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2015.8.19(水)

ギリシャGDP比24%規模の地下経済(大前研一)

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ギリシャGDP比24%規模の地下経済(大前研一)2015/08/19(水)


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今回のテーマ

ギリシャGDP比24%規模の地下経済(大前研一)

【ギリシャ】課税逃れなど「影の経済」 GDP比24%規模

 日経新聞は先月29日、「脱税天国、納税意識低く」と題する記事を掲載しました。EUから金融支援を受ける条件として、ギリシャ議会が23日に可決した財政改革法案からは農家を装う脱税を減らすための措置がすっぽり抜け落ちていると指摘。与野党が強く反対した事を受けたものですが、国民はもとより、その代表である議会も脱税を正す意識に乏しいと指摘しています。

 これは、ツィプラス首相は金持ちを本当に制裁する気があるのかという問題です。ポピュリストではあるものの、金持ちと手を組んでいるのではないかということなのです。ヨーロッパ側は税金を納めるべき人からちゃんと取り上げろと要求しているわけですが、一部がすっぽり抜けているというのです。

 ただ、ヨーロッパに限らず、ブルガリア、ルーマニアなどを筆頭に、ギリシャも含めGDPの4分の1ほどが地下経済であり、ちゃんと税金を取れていない部分があるのです。日本や英国、オーストリア、ルクセンブルク、米国などは地下経済の割合が非常に小さいですが、ギリシャもこの部分をしっかりと課税すれば、GDPの4分の1は助かるのです。

 それにもかかわらず真面目に課税しない理由の一つは、政治家や徴税官たちにうまく手を回しているということと、きついことを言うとすぐに外へでていってしまうということがあります。逃れる先はルーマニアとブルガリアで、そこが裏庭というわけです。そこはさらに脱税の割合の大きなところなのです。痛し痒しのところがありますが、これが非常に重要な問題となっているのです。

 この問題に関してTIME誌には、負債が大きくても政府がしっかりしていればなんとかなるのではないかと、日本礼賛の記事が出ていて目が点になりました。日本の場合には地下経済も少なく、国家債務は巨大ではあるがそれを克服する方法がある、ギリシャが学ぶべきは日本だという話で、このような日本礼賛の記事は初めて目にしました。

 確かに、55%もの税金をじっと我慢して納めている大人しい国民は珍しいと言えます。これがギリシャだったら15%でも逃げていなくなってしまいます。国民をこのように教育した文部科学省の大勝利と言えるかもしれません。ただし、この記事はそうした皮肉で書かれているわけでもなく、政府がしっかりすれば世界が信頼し、いずれは債務も返済できるだろうと最後まで日本を讃える内容でした。おそらく人口減少や低欲望社会であることなどは知らない記者が書いているのだと思いますが、日本が良い例だという内容には本当にあきれてしまいます。

【フィリピン】アキノ大統領、後継にロハス内務・自治相を指名

 フィリピンのアキノ大統領は先月31日、次期大統領選の候補者としてマヌエル・ロハス内務・自治大臣を指名しました。反汚職や財政再建を掲げる現政権の路線を引き継ぎ、経済成長を持続させる狙いで、来年5月の選挙に向け、候補者や政党間での駆け引きが活発化しそうです。

 元大統領を親族に持つという点ではアキノ大統領もロハス大臣も同じです。ロハス氏は戦後すぐに祖父が大統領を務めていました。また、ロハス氏は意外にクリーンな人物として知られています。ただ、問題は他の人の人気が上回っているということなのです。対立野党は弁護士でマカティ市の市長だったビナイ副大統領を候補に挙げていて、また、孤児で人気俳優の養女になったポー上院議員も非常に人気を集めてきています。

 今、フィリピン経済はASEANの中でも非常に調子が良く、これがアキノ大統領の最大のレガシーと言えます。フィリピンの最大の輸出品は人材であり、その人たちが海外で稼いだ金を送金するわけですが、海外から本国への送金額を見ると、2兆円から3兆円近くに上ります。一人当たりGDPも、アキノ大統領の時代に3000ドル経済にまで上昇しました。

 次の人が誰であれ、この経済的なモメンタムを続けないと元の木阿弥で、エストラーダ元大統領のような人物が出てきた場合にはどうしようもなくなってしまいます。今回の候補者三人はどれを取ってもそれほど悪い人はいないようなのでそこまでのことにはならないとは思いますが、後継者とされたロハス氏になる可能性も高い一方、フィリピン人は喜劇俳優など人気の高い人が選ばれることがあるので、その点がやや心配ではあります。

 まだ若いアキノ大統領がなぜもう一期やらないのかというと、マルコスの悪い伝統で、大統領は一期だけと決まっているからです。ここでルールを変えるわけにもいかず、彼の選んだ候補者が助けを得ながら次期大統領になる可能性が高いわけですが、これだとブラジルのルーラ氏がルセフ大統領を選んだ時と同じようなパターンです。結局ルセフ氏はハチャメチャで、汚職疑惑で罪を問われて混乱を招いています。アキノ大統領の場合はそんなことにはならないと思いますが、ルーラ氏の指名した人だからとルセフ氏を選んでひどいことになった例もあるので難しいとも言えます。

 いずれにせよ、フィリピンの次の大統領選は極めて重要な選挙になると思います。フィリピン人もここは面白おかしくやらずに、国の将来のために真面目に選んでほしいと思います。

【中国】上海総合指数 前週末比8.48安 ~7月27日~

 上海株式市場で7月27日、上海総合指数が前週末に比べ8.48%安い3725に急落しました。一日の下落率としては2007年2月以来、約8年5カ月ぶりの大きさです。

 この1年間で2.5倍にもなった株価は、企業業績がそれほど改善しているわけでもなく、むしろマネーゲームだったと言えます。不動産がおかしくなり株式の方に行き、政府もテレビなどを通して株で儲けてくださいなどと平気で言っていたわけです。実際2.5倍になり、3割減っただけで今度は証券会社に金を貸して買い支えようと手段を講じています。また、5%以上株を持っている人は売り買いを禁止してフリーズもさせています。このような株価対策をやったおかげで、今実力はどこにあるのか、どうやったらコントロールできるのかわからなくなっているのです。

 とりあえず株価を無理やり戻したので、追証が発生していた人たちは一応解決しましたが、借りたお金で投資しているので、今度はその価格で売り切らないといけないわけです。つまり株価を戻したら、売り圧力がもっと高まってしまったということなのです。それが今回の大きな下落につながったと言えます。中国では少なくとも5倍、10倍、人によっては100倍ものレバレッジを掛けてテコの原理で投資をしているので、下がった時には大変なことになります。

 しかし戻った時には、今のうちに売って借金を返し、ダメージが少ない間に逃げようとするので、戻れば戻るだけ下げ圧力が強くなるのです。もはや中国政府にこれはコントロールできないと思います。これからは、ヨーヨーの動きのようにどっちにいったらいいかわからない状況が続くでしょう。

 中国政府にはこの辺の経験がない上、株式市場を官製相場で維持しようとしてもうまくいったことはほとんどないので、無駄なことをやっているのです。まるで平清盛のように、沈む太陽を扇で扇いで持ち上げようとしているに過ぎません。危なっかしくて見ていられない状況になっているわけですが、レバレッジを掛けて投資している人は売って解消しないことには借金だらけになり、自殺か夜逃げしかないというところなので、簡単に市場が安定するとは思えません。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
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大前 研一
8月2日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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資産形成力養成講座 加藤

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それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!