グローバル・マネー・ジャーナル

2015.8.5(水)

日銀バランスシートの現状(大前研一)

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日銀バランスシートの現状(大前研一)2015/08/05(水)


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今回のテーマ

日銀バランスシートの現状(大前研一)

【日本】日銀バランスシートの現状

 金融メディアZUUオンラインは9日、「日銀のバランスシートに見るクリティカルな状況」と題する記事を掲載しました。これは日銀とFRBのバランスシートを比較し、日本の国債発行額や日銀の保有量が莫大な規模に達していると紹介。長期金利が上昇すれば、償還や利子の支払いにかかる経費は膨れ上がるとし、金利上昇は日銀が抱える最大のリスクと指摘しています。

 これは私がずっと指摘してきたことですが、日銀のバランスシートを見ると、国債をフォアグラのように食べてしまっていることがわかります。323兆円の資産のうち、269兆円が国債です。数年前とは様変わりしています。かなりの部分が当座預金とその他の負債で、純資産は4兆円を切り、ほんのわずかしかありません。

 しかも、日銀の資産残高は350兆円で、525兆円のGDPに対しては70%、一方アメリカではGDPが17.4兆ドル、約2000兆円のGDPに対して4.5兆ドル、600兆円ということでその割合は約26%とずっと少ないわけです。従って、中央銀行がここまで国債を食べてしまっているので、支払い金利が上がってきたときには大変なのではないかという話なのです。私に言わせると、やはり日銀中心の安倍黒バズーカはリスクが高いということを、バランスシートをみて改めて考える必要があると思います。

 日本証券業協会がまとめた国債投資家別売買高によると、外国人投資家の買い越し額は1-6月期の累計で、半期として初めて100兆円を超えたことがわかりました。ヨーロッパやアメリカの国債に比べて価格変動が少ないとの安心感から、投資資金の流入が増えていると見られます。

 日本の場合には国債をほとんど日本の金融機関と日本人が買っているので大丈夫だと言われてきましたが、外国人の買い越しが100兆円を超えるということは結構大きな規模だと言えます。この間、日本の都市銀行はずっと売り越しをしてきていて、外国人が買い越しをしています。ただし外国人はいざとなったらさっと逃げるのです。

 国債保有状況を見ると、中央銀行がダントツに買い進んでいて、保険も買い増していますが、一方、国内銀行と中小企業金融や郵貯は売ってきています。つまり脱国債に向かっているのです。いわゆる国内銀行は海外資産のほうにシフトしていて、400兆円も買い込んでいます。こうした中、海外投資家の保有が伸びているということは非常にテンポラリーに買い進んでいるのだと思います。いざとなったら売り浴びせることは間違いないので、リスクは増していると思います。そして、その余波を最も受けるのは中央銀行なのです。こうしたリスクを正確に分析しておく必要があるでしょう。

【世界】世界マネーの動きを見渡す

 20日のアメリカ市場で原油先物が、一時、節目の1バレル50ドルを下回る一方、金相場も19日夜の時間外取引で約5年5カ月ぶりの安値をつけました。

 これでイランが国際戦線に復帰してくるとなると、さらに供給が過剰になるのは明らかなので、原油先物は50ドルを割り込むような状況になってきています。これを反転させるには、景気が良くなって油に対する需要が伸びないといけないわけですが、今はそれが見通しにくいという状況なのです。

 日経新聞によると、海外投資家が香港取引所経由で売買できる上海株の売り越し額が、24日時点で333億元、約6600億円と、一月の額としては過去最大となりました。

 やはり今回の操作で、官製相場に対する不信感が一気に拡大しました。これから中国に投資をしていこうという人はいなくなり、中国の人たちだけが投資していくということになるので、相当長期に渡って冷え込んでいくでしょう。外国からお金が流れ込んでいくことがほとんどなくなってくると思います。官製相場のマーケットに投資する機関投資家は世界にはほとんどいないと思います。

 日経新聞は、「政府系基金、アジアに傾斜」と題する記事を掲載しています。アブダビ投資庁など、世界の大手政府系基金が不動産投資を加速させていると紹介しています。

 そのほかにノルウェーの政府系基金ノルゲスも、日本をはじめアジアの不動産投資をすると表明しているので、不動産市場には確かに資金が向かう状況です。しかし中国の不動産投資に関しては急速に冷えてきていて、それによってしだいに香港に対しても冷えてくると思われます。投資先は結局、ASEANプラス日本になってくるだろうと思います。

 ギリシャ議会は銀行の破綻処理手続などを柱とする財政改革法案の第二弾を賛成多数で可決し、これでEU側から求められていた条件をクリアしたことになります。

 ギリシャの場合には、一難去ってまた一難ということで、今後もヨーヨーのように浮き沈みする状況が続くと思います。最終的に40兆円もの負債を全て返していくことは難しいと思うので、負債の減免の交渉がこれから出てくるでしょう。今後は、ヨーロッパ側がこれをどこまで受け入れるかということに関心が集まってくると思います。

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それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!