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2015.5.27(水)

ギリシャ問題の最大リスクとは?(藤本誠之)

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ギリシャ問題の最大リスクとは?(藤本誠之)2015/05/27(水)


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今回のテーマ

ギリシャ問題の最大リスクとは?(藤本誠之)

ユーロの動向と原油価格

 為替はじゃんけんのようなもので、主要外国為替相場の動きを見ると、どちらかが強いとどちらかが弱いというものです。全面的に強かったり弱かったりはせず、対円で見た年初来からの騰落率はバラバラの動きになっています。今年に入ってから米ドルはそこまで強くないという状況です。一方弱さが目立つのがブラジルレアルで、11%下げています。また、ロシアルーブルは昨年末に崩れただけに年初来から見ると15%以上上がっています。去年は1年間で35%以上下げたので、下がったら上がるリターンリバーサルの動きだと思います。

 今の注目ポイントは、ユーロ安がやや一服した点だと思います。ドルとユーロの動きを対円で見ると、ドル円はこのところ全く動きが見られません。2月以降、120円を挟んだ非常に細かいレンジの範囲内で動いています。その間円に対して売られ続けてきたユーロがこのところ立ち上がりつつあるというのが最近の動きです。ヨーロッパが少し元気になってきたところだと思います。

 ここまでのユーロ安については、原油安によって引き起こされたのではないかと思います。ドイツの10年国債のグラフをみると、利回りが0.1%を割り込むところまで低下して、手数料を払うとマイナス金利になったのではと思われるほどまで債券価格が上昇しました。それがここのところ10年債利回りは急上昇し、非常に高いところに来ています。

 その原因の一つは原油価格が上がり始めたことにあるでしょう。ユーロドルの推移と原油価格の推移のグラフを重ねてみると、ユーロは原油に左右されやすいことがよくわかります。今後原油は前回の安値を切るとは考えにくく、とは言えインフレになるほどに強くは無いので、そうしたことから考えるとユーロもしばらくは横ばい、もしくは少しずつ上がるようなイメージを持っておけば良いのだろうと思います。

 ユーロ円の値動きを改めてチャートで確認します。昨年末からユーロは円に対して売られ、ドイツ国債が急騰していたことも一つの理由となり、1ユーロ150円近い水準から120円台まで下げました。ただ直近はそこから切り返してきています。原油価格の上昇もユーロの後押しになっていると思われます。

 また、ユーロドルのチャートを見ても、ユーロはドルに対して去年の半ばから売られ続けました。1ユーロ1ドルに近づいたものの、しかしようやく下げ止まり、上がっていく動きとなっています。こうしたユーロの動きは頭に入れておくと良いでしょう。

ギリシャ問題の最大リスクとは?

 ヨーロッパに関してはギリシャショックがあり、欧州経済危機という問題を抱えてきました。最大の理由はEUの成り立ちから来ているわけです。財務基盤に問題点を抱えるギリシャのような国からドイツのようにきっちりした国まで、様々な国々が入っているのでしかたがないものの、同じユーロを使っているので為替で経済を調整することもできず、厳しい状態が続いています。

 注意すべき点としては利下げ余地がなくなってきたこと、また選挙が怖いという点です。中国のように一党独裁ではなく民主主義の国々なので、いかに素晴らしいことを言っても議会を通らないと実際には動けないところが一つの問題点だと言えます。

 対応策としては、南欧の国債を買っていくことや、量的金融緩和を行ったことが挙げられます。そうした中でドイツ国債が急騰し、また急落するなどという非常に激しい動きを見せているわけですが、この辺はトレードのチャンスとも取れるので、注目すべきだと思います。

 一方、ヨーロッパの株価を見ると、ドイツDAX指数の強さが目立ちます。ドイツは本来景気が良い国で、アクセルを締めなければいけないわけですが、他国の景気が悪いことによりアクセルを踏み続けてしまったという状況なので、やはりバブル的な要素も多いと思います。ただ、一時急騰した株価指数は、足元は一旦休憩気味となってきています。

 ギリシャの問題は大詰めを迎えていて、ギリシャがいつ破綻してもおかしくないほど厳しい状態にあると思います。ギリシャ側も交渉相手であるドイツやフランスも、どちらも独裁制の国ではなく民主主義国家です。選挙で選ばれた人が戦っているからこそ、それが揉める元になっています。

 基本的にギリシャはお金がないので緊縮財政をして借金を返す必要があり、浪費を止めて節約をしろと言うのが貸した側の立場です。一方ギリシャは、貸したのはそちらの判断であり、なぜ自分たちだけが苦しい思いをしなくてはならないかという主張をして揉めているわけです。この問題はどちらも折れてしまうと選挙に負けることになるので、いかんともしがたい状況です。

 ただ、ギリシャのデフォルト、もしくはユーロ離脱が起きても、影響はあまりないと思います。過去のギリシャショックの時には、普通の銀行がリスクのそれほどないと思われていたギリシャ国債を大量に保有していましたが、ギリシャショック以降はギリシャがやばいと認識され、普通の投資家はギリシャ国債を売ってしまいました。逆にヘッジファンドのようなリスクを取って勝負してもいいと言う人たちが、今ギリシャ国債を持っているので、もしギリシャが破綻して返せなくなってもそれほど大きな影響にはならないと言えます。

 それよりもギリシャ最大のリスクは、ゆるい条件でEUが折れた場合だと考えます。この場合、スペインやイタリアなど他の南欧諸国にもいろいろな政党があり、そもそも緊縮財政を嫌い、ハッピーに生きていきたいと言うこうした諸国が、うまくやったギリシャに追随しようという動きが出始めるでしょう。そういうノリを復活させてはいけないのです。

 やはりギリシャは痛い目に遭い、他の諸国もそうならない為に頑張ってもらう方が良いのです。もし追い込んだためにギリシャが破綻したとしても、十分なセーフティーネットが敷かれているので大丈夫だろうと思います。瞬間的にマーケットが揺れる可能性はありますが、逆にそこは大きな目で見れば買い場になる可能性もあると思います。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師
SBI証券 投資調査部
シニアマーケットアナリスト
藤本 誠之
5月19日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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資産形成力養成講座 加藤

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