耕作放棄地は40万ヘクタールほどあるとされ、滋賀県一県分と言われています。全耕作地に占める面積は10%を超えています。私も長野県等を走り回っていますが放棄地が非常に多くもったいないと感じています。他の人に売ったり貸したりすれば良いのに放ったらかしにしているのです。こうした土地を調べてみると、税法通り毎年確認調査をしているところがほとんどなく、3年に1度程度、あるいは全くやっていないというところが大半だというのです。
一般農地として農地課税されるとすると、10アール当たり1,000円ほどです。一方、農地価税でも生産緑地地区の指定を受ければ数千円に上がります。市街化区域の農地となった場合には宅地並み評価ということになり、10アール当たり数万円となります。また、宅地並み課税となると、10アールで数十万円となります。この調査をしていないという事は農民が10アール当たり1000円で済んでいるということなのです。ここに大きな取りっぱぐれがあり、サラリーマンとの間にさらに不公平な状況を作っているのです。かつそれに加えて相続税もないということなので、やはりこれは農地の実態に合わせてきちんと課税しないといけないでしょう。
いわゆる都市型サラリーマンとの差がこれ以上拡大すると税務署に対する大きな批判になってくるので、課税当局は命がけで対策をしなくてはならないと思います。一方で、耕作放棄をしていてそこまで課税されるとなると負担が大きいので手放そうという動きにつながります。これが大規模農地化や企業による農業参入につながってくるわけで、有効利用ができるようになると思います。土地を持っていても何もしない、所有者は70歳を過ぎている、などという事は農水省、財務省、自治体、お互いの怠慢で、農地について怠慢の連鎖になっていることが大きな問題だと言えるでしょう。
日経新聞は「路線価で知る住宅の税金」と題する記事を掲載しました。記事では都市部を中心とした地価の上昇や低金利の長期化を背景に、不動産にかかる税金に関する問い合わせが増えていることを紹介しています。相続税や固定資産税はいずれも国税庁や市町村が公表する路線価が評価の基準となり、そこから課税評価額を求める方法や控除の条件等について解説しています。
住宅については課税の基準となる路線価をネットで調べることもでき、税理士に依頼して調べてもらうこともできます。農地の方は何年も調べていないのでわかりませんというのとは対照的です。よそのところはどうしているかというと、ヘリコプターで放棄されているところを識別するなどの方法で調査しています。今ではGoogleマップを拡大すれば、簡単にわかるかもしれません。都市型住民ばかりがこのように圧迫されているという状況は徴税の歪みであり大きな不満につながるので、これを今のうちに改善するとともに、より積極的に一般にアピールしていくべきだと思います。
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