グローバル・マネー・ジャーナル

2015.8.12(水)

日本国債の膨張を支えてきたデフレ(田口美一)

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日本国債の膨張を支えてきたデフレ(田口美一)2015/08/12(水)


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今回のテーマ

日本国債の膨張を支えてきたデフレ(田口美一)

日本国債の膨張を支えてきたデフレ

 日銀黒田総裁は財務官当時から、日本は絶対にデフォルトしないと言い続けてきました。その理由を整理してみると、まず国債保有者の95%が日本人だということです。正確には、3月末の統計で見るとドイツ国債が大きく下がったので、ヘッジファンドや海外の運用者が日本国債を買ってきたことにより日本人の保有率は91%となっていますが、何れにしても保有者のほとんどが日本人なのです。そして、債務は全て円建てで、GPIFや生保、銀行から日銀の保有に変わってきてはいますが、金融機関が持っていて安定的に消化されているのが日本国債なのです。日本はそういう国なので大丈夫だと財務省は言っているのです。

 国債市場の主役は今、他の金融機関から日銀に変わってきていますが、一方で、個人は40兆円、事業法人10兆円と、直接買っている分は少ないものの、金融機関を通して国債を購入しています。しかしこれが10年間、流動性預金、つまり普通預金が根雪のように金融機関にとどまっている状況なのです。金融機関はこのような根雪になった預金が無コストで多くとどまっているので、このくらいの国債を買っても大丈夫だという研究をし、その結果国債をどんどんと買ってきました。

 さらに生命保険会社も同様に生命保険料で資金が入ってくるので、一定量は国債を買っても大丈夫と購入を進めてきました。生命保険の場合には1.5%の予定配当率などがありますが、それも引き下げています。こうして我々個人の預金や、事業法人の預金、そして保険からどのくらいの分量の国債を買っているかというと、国債1000兆円のうち、300兆円から400兆円に上ります。約3分の1が、我々が預けた資産から国債購入に回っているということなのです。このことからも日本国債がものすごく安定しているということがわかります。

 日本人の個人金融資産は、2010年に1500兆円だったものが、2014年には1700兆円に膨らんでいます。そしてこの内、今年になって少しは減ったものの、預金が55%という大きな割合を占めています。1700兆円の55%なので、900兆円ほどが預貯金としてずっと溜まっているということで、アメリカや他の国々と比べると突出していることがわかります。これが、背景として今の日本国債を支えていることは間違いありません。

 日本はなぜこのように預金が溜まっているのか、様々な説があります。一番正当化できると思う理由は、デフレだからというものです。今、1700兆円の金融資産のうち、60歳以上の人が持っている割合が60%と言われています。ある試算によると、10年後には70歳以上の人が70%を持つことになるそうです。資産は年配の方が多く持っているのが現状ですが、どうして持ち続けているのかというと、ずっとデフレだからです。この3年ほどは円安、株高となっていますが、90年代は嫌になるほど円高、株安が続いてきたのです。さらにゴルフ会員権も加わって、当時の愚痴の三点セットとなっていたほどです。

 それほど厳しい状況の中デフレが続いたことで、キャッシュ、現預金が一番強いものとなってきました。デフレであるために、金融資産の多くが現預金に置かれていることがプラスとなっていたのです。買い控えした方がメリットになるのです。しかもその現預金は、8%、7%といった金利の定額預金で貯めてきたものが大方です。コツコツ貯めたお金を8%の定額預金にすることで、2.5倍にしたという方も珍しくはありません。そのお金を安全にキャッシュで持っていれば、円高や株安の不利益もなく、孫にお小遣いをあげたり、子どもに住宅資金を援助したりできたわけです。さらに現金、預金で持っていれば、物価の方が下がるので幸せだったということなのです。そして、それが実際は国債を支えてきたのです。

 メガバンクの方も、はじめのうちは預金がいつ引き出されるかわからなかったので国債投資を控えていましたが、研究を進めるうちに根雪のように資金が留まっていることがわかり、国債に使うのが妥当だと気付いたのです。それが2000年代後半に花開き、メガバンクは大きな利益を上げることになるのです。その運用で多くの利益を上げた方が今の役員になっているのです。そうした動きが日本の国債を支えてきたのです。

日本国債は誰が保有しているのか?

 国債保有の今後の見通しをみると、現在は日銀が25%、国民が30%なので合わせて約60%が日銀と国民の保有です。残りは10%が外国人で、それ以外は銀行が預金ではなく自分の財産として購入している分や、投信などで持っている分でしょう。今後についてみると、2016年にはこのままいくと日銀が45%を保有するとみられています。60歳以上の国民と日銀によって国債の8割を支えるというすごい構図が想定されています。フローをみるとなんと98%が日銀となり、これは心配になる数字です。

 冷静に分析して、時間はどのくらいあるのでしょうか。日銀は今のまま毎年80兆円ずつ国債を買うと言っていますが、実際は難しいと思います。買い続けることができたとして、新規国債発行額が40兆円なので、1年買うと2年分のファイナンスが可能です。2年買えば、4年分の赤字国債を吸収できるわけです。さらにもう一つ、日銀はマーケットでメガバンクが持っていた国債を買っています。そしてメガバンクは日銀からその分の当座預金をもらいます。

 バランスシートでメガバンクの資産サイドにあった国債は日銀に渡され、その代わり現金をもらうわけですが、それを日銀当座預金に振り替えているということで、それが今200兆円あるのです。今後4年分の赤字国債のファイナンスができたとして、さらに今ある200兆円の当座預金で国債を買うとしたら5年分になるので、一応9年分の赤字国債が吸収できるということになります。これをどう捉えるか、意見は様々だと思います。

 外貨準備については圧倒的に中国と日本が持っていますが、イギリスのように通貨が売られた時には防衛しなくてはいけません。資金がなくなるとIMFからお金を借りなくてはならず、一種のデフォルトとなってしまいますので、外貨準備や対外純資産国であることは重要だと言えます。

 中国はアメリカの国債を多く持っていて、外貨準備の額は突出しています。日本も中国と比べると少ないものの多くの外貨準備を保有しています。対外純資産は外国に対して資産と負債をネットで見るもので、日本の多さが目立ちます。投資を多くするとこれが膨らみます。この意味は日本が外にたくさんの財産を持っているということで、大事に至れば使うことができるものを多く積み上げているというわけです。ただし、持っていれば良いというものではありません。アメリカは大きくマイナスですが、これはアメリカにお金がたくさん投資されているということです。この数字についてはプラスが大きければ良いという一面的な見方には注意した方が良いでしょう。

 このように、日本の国債の強みは、預貯金がたっぷりあり急に動かせないという事実、また、日銀や民間銀行にも国債購入余力がたっぷりあること、そして外貨準備の余力もあるということが挙げられます。デフォルトの可能性はあるにしても、時間的にはかなり先であると言えるでしょう。あるかないかと言えば、今のところないと考えて大丈夫だと思います。ただし、重要なのは対策をきちんと打つことです。景気を良くして名目GDPを上げて税収を増やす、緩やかなインフレ、緩やかな金利上昇が起き、バブルになれば増税すればよいというのがリフレ派と言われる人たちのロジックです。一方で歳出構造の見直しも不可欠だと言えるでしょう。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師
金融経済アナリスト
前クレディ・スイス証券副会長
田口 美一
7月25日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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資産形成力養成講座 加藤

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それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!