グローバル・マネー・ジャーナル

2019.2.6(水)

米国のベネズエラ政策・直近の国内経済トピック(大前研一)

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米国のベネズエラ政策・直近の国内経済トピック(大前研一)

米国の対ベネズエラ政策

 アメリカ財務省が先月28日、ベネズエラの国営石油会社PDVSAを経済制裁の対象に指定したと発表しました。これにより、アメリカにあるPDVSAの資産70億ドル、約7640億円が凍結され、来年の石油の輸出に110億ドルの損失が発生する見通しで、経済の柱である石油産業に打撃を与え、マドゥロ大統領の退陣を促す狙いです。
 これはそれなりに効き目があります。アメリカがベネズエラから1番原油を買っているわけですが、これについては箍がはまり、かつ取引ができなくなるということです。買ってもお金を払わないという状況になり、また、払ってもベネズエラが持っているアメリカの口座に払うわけなので、それが凍結されるということなのです。ベネズエラにとっては、唯一の生命線である石油の外貨獲得能力が失われてしまうわけです。
 またもう一つは、軍人が今のところマドゥロ大統領についていると言われていますが、この中で分裂が始まりつつあるのです。あと1週間もするとマドゥロ大統領の方につく軍人はかなり減ってくると思われます。基本的にはすでに世界中、主として西側諸国は、すでにマドゥロ大統領は早く退任しろという状況になっているのです。
 アメリカは一時、この後軍事的なオプションも排除しないということを言っていましたが、それは取り消しています。今ここで軍を動員するという事はしないようですが、今のままではこの状況でベネズエラは干上がってしまうので、ただでさえ困窮しているベネズエラの一般市民は、さらに困窮することになるでしょう。

曙ブレーキ工業事業再生ADRを申請

 曙ブレーキ工業が先月30日、事業再生実務家協会に対して、私的整理の一種である事業再生ADRの申請を行い、受理されたと発表しました。曙ブレーキは自動車のブレーキ製品を手掛け、売上高の半分をアメリカ市場が占めていますが、リーマンショック後の景気回復で、各社から増産要請が相次いだ一方、負荷の増大による設備の故障や人材不足などで事業の混乱が続き、収益が悪化していたということです。
 これも何か怪しいものがあり、表に出ている以外の理由があるのではないかと思います。理由としては、GMの次のモデルの失注があったということなのですが、基本的に国内の自動車生産は減っている中、アメリカなどで特にGMにかわいがられたトヨタ系の会社なのですが、そちらの方が大きくなり、そこのミスマネージメントが原因だったのではないかと思います。典型的にアメリカなどへ行って普通に経営できるような会社ではないのに、ボリュームだけが大きくなって、そのミスマネージメントによって、今回は国内の方もひっくるめてひっくり返ってしまったという話なのです。
 曙ブレーキの株主の持ち株比率を見ると、トヨタといすゞが多く持っています。また、業績は、売り上げというよりも営業損益や純損益で大きな損失を出すというのが常態化していました。つまり、アメリカの方が制御できなくなっていたという話です。
 製品別に売上高を見ると、ディスクブレーキや自動車部品等があります。本来それほどおかしくなるような状況では無いのですが、アメリカの方がおそらくかなり長い間、全く管理不能な状態に置かれていたのではないかと思います。
 トヨタの方もその事情をよく知っているので救済もせず、ADRというあらかじめパッケージ化した再生計画というもので持っていくということになりました。本当の倒産というよりは若干筋だった再生が可能だということなのでしょうが、この会社については経営能力の点で問題があると思っています。アメリカでそこまで大きくなったのに、アメリカをマネージする人材、及びシステムが全くなかったというところに問題があったのだと思います。

洋上風力発電巨大化

 日経新聞は先月29日、「洋上風力、巨大化競う」と題する記事を掲載しました。これは世界最大手のドイツのシーメンス・ガメサ・リニューアブルエナジーや、三菱重工業が出資するMHIヴェスタスなどが、大型風車の開発に乗り出していると紹介しています。
 洋上風力は、発電容量を増やすため、風車の大型化が進んでおり、開発を促す法律が昨年日本で成立するなど、ヨーロッパ以外の市場が拡大していることも競争に拍車をかけているとしています。
 日立がこの風力の分野から撤退ということを発表してみんなを驚かせたわけですが、メーカー別の発電量を見ると、デンマークのヴェスタスと、スペイン・ドイツ勢のガメサ・シーメンス、日立もエネルギーマネジメント側で提携している、ドイツのエネルコンのようなところが並んでいます。こうして眺めるとヨーロッパ勢と中国勢が多くを占め、インドやアメリカGEなども含め、その他の国は上位に一企業しか入っていないという状況です。

野村HDの業績推移

 野村ホールディングスが先月31日に発表した2018年4−12月期の連結決算は、最終損益が1012億円の赤字となりました。米中貿易戦争など市場環境が不透明な中、個人向けの営業が落ち込んだほか、2008年に買収したアメリカのリーマンブラザーズなどの資産評価見直しに伴い、814億円の損失を計上したことが響いたとみられます。
 これは少し怪しいと思っています。その理由はインスティネットやリーマンについては、もしそういう状況だったのであれば、もっと以前にのれん償却などロスを出さなければならないにもかかわらず、もう10年以上も持っているのです。それをなぜここでやったかというと、12月に相場が落ち込んだので、4−12月はどうせ他にもロスが出ているということで、今ならそこにすべてを乗っけて、エクスキューズしようということがあったのだろうと思います。今までのCEOの人がそれを先延ばしにしていたのではないかと怪しさを感じます。
 野村ホールディングスの業績推移を見ると、ホールセール、営業(個人)、アセットマネジメントとそれぞれがありますが、結果的に大きな赤字となったわけです。リーマン、インスティネットなども既に10年以上持っており、おそらくここで一気に良いエクスキューズがあるというので、くっつけて落っことしてしまえという話なのでしょう。会計事務所ともそういう合意をして、厄払いをしたということだと思います。
【講師紹介】
ビジネス・ブレークスルー大学
株式・資産形成実践講座 学長
大前 研一
2月3日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
▼講座受講をご検討頂いている皆さまへ
▼その他の記事を読む:
【次回の記事】豪・英政治経済トピックス(大前研一)
【前回の記事】
歳出増を止められるのか。年金需給対策 (大前研一)

株式・資産形成実践講座事務局
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それでは、次回のグローバル・マネー・ジャーナルもどうぞお楽しみに!
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