国連の予算分担率を見ると、アメリカが22%、次いで日本が11%と、ドイツやその他の国々と比べて圧倒的に大きく、日本は常任理事国に入って当たり前だと思います。70年も前の戦勝国たちが常任理事国として世界秩序を牛耳り、かつ拒否権を持って他の国を入れないということはおかしいと思います。しかしながら、実際は拒否権を持っている国がある現状でどうすれば良いのか、まずは嘘でも良いから中国と仲直りし、拒否権を使わなくなるほど関係を改善させ、認めさせてからまた喧嘩すれば良いのです。喧嘩する順序を間違っていると思います。
一方、先進国の首脳会談であるG7に入っているのは、アジアでは日本だけですが、中国の参加については反対していて、お互い様の状況だとも言えます。
17日付の英誌フィナンシャルタイムズは、中国主導で年内の発足を目指すアジアインフラ投資銀行にフランス、ドイツ、イタリアが参加する見通しを報じました。イギリスに続きヨーロッパの主要国が加盟に合意したことにより、投資銀行に距離を置くよう働きかけてきたアメリカのオバマ政権にとって打撃になるとしています。
AIIB(アジアインフラ投資銀行)には、中国がおそらく全体の資本金の3割程度を出すとみられています。中国が焦ってこうしたことを進めるのは、世界銀行もIMFもアジア開発銀行もみな先進国が牛耳っていて、アジアにはまだまだインフラ整備が必要で、そこに投資を集中する銀行が必要だと考えているからです。それに対し、日本やアメリカは、その運営の透明性が担保されていないと主張しています。しかし、IMFも世界銀行もそうした透明性が担保されているわけではないので、よく言うものだと思います。
中国がこれを進めるもう一つの理由は、中国の経済スローダウンと崩壊に関係があります。中国は巨大なマシンで鉄道や橋や道路を作り続けてきました。コンクリートやアスファルト、鉄鋼まで機械を使ってどんどん建設を進めてきました。そうしたものがスローダウンしたことで、巨大な建設マシンをアジアの他の地域に持っていく必要があるのです。そうしないと中国では建設に関わる企業がへたってしまうのです。そうした状況からこの銀行の設立を積極的に進めているのです。そこへ日本が入っていっても、鉄鋼は当然中国のもので、なかなか主導権は取れないでしょう。中国側から見ても、最初に入ると表明したイギリス、フランス、ドイツ、イタリアを優先し、日本は意地悪をしてきたということであまり優先はされないでしょう。
それならば日本は、アジア開発銀行で同様のインフラをアジアに作っていけばよいのです。今、日本はジョインするか、ファイトするか決めなくてはならず、徐々にジョインする方向に固まってきていますが、それではみっともないと思います。アメリカに言われて入らないと決めておきながら、ひも付きの投資に入らないのは日本企業にとっては不利なので乗っかったほうが良いのではないかと、ふらふらしている状況なのです。このような状況は最もみっともないわけですが、その理由はアメリカの腰が定まらないことにあると言えます。
この銀行に関しては、やるなら徹底的に中国に次ぐ規模の資本を入れて、積極的にナンバー2のポジションまで狙うべきでしょう。ただ、中国は巨大な建設マシンを海外に持っていかないと国内がどうしようもないという焦りでやっているので、投資判断もあまりうまくいかないでしょう。世界銀行などのプロジェクトをみてもうまくいかないケースが多く、投資はしたものの、きちんと回収できるのかが問題です。途上国に投資しても返してくれないことが多いので、ここに敢えて突っ込むこともないだろうと思います。やるなら割り切ってアジア開発銀行でやれば良いということです。
|