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2015.4.1(水)

AIIB<アジアインフラ投資銀行>の影響(大前研一)

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AIIB<アジアインフラ投資銀行>の影響(大前研一)2015/04/01(水)


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今回のテーマ

AIIB<アジアインフラ投資銀行>の影響(大前研一)

【日本】物価基調は着実に改善!? 日本経済の見通しは?

 日経新聞は19日、「追い込まれる空売り勢」と題する記事を掲載しました。これは、急ピッチな株高の隠れたエンジンは信用売りをしていた空売り勢の買い戻しだと指摘、直近の安値である昨年10月から6ヵ月が経過するのを踏まえ、下落を見込んで売った投資家が損を覚悟で反対売買に追われているもので、短期的には実体経済を超えて株高が進む可能性も秘めているとしています。

 株が上がっている本当の理由は二つあります。ここまでくるとやはり高所恐怖症があるので、空売りをする人が出てきます。しかし実際にはまだ上がっているので空売りに失敗し、確かに買い戻さないといけなくなります。ただ、ショート派と言われる空売り投機家の人たちが追い込まれている理由の一つは、GPIFやかんぽ生命保険などの巨大なクジラが株のアロケーションを20%から25%と決めて、この変更がまだ完了していないからなのです。今までの国債などから株にシフトしているわけで、こうした買い出動をまだまだせざるを得ないファンドがあるのです。

 また、もう一つには、海外勢がそうしたクジラがいることで、そのクジラが食い終わるまでは危険な市場でもまだまだ大丈夫と見て、提灯持ちでくっついてきているということも株価上昇の理由です。

 株価は日本企業の実力以上になっているので、ショートしても良いだろうと考える人が化かされる理由は、そうしたクジラが存在するからなのです。日経新聞が論じているような説が実態ではないのです。しかし、そうは言っても、すでにショートされても不思議ではないほど高いところまできているので、我々の年金でこのまま買い続けるべきなのか、もっと慎重な年金運用をする人たちがいればしばらくここは国債での運用を考えるはずですが、20%と決めたらそこまで買い進めようというのが役人的な発想なのです。株高の本当の理由は、そこにあるのです。ショートしている人たちは、クジラの動向を読み間違えたということなのです。

 その中、黒田日銀総裁は17日、物価の基調は着実に改善しているという見方を示しました。消費者物価指数の足元の上昇率は原油安などを背景に縮小していますが、黒田総裁は若干のマイナスになる可能性も排除できないとしながらも、2015年度を中心とする期間での2%の物価上昇目標について「従来に比べ困難さが増したということではない」と強調しました。

 私の主張する心理経済学から見ると、皆が明るい気分になれば、日本の国民は1600兆円を持っているので、これがマーケットに浸み出してきます。4割の企業が給料を上げたと騒ぐとなんとなく明るい気分にはなりますが、実際はお金を持っているのは既に引退した60歳以上の高齢者で、この人たちには賃上げは直接関係がありません。しかし、ニュースなどで賃上げの話題が取り上げられるのを見れば、もしかしたら景気が良くなるのかもしれないと、明るいニュースにつられて経済も明るくなってしまうというのが日本の特徴です。

 韓国やアメリカのように先に借金をしてしまう社会だとそうはいきませんが、日本は嘘でもいいからもっと明るいことを言う方が経済にとって良いのです。黒田総裁はもっと積極的に明るいことを言えば良いのに、「困難さが増したというわけではない」などと哲学的な表現で言われても人々には伝わりません。日本の場合には、明るい状況だともっと言う必要があるのです。

 不動産市場ですが、日経新聞は「緩和マネー、都市に集中」と題する記事を掲載しました。これは2015年の公示地価が全国の商業地が7年ぶりに下げ止まり、都市部を中心に回復の動きがあると紹介していますが、雇用が伸びない地方圏は地価の下落が止まらない現状で、23年連続のマイナスとなっています。

 私のいるビルの周りでも10件ほど大きな工事が始まっていて、都心部は全く問題ないということがわかります。公示地価の圏域別・用途別対前年平均変動率を見ても、東京圏の商業地は上昇していることがわかります。地方中核都市も上昇してきています。住宅地はいまいちで、大阪圏の住宅地は上昇していません。一方、地方の平均は商業地も住宅地もマイナスです。その結果、全国平均は住宅地がマイナス、商業地はゼロという悲惨な結果となりました。

 都心の地価が上昇している理由の一つは、景気が上向き、金がだぶついてくると、株はそろそろ限界と思われ、定期預金に入れても1%にもならないので、不動産を買って売り抜けようという動きが出てくるからです。都心の不動産は間違いなく信じられないほど上がってきています。そこへ中国勢やシンガポール勢がやってきて、さらに上昇が加速しているという状況なのです。

【日本】国連常任理事国入りに強い意欲

 安倍首相は16日、国連創設70周年を記念するシンポジウムで演説し、安保理改革で常任理事国の数を増やし、日本が加わることに強い意欲を示しました。また、女性の活躍を推進するため、国連機関への拠出額を一昨年の10倍に当たる2000万ドルとすることなども表明しました。

 今回の安倍首相の演説は非常に露骨に常任理事国に入って責任を果たすと言っていますが、前回この件で盛り上がった時に、ドイツ、ブラジル、インド、日本を入れようという話になったものの決議まで至りませんでした。その理由は、安保理常任理事国の中国の反対でした。今回も中国と仲が悪い状態でこのようなことを言ってみても無駄なのです。それなら中国と何らかの関係を作って、中国にどうぞ入ってくださいと言わせるように持っていくべきなのに、拒否権を持っている国との関係をさらに悪化させた首相自らが、入りたいと言ってみても全く無駄だということなのです。

 国連の予算分担率を見ると、アメリカが22%、次いで日本が11%と、ドイツやその他の国々と比べて圧倒的に大きく、日本は常任理事国に入って当たり前だと思います。70年も前の戦勝国たちが常任理事国として世界秩序を牛耳り、かつ拒否権を持って他の国を入れないということはおかしいと思います。しかしながら、実際は拒否権を持っている国がある現状でどうすれば良いのか、まずは嘘でも良いから中国と仲直りし、拒否権を使わなくなるほど関係を改善させ、認めさせてからまた喧嘩すれば良いのです。喧嘩する順序を間違っていると思います。

 一方、先進国の首脳会談であるG7に入っているのは、アジアでは日本だけですが、中国の参加については反対していて、お互い様の状況だとも言えます。

 17日付の英誌フィナンシャルタイムズは、中国主導で年内の発足を目指すアジアインフラ投資銀行にフランス、ドイツ、イタリアが参加する見通しを報じました。イギリスに続きヨーロッパの主要国が加盟に合意したことにより、投資銀行に距離を置くよう働きかけてきたアメリカのオバマ政権にとって打撃になるとしています。

 AIIB(アジアインフラ投資銀行)には、中国がおそらく全体の資本金の3割程度を出すとみられています。中国が焦ってこうしたことを進めるのは、世界銀行もIMFもアジア開発銀行もみな先進国が牛耳っていて、アジアにはまだまだインフラ整備が必要で、そこに投資を集中する銀行が必要だと考えているからです。それに対し、日本やアメリカは、その運営の透明性が担保されていないと主張しています。しかし、IMFも世界銀行もそうした透明性が担保されているわけではないので、よく言うものだと思います。

 中国がこれを進めるもう一つの理由は、中国の経済スローダウンと崩壊に関係があります。中国は巨大なマシンで鉄道や橋や道路を作り続けてきました。コンクリートやアスファルト、鉄鋼まで機械を使ってどんどん建設を進めてきました。そうしたものがスローダウンしたことで、巨大な建設マシンをアジアの他の地域に持っていく必要があるのです。そうしないと中国では建設に関わる企業がへたってしまうのです。そうした状況からこの銀行の設立を積極的に進めているのです。そこへ日本が入っていっても、鉄鋼は当然中国のもので、なかなか主導権は取れないでしょう。中国側から見ても、最初に入ると表明したイギリス、フランス、ドイツ、イタリアを優先し、日本は意地悪をしてきたということであまり優先はされないでしょう。

 それならば日本は、アジア開発銀行で同様のインフラをアジアに作っていけばよいのです。今、日本はジョインするか、ファイトするか決めなくてはならず、徐々にジョインする方向に固まってきていますが、それではみっともないと思います。アメリカに言われて入らないと決めておきながら、ひも付きの投資に入らないのは日本企業にとっては不利なので乗っかったほうが良いのではないかと、ふらふらしている状況なのです。このような状況は最もみっともないわけですが、その理由はアメリカの腰が定まらないことにあると言えます。

 この銀行に関しては、やるなら徹底的に中国に次ぐ規模の資本を入れて、積極的にナンバー2のポジションまで狙うべきでしょう。ただ、中国は巨大な建設マシンを海外に持っていかないと国内がどうしようもないという焦りでやっているので、投資判断もあまりうまくいかないでしょう。世界銀行などのプロジェクトをみてもうまくいかないケースが多く、投資はしたものの、きちんと回収できるのかが問題です。途上国に投資しても返してくれないことが多いので、ここに敢えて突っ込むこともないだろうと思います。やるなら割り切ってアジア開発銀行でやれば良いということです。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
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