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2015.4.8(水)

険しさが増す日本の財政健全化への道(大前研一)

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険しさが増す日本の財政健全化への道(大前研一)2015/04/08(水)


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今回のテーマ

険しさが増す日本の財政健全化への道(大前研一)

【日本】財政健全化、はや暗雲~日経新聞~ 安倍首相、消費税10%超え封印

 日経新聞は25日、「財政健全化、はや暗雲」と題する記事を掲載しました。安倍総理大臣が去年11月、消費税率10%への引き上げ延期を決め、今年の夏に新たな財政健全化計画をまとめることを約束したものの、13日の衆議院財務金融委員会で、10%までは消費税を上げるが、それ以上の引き上げで税収を増やす事は考えていないと言い切ったことを紹介しました。

 実質GDP成長率と基礎的財政収支の試算を見ると、GDPが2%成長で推移した場合でも大きな改善は見込めないことがわかります。この状況で、消費税10%以上という可能性を封印してしまって良いのかということが問題なのです。こういった試算があるにもかかわらず、実際に封印したのは目の方で、事実を見ないことにしたに過ぎないのです。私は来月出版する「低欲望社会」という本でも示していますが、日本の解決策は全て目を覆い、見ないふりをすることになってしまっているのです。

 財務省も27日、2013年度末時点の債務超過額が451兆円と一年前と比べて4兆円増加して過去最高になったと発表しています。資産が伸びているから大丈夫だと言いますが、負債の伸びが大きいのが現実です。資産と負債の差額、つまり正味の負債は450兆円でどんどんと広がってきており、国民一人当たり450万円という数字になり、これは返しようがないのです。先ほどの本では、このようにアベノミクスがなぜうまくいかないのかということを説明しながら、実際にどのようにしたらこの低欲望社会で希望が持てるのかを論じているので、ぜひ皆さんに読んで欲しいと思います。

【ギリシャ】預金流出が加速~日経新聞~ 年明け2ヵ月で約12%流出

 日経新聞は29日、「ギリシャ、預金流出が加速」と題する記事を掲載しました。ギリシャ中央銀行がまとめた金融機関の預金残高は去年12月に約1,600億ユーロだったものが、年明けの2ヶ月で約12%相当が流出したと紹介しています。

 今後は銀行4行が破綻に向かう可能性があります。ギリシャの家計部門の預金残高を見ると、急速に引き出しが始まっていることがわかります。健全と思われているアルファ銀行以外の4つの銀行は、すでにいつ倒産してもおかしくない状況で、今後ユーロ連合との話し合いがうまくいかない可能性も高まってきているので、ギリシャはここからさらに難しい局面に向かうかもしれません。

【中国】アジアインフラ投資銀行の行方

 中国、習近平国家主席は3月26日、北京でインドネシアのジョコ大統領と会談し、インドネシアへのインフラ投資の強化で合意しました。ジョコ氏は中国主導で設立するAIIBアジアインフラ投資銀行について、設立を通じて国際金融の発展につなげて欲しいと述べ、支持を表明しました。(3月29日放映日時点の情報に基づきます)

 AIIBには、すでに41ヵ国が雪崩を打って参加表明しています。中国には資金があるという認識を持っていることに加え、アジアを中心にしたインフラ作りに中国が乗り出すということで、中国は、設立国になれば一緒にルール作りをすると呼びかけていて、設立国になり意見を言ったほうがよいと判断しているのです。まずイギリスがアメリカを裏切って参加を決め、その後ドイツやフランスも参加を表明しました。G7で入っていないのは日本とアメリカだけなのです。ロシアも参加となりG8でも不参加は日本とアメリカだけです。

 アメリカ側は、ルー財務大臣が中国の李克強氏と会っています。そこで色々確認し、アメリカも参加するという可能性もあります。すると、設立10兆円に対し、アメリカも資金を入れ、そうなれば日本も慌てて参加という、とてもみっともない後出しジャンケンのような展開もあり得ます。ただ、そうして資金を出しても中国主導という状況に変わりはないのです。

 今回参加した国々は、IMFや世界銀行は意見を聞かず、アメリカやヨーロッパ主体で進められ、アジア開発銀行もトップは常に日本で思い通りにはならず、そうした不満分子が全て集まったと言えます。また、それぞれの国内のインフラ建設を進めようと、企業などの突き上げもあって参加しているところもあるでしょう。しかしおそらく全てが期待はずれになると思います。中国はそれほど甘くないでしょう。こうしてみんなが参加することがわかれば、新しい金融秩序を作ろうと積極的に進めていく可能性はありますが、日本はすでに入っても入らなくても影響力は持てないことは明らかです。

 アメリカも今後指導力を発揮することは難しいでしょう。中国側は、程駐日大使が日本に参加を呼びかけてきていたこともわかっていて、日本がアメリカの出方を見るまでは態度を決められないという戦後の日本病の最たるもので、日本のみっともない事案の代表例になると思います。

 今後は、どうせならアジア開発銀行を徹底的に磨き、AIIBと共同でプロジェクトを進めるという方向が望ましいと思います。アジア開発銀行は元々こうした目的で作られているので、プロジェクトベースで共同ファイナンスしていくということにすれば、内部で指導力を争う必要もなくなり、良い結果となると思います。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 学長
大前 研一
3月29日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!