グローバル・マネー・ジャーナル

2015.3.11(水)

日本は「心理経済学」を把握せよ!(大前研一)

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日本は「心理経済学」を把握せよ!(大前研一)2015/03/11(水)


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今回のテーマ

日本は「心理経済学」を把握せよ!(大前研一)

【日本】「伝統的統計」景気とズレ 「景気ウオッチャー調査」など注目

 日経新聞は23日、「『伝統的統計』景気とズレ」と題する記事を掲載しました。これは、昔は景気後退局面で悪化した雇用関係の指標が現在は改善し、また電気使用量と景気の連動性も薄れたと指摘しており、日本社会の構造が変化し、経済の変化に対する個人や企業の反応が変わったことが背景にあるとし、代わりに経営者らの心理を調査した景気ウォッチャー調査などが注目されているとしています。

 こうした記事には惑わされてはいけません。実は、景気を左右するのは人間の心理というものなので、良いと言っていれば良くなり、悪いと言っていれば悪化するというのが、超成熟経済である日本の特徴なのです。このことは10年前に私が、「大前流心理経済学」で説いています。貯めないで使えば景気は良くなるのです。

 日本はGDPの3倍の貯蓄があり、人々は死ぬまでその大半を持っていってしまうので、これを生きている間に使って人生をエンジョイし、イタリア人のように過ごせばよいのです。しかし国が信頼されていないので将来の不安が取り除けないのが日本なのです。つまり、景気は、国に対する信頼がないから悪くなり、信頼があれば使ってしまえばいいので景気は良くなるのです。

 安倍政権になり、アベノミクスで刺激策を打ち、三本の矢などと打ち出した時にすっと景気が良くなったのは、まさにこの心理経済学に沿っているといえます。しかし、周りを見てもやはりそうはいかないことに気づき、税金は上がっても給料は上がらず、あまり実態は良くなっていないということで冷えてしまったのです。そして消費税が8%になるというので駆け込み消費をした後は、本当に良くなっていないということで落ち込んでしまったというのがここまでの流れなのです。

 新聞を読んでいると、どちらかというと政府の言い分に引きずり回されます。しかし自分の心で考えてみると、実態が見えてきます。

 ライフプラン、人生設計がきちんとあり、それに見合うファイナンシャルプランがあり、それから見て自分はこれだけ使っても大丈夫だと思えば、あるいは、今のように金利の安い時に借りて、老後に住む家を作るなど自分の人生でやりたいことをやっていけば、景気は良くなるわけなのです。実際に心理というものが金利やマネーサプライなどよりも景気に大きな影響を与えるのです。そういう意味でこの「心理経済学」という本は、世界に他に例がない画期的な本であると思います。

 そしてここが、トマ・ピケティやポール・クルーグマン、竹中平蔵らが、日本に対して見方をはずしている理由でもあります。21世紀の経済は、金利やマネーサプライで決まってくるという単純理論とは違い、日本の場合には、貯めたものをいかに使うかという今までの世界の経済の中にはないような状況なのです。心理経済学は全く新しいジャンルであり、しかも国としては日本にしかないものです。

 もちろん韓国は日本と同じように少子化が続き、確かに高齢化していますが、彼らは貯める文化ではありません。まず借りるというクレジット社会なのです。日本の場合はGDPの3倍もの貯金を、いかに使うかが一番の問題であり、金利が1%を割っていても借りないという心理なので、もっと真面目に心理経済学に取り組まない限り、景気は良くならないと言えるでしょう。見かけだけなら市場にお金をどんと供給すれば良くなるように思われていますが、実は全然効果がなく、その理由はまさにここにあるのです。

【日本】東京市場14年10カ月ぶり高値 東証一部株式時価総額550兆円

 先月27日の日経平均株価は、前日比12円高い1万8797円で取引を終了しました。国内景気の先行きに対する期待感などから買いが先行し、一時取引時間中として約14年10カ月ぶりに1万8800円台を回復する場面もありました。

 この株高の正体は「官制相場」であり、GPIF130兆円の25%が株に向かっているという背景があります。そしてもう一つ、非常に重要なのは東証1部の株式の時価総額が、7年ぶりに550兆円に戻ったということです。実は、このように株式市場が改善している理由は、約3%の配当をする会社がほとんどになってきたことが挙げられます。時価総額550兆円なら3%は16兆5000億です。そして今、日本の会社は約300兆円の内部留保を持っているので、16兆ずつ出してもしばらくはこの配当が続けられると見られています。

 すると、銀行に預けるよりも株をインデックスで持っていれば、配当だけで3%で回るので定期預金よりもずっと良いのです。ただし、個人はまだ頭で考えているだけで実際はあまり株を買っていません。その一方機関投資家はすでに株を買っているのです。外国の投資家から見ても、日本でお金を借りても1%を割る程度なので、3%ももらえるなら配当を取ろうという動きにつながっているのです。官制相場と言われるGPIFの買いもさることながら、配当を取った方が良いという当たり前の動きが起きている影響なのです。

 さらに、個人のお金は年金、生保、銀行預金などに流れていますが、機関投資家はそのお金で株を買い、3%儲けているわけなのです。普通ならここで個人が株を買い始めるわけですが、日本ではなかなか買わないというのも、過去に苦い思いをした経験からくる「心理」だと言えます。

 3%配当という日本にとっては珍しい状況ですが、企業の内部留保が300兆円あれば、今後少なくとも20年は続けられる計算なので、この現象はしばらく継続しそうだと思います。ただし、株価が上昇してくると、それに対する3%が拡大してくるので無限に上がっていくわけではないでしょう。

【日本】国民負担率2015年度に43.4%~財務省試算~

 財務省は先月26日、国民所得に占める税と社会保障の負担の割合を示す国民負担率が、2015年度に過去最高の43.4%になるとの試算を公表しました。

 国民負担率は、日本はまだそれほど高くありませんが、税で取るか、強制的な社会保障で取るか、合算して比べる必要があります。北欧型の国は税で取って社会保障をするなど、割合は様々だからです。

 さらに、正しく計算するには、財政赤字も将来の世代が払わなくてはならないので税金と同じと考えて足すことになり、合算すると日本も50%を超えてしまっています。ただフランスは非常に負担率が高く、70%近くに上っています。国の自由になる部分はなく、国民の給料そのものは税金と社会保障と財政赤字に持っていかれるわけで、フランスは将来、非常に苦しくなると言えるでしょう。

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