可能性が高まり、事業環境が不透明になったのを受けたもので、ドイツのBMWがイギリスでの生産休止を決定するなど、同様の動きが広がっています。
 もうあと50日しかないわけですが、やはり今のイギリスの混迷、迷走を見ていると、これはまずいということで、BMWはもうイギリスでは生産を止めるとしています。また、インドのタタ、ジャガー・ランドローバーは、4000億円ものロスを持たせて引き当てをしています。
 また日産のイギリスでの計画は、サンダーランド工場で、100億円をあげるから続けるようにと言っていたのにそれをやめたことで、イギリス政府はこうして約束があったのにやめるとは何事かと驚いているという状況です。
 イギリスでのメーカー別自動車生産台数を見ると、タタグループのジャガー・ランドローバーは、大きく台数を減らしていて、ものすごく大きなロスを引き当てています。
 また台数2位の日産は、SUVのある車種だけですが、生産をやめると言っていて、イギリスの中でのトップメーカーがこうした大きな変更をすると言うのです。この工場から日産は世界にエクストレイルを出していますが、EUに輸出するのに10%の関税がかかるようになり、これではやってられないということになったのです。そこで日本からそれぞれの国に輸出するというモデルに変えてしまったわけです。イギリスにとってはこの日産の意思決定は、トップブランドなだけに非常に大きな影響があり、ブレグジットがこれほどネガティブなのだと言うことが今頃になってジリジリと現れてきているということです。
 イギリスのメイ首相は、EU離脱問題の打開に向けて、ユンケル欧州委員長らと7日に階段をしています。その中でメイ氏は、離脱協定案に盛り込んだアイルランド国境問題への対応策で、法的拘束力のある変更を求めたのに対し、ユンケル氏は、協定案の再交渉を拒否、メイ首相は13日までにイギリス議会に新たな離脱案を提示する考えでしたが、議会の採決や協定案の発行は、さらにずれ込むことになります。
 EUの大統領トゥスク氏は、性格が荒いと知られていましたが、今回は「地獄の特別な場所がメイ首相にはふさわしい」という過激な発言をしています。EU側もやや恥ずかしいと思うほどの表現ですが、EUとしては、あれだけ交渉して最後に圧倒的に否決されたのに、また交渉に来たのか、という思いなのです。それを表現した発言なのでしょう。
 ユンケル欧州委員長は拒否し、交渉はしないとしています。メイ首相にとっては、実は議会の方には二つの課題があり、一つはアイルランドの問題、もう一つはハードブレグジットだけはやめてくれという問題です。このままいくとハードになってしまうので、最終的には時計を止めるしかないというところに追い込まれると思います。
【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座 学長
大前 研一
2月10日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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▼その他の記事を読む:
【前回の記事】米国のベネズエラ政策・直近の国内経済トピック(大前研一)

株式・資産形成実践講座事務局
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それでは、次回のグローバル・マネー・ジャーナルもどうぞお楽しみに!
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