グローバル・マネー・ジャーナル

2015.2.11(水)

EUとギリシャの不協和音(大前研一)

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EUとギリシャの不協和音(大前研一)2015/02/11(水)


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今回のテーマ

EUとギリシャの不協和音(大前研一)

【ギリシャ】急進左派、右派が連立へ

 ギリシャ総選挙で勝利した急進左派連合のツィプラス党首は先月26日、右派独立ギリシャ人と連立政権を組むことで合意しました。ツィプラス氏は同日首相に就任し組閣に着手、EU支援の条件となっている緊縮財政に反対する政権が誕生する見通しで、ギリシャは再び欧州債務問題の焦点に浮上しています。

 今回は反緊縮を唱えていたツィプラス氏率いる急進左派連合が149議席を獲得し、圧勝しました。実際は99議席を取り、第1党は50議席もらえるので、合計で149議席となったわけです。他の党も合わせて圧倒的に反緊縮で議席を固めてしまいました。この勢力は、国民から選ばれたので全く妥協の余地はないとし、ヨーロッパの要求をはねのけると意気込んでいます。しかし、ユーロからの脱却やEUからの脱退は望まないとしていて、どうしていくのか明確な答えを持っていないのです。

 ただギリシャ国民がこれだけ圧倒的に反緊縮を支持したという事は、やはり事情があると思われます。ビジネスウィーク誌にギリシャ経済に関する記事が出ていましたが、2008年、1000人あたり2人しか亡命していなかったギリシャですが、去年は4.7人が国外へ出て行っています。この国は嫌だと言ってオーストラリアなどへ脱出しているのです。

 そして失業率は2008年には7.2%だったのが、現在は25.5%と、4人に1人が失業している状況です。また、新車登録台数も2008年には29万6000台でしたが今は8万4000台しかありません。さらにGDPも630億ユーロから480億ユーロに大幅に縮んでいます。ギリシャの株価指数を見ても2856ポイントから819ポイントに落ち込んでいるのです。ギリシャ経済はこのような状況で、ギリシャの人から見ると、緊縮をしても底なし沼のようで、もういい加減にして欲しいと感じているのだと思います。こんな国からは出て行こうと国外へ出る人もいますが、そうもいかない人たちが多くいるはずで、反緊縮勢力の拡大につながったと言えます。

 EUはドイツとともに、ユーロゾーンに残る限りは緊縮をするように要求しています。もともとマーストリヒト条約ではそういう約束になっていたと主張し、ギリシャの無駄遣いを非難しているのです。そうした中で、ギリシャはロシアと組もうという動きを始めています。EUが行っているロシア制裁に反対し、ロシアを味方につけようなどというめちゃめちゃなところも現れてきているのです。欧州議長も話し合いをしに行ったにも関わらず、ギリシャ側は話し合いに全く応じず、かなり激しい物別れに終わりました。ドイツがいきなり話し合うとどうなるか分からないので、今後はオランド氏やスペイン、ポルトガルなども加わって説得に当たることになっています。

 ツィプラス氏については、学生時代から共産主義者として有名な人でした。日本で言えば学生運動上がりと言えます。日本でもそういう人が首相になり、その時に原発事故が起こり、大迷走をしたのは皆さんもご存知の通りです。このツィプラス氏もギリシャはどうしたらいいのか名案は持ち合わせていません。ただ今まで外からかけられてきた箍はもういやだと主張し、国民もそれを支持したことによって自分は首相になったというポピュリストなので、非常に困ったものだと思います。

【ウクライナ】ウクライナに約2400億円融資で合意 ~EU財務相理事会~

 EU財務相理事会は先月27日、ウクライナに18億ユーロ、約2400億円を融資することで合意しました。ウクライナの外貨準備は、早期の追加支援がなければ、今年半ばには底をつく見通しです。

 これはかなり深刻な状況で、ウクライナの外貨準備高の推移を見ると、少しでタッチダウンし、デフォルトに陥りそうな状況です。ロシアへのガス代の支払いに加え、年金の遅配も続いているようで、かなり厳しい状況といえます。我々には支援が必要だと主張していますが、支援だけで助かるのかと思えるほどです。

 一方、ウクライナはやはり民族主義の問題も抱えています。よりたちの悪いネオナチ運動が起こっているのです。ウクライナの民族主義は、実はネオナチなのです。

 チェコのゼマン大統領は先月4日、ウクライナの首都キエフで民族主義政党ズボボダ党などがたいまつ行進を行ったことについて、「ウクライナには何か悪いことが起こっている。このような行進に対して抗議を表明しないEUにも何か悪いことが起こっている」と述べました。ナチスの行進がたいまつ行進であったことから、これは不気味だと言ったわけです。ウクライナはかつて、ポーランドに近いガリツィア地方の連中がナチス側につき、ロシアと戦った経緯があります。こうした動きはEU側から見ると非常に不気味で、ネオナチ的な運動をされるならEUは支援できないという展開にもなってきます。

 旧ソ連支配地域でのナショナリズムの動向を詳しく見ると、エストニアやラトビアでは、ソ連と戦った英雄の記念碑の兵士がドイツ軍の制服を着用していた例や、ロシアからナチス協力者と批判された例などがあります。ウクライナも同様で、常にネオナチ的な方向に向かう一部のグループが存在するのです。ウクライナのグループは暴力的で腕っ節の強い人たちなので、キエフ政府もヤヌコビッチを追い出すときに利用したので頭が上がらない面もあり、堂々とたいまつ行進をやる展開となったのです。チェコから見ると、ウクライナは何者なのかと不審に思う一面があるというわけです。

【日本】厚生年金 年金制度持続へ「マクロ経済スライド」初実施

 厚生労働省が先月30日に発表した、2015年度の公的年金の受取額は、夫婦2人のモデル世帯で22万1507円と、前年度より2441円増加しました。年金の伸びを賃金や物価の伸びより抑える「マクロ経済スライド」を初めて実施し、年金額を前年度比0.9%増にとどめるもので、少子高齢化の中で年金制度の持続性を高める狙いです。

 今後もどんどんマクロ経済スライドを適用していくことになると思います。年金は既に破綻しているので、今のままではとても支払っていくことはできません。年金総額も50兆円を超えてくるので、運用益などはとてもあてになりません。今後はマクロ経済スライドを毎年のように実施していくだろうと思います。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
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大前 研一
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資産形成力養成講座 加藤

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それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!