グローバル・マネー・ジャーナル

2015.6.17(水)

新発10年物国債利回り 0.505%に上昇(大前研一)

グローバル・マネー・ジャーナル

新発10年物国債利回り 0.505%に上昇(大前研一)2015/06/17(水)


大前研一学長総監修 資産形成力養成講座 グローバル・マネー・ジャーナル 「最新・最強・最高」クオリティの金融情報とデータ!

第397号!資産形成力養成講座メルマガです。

大前研一
資産形成に役立つ情報を、大前研一ならびに一流講師陣から学ぶ!

【7月より資産運用の学習を開始!】6月23日(火)15時まで

アベノミクスによる円安・株高を背景に、銀行預金ではない金融資産で運用する方向に関心が向かう今、資産運用の考え方、実践を学ぶ講座で基礎からしっかりと学びませんか? 「自ら考え、自ら行動を起こし、自らの手で資産を形成すること」 資産運用への第一歩をサポートしてまいります。

【東京・秋葉原セミナー】 残席25! 日本財政破綻の可能性は!? 7/25(土)開催!

【無料説明会】 東京・麹町(6/19)で開催!講師書籍プレゼント!

【無料メールセミナー】グラフで分かる日本経済! 登録無料!

今回のテーマ

新発10年物国債利回り 0.505%に上昇(大前研一)

【日本】新発10年物国債利回り 0.505%に上昇

 4日の東京債券市場で、長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが、去年11月18日以来の高水準に上昇しました。

 日本の場合、ハイパーインフレの序章になるので注意深く見ておくべきです。まだ心配するレベルではありませんが、ドイツやアメリカも急激に金利が上昇しています。利回りを高くしないと国債を買わなくなり、株に向かってしまうという流れで、日本もこの問題については非常に神経を使って見ておく必要があると思います。

 また国内の株式市場はかなり過熱感が出ています。アメリカはダウが簡単に2万ドルに達するかと思っていたら、1万8000ドルを割り込んでしまいました。その一方で日経平均は2万円を超えて大きく上昇し、日米の株価の動きに差がついてきてしまいました。日本株については過熱感から少ししんどい位置にありますが、7頭のクジラがいてまだまだ株を買うと言っているので、外国の機関投資家も連れ買いしています。しかし、その人たちの中にもやや警戒感が出てきたのがこの週だったのではないかと思います。

 株式市場については、2014年度決算を発表した東証一部上場1714社のうち、ROE(自己資本利益率)が10%を超えた企業が549社、32%となったと、日本経済新聞社の統計が報道されました。アメリカの主要企業の平均13%や、ヨーロッパの平均9%に匹敵する企業が増えている現状で、円安により企業の利益が過去最高を更新する一方、自社株買いや増配で不要な資本を減らしていることが主な要因とみられます。

 これまで欧米企業は特にROEが高かったので、日本企業は見劣りしていましたが、今は機関投資家がROE狙いで投資をするという方針を打ち出しているので、ROE=リターンオンエクイティの、エクイティを減らしていく傾向にあります。エクイティを減らすことで、一定の収益があったときに、分母を小さくするわけです。要らないものを取ってしまうということで、自社株買いもその一つと言えます。そういうことをして、ようやくROEが10%を超える企業が3分の1出てきたということなのです。日米の企業を同業同士で比較してみると、平均はこのように近づいてきていますが、まだまだ劣るところが非常に多い状況です。

【ギリシャ】6月期限の約2000億円 月末に一括返済で資金繰り懸念

 ギリシャ政府は4日、IMFに対し、6月中に返済期限を迎える債務15億ユーロ、約2000億円について、月末に一括返済する方針を伝えました。

 ツィプラス首相がこの方針を示し、IMFがそれを受け入れざるを得なかったわけですが、6月を越せるかどうかというところが非常に問題であると言えます。面白いのは、このツィプラス首相を選んだギリシャ国民の世論調査では、EUから追い出されてはたまらないと、改革要求を受け入れに賛成が47%、反対が37%となり、ツィプラス首相を選んだ時とは明確に逆の結果が出ているのです。最後の恐怖を見せられ、やっぱりユーロに残って欲しいという考えになってきているのだと思います。

 また、ギリシャ中央銀行は4月の国内金融機関の預金残高が1336億ユーロ、約18兆円だったと公表しました。金融支援再開をめぐるEU側との交渉の不透明感を嫌気し、昨年12月時点と比べて約16%減少し、預金残高は2004年の水準まで落ち込んでいます。

 ギリシャの銀行から急速にお金が逃げていき、国民はどこか別のところに預けているか、ユーロのままタンス預金にしているのでしょう。結局ギリシャの銀行がひっくり返ってしまうという状況です。取り付け騒動まではいきませんが、急速に残高が減り、厳しい状況になってきているのです。

【フィリピン】アキノ大統領、残り任期と経済情勢

 日経新聞は30日、「フィリピン・アキノ大統領、残り任期1年」と題する記事を掲載しました。これはアキノ大統領が6年間の任期の最終コーナーに差し掛かるとし、汚職一掃や財政再建で成果を上げ、高い経済成長を実現した大統領は、残る一年で課題だったインフラ整備などに取り組むと紹介。来年5月の次期大統領選に向け、与党連合から有力な後継者を見出し、アキノ路線をいかに引き継ぐかも大きな課題としています。

 アキノ大統領は確かによくやったと思います。ただフィリピンの場合には、マルコス長期政権が腐敗を生んだ反省から、大統領は6年1期と定められているのです。ラモス氏のような優れた指導者が出てきたときも、1期で終わりとなったわけです。アキノ大統領も惜しい存在です。非常に良い仕事をし、任期中の平均経済成長率も6%を超えているのです。

 フィリピンは若く、人口ボーナスもある国なので、ここに良い大統領があと一期続き、全部で12年間ちゃんとしたことをやれればよりよいでしょう。アキノ大統領がまだできていない農地解放などを次々にやっていけば、これまでの劣等生から脱して、ASEANの中で最も頭の良い人が多い、有望な国になってくると期待できます。

 アキノ大統領は6月2日~5日で来日し、国会で演説もしました。中国の問題などもあり、アキノ大統領は日本との関係を強化したいところなので、今後の両国関係の緊密化に期待しています。

 フィリピンの歳出、歳入をみると、まだ歳入が歳出より低いものの、その前より悪化はしていません。経済成長率の推移もアキノ大統領の任期中はマイナスにはならず、平均6%になったということなので、評価できると言えます。ただ、フィリピンの大統領は俳優が選ばれて大混乱になることもあり、今のところ有力な候補者がいないので、これから候補者を絞り、競争させて国民に選んでもらう必要があります。次の大統領によって、フィリピンが非常に安定したASEANメンバーになるのか、それともまた落ちていくのかが決まることになります。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 学長
大前 研一
5月31日、6月7日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
詳しくはこちら

資産形成力養成講座 加藤

資産運用はインフレ経済下で特に重要になります。デフレ下では資産運用をしなくてもモノの価値が下がっていきますが、インフレ下ではモノの価格上昇を超える運用をしなければならないからです。資産運用は、株式・債券・為替・コモディティ・不動産など多岐に渡りますので、総合的な理解や考え方が求められます。世界標準の資産運用を学び、第一歩を踏み出してください!

【東京・秋葉原セミナー】 残席25! 日本財政破綻の可能性は!? 7/25(土)開催!

【無料説明会】 東京・麹町(6/19)で開催!講師書籍プレゼント!

【無料メールセミナー】グラフで分かる日本経済! 登録無料!

資産形成力養成講座では、Facebookページでも金融にまつわる最新ニュースなどご紹介しております。ぜひこちらもチェックしてください。

「資産運用を日本の国技に!」「世界最適運用で世界標準の5%~10%の利回りを目指せ!」大前研一学長の掛け声のもと、2006年にスタートした資産形成力養成講座。5000名を超える受講生が学んできました。

これまで長期デフレを経験した日本。デフレに慣れ、インフレの想像がつきにくい方も多いかもしれません。しかし確実に、デフレ脱却に向けて動き出しています。インフレとはモノの価値が上昇する世の中。私たちはそうした物価上昇以上に持っている資産を高めていかないと生活力(購買力)を落としてしまうことになります。

金融機関など他人任せにするのではなく自ら設計することで、手数料などを考えると2%程度の利回りの差になることも多々あります。毎年2%の差は、例えば500万円運用している人にとって、10年で100万円以上の差になって現れます。欧米では学校教育で「お金」について学ぶ機会がありますが、日本ではほとんどありません。みなさんも、世界のお金の流れを学び、リターンを実現できる資産形成力を高めませんか?

それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!