中国、習近平国家主席は3月26日、北京でインドネシアのジョコ大統領と会談し、インドネシアへのインフラ投資の強化で合意しました。ジョコ氏は中国主導で設立するAIIBアジアインフラ投資銀行について、設立を通じて国際金融の発展につなげて欲しいと述べ、支持を表明しました。(3月29日放映日時点の情報に基づきます)
AIIBには、すでに41ヵ国が雪崩を打って参加表明しています。中国には資金があるという認識を持っていることに加え、アジアを中心にしたインフラ作りに中国が乗り出すということで、中国は、設立国になれば一緒にルール作りをすると呼びかけていて、設立国になり意見を言ったほうがよいと判断しているのです。まずイギリスがアメリカを裏切って参加を決め、その後ドイツやフランスも参加を表明しました。G7で入っていないのは日本とアメリカだけなのです。ロシアも参加となりG8でも不参加は日本とアメリカだけです。
アメリカ側は、ルー財務大臣が中国の李克強氏と会っています。そこで色々確認し、アメリカも参加するという可能性もあります。すると、設立10兆円に対し、アメリカも資金を入れ、そうなれば日本も慌てて参加という、とてもみっともない後出しジャンケンのような展開もあり得ます。ただ、そうして資金を出しても中国主導という状況に変わりはないのです。
今回参加した国々は、IMFや世界銀行は意見を聞かず、アメリカやヨーロッパ主体で進められ、アジア開発銀行もトップは常に日本で思い通りにはならず、そうした不満分子が全て集まったと言えます。また、それぞれの国内のインフラ建設を進めようと、企業などの突き上げもあって参加しているところもあるでしょう。しかしおそらく全てが期待はずれになると思います。中国はそれほど甘くないでしょう。こうしてみんなが参加することがわかれば、新しい金融秩序を作ろうと積極的に進めていく可能性はありますが、日本はすでに入っても入らなくても影響力は持てないことは明らかです。
アメリカも今後指導力を発揮することは難しいでしょう。中国側は、程駐日大使が日本に参加を呼びかけてきていたこともわかっていて、日本がアメリカの出方を見るまでは態度を決められないという戦後の日本病の最たるもので、日本のみっともない事案の代表例になると思います。
今後は、どうせならアジア開発銀行を徹底的に磨き、AIIBと共同でプロジェクトを進めるという方向が望ましいと思います。アジア開発銀行は元々こうした目的で作られているので、プロジェクトベースで共同ファイナンスしていくということにすれば、内部で指導力を争う必要もなくなり、良い結果となると思います。
|