グローバル・マネー・ジャーナル

2015.10.7(水)

GPIF 7-9月運用 9.4兆円マイナス見通し(大前研一)

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GPIF 7-9月運用 9.4兆円マイナス見通し(大前研一)2015/10/7(水)


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今回のテーマ

GPIF 7-9月運用 9.4兆円マイナス見通し(大前研一)

【日本】GPIF 7-9月の運用成績 9.4兆円マイナス見通し ~日経新聞~

 経済産業省が先月30日に発表した8月の鉱工業生産指数は、前月比0.5%減の97.0と、2ヶ月連続で前の月を下回りました。安倍黒バズーカの結果がこうなっているのです。安倍総理、黒田総裁にもっと頑張ってもらいたいものです。

 また、日経新聞は1日、約140兆円の公的年金を運用するGPIFの運用成績が、7-9月期にマイナスになった模様だと報じました。運用損は、9兆4000億円になった見通しです。

 GPIFは、実は株式を入れないと儲からないということで、株の比率を大きく増やしました。外債の比率も増やし、特に外国株を大きく増やしたのです。そしてそれが見事に外れたというわけです。それにより、あっという間に9兆円の損をしてしまいました。140兆円のうちの9兆円は大きな損失です。

 今までは安倍黒政策の初期で、株が国債よりも良い投資先だとしてどんどんシフトすることを安易に決めてしまい、株安になると困るような状況でしたが、7-9月期は見事にそうなってしまい、なんと9兆円も失っていただいたというわけです。

 一方、郵貯銀行が地方の経済活性化などを目的に、地銀などと共同で投資ファンドを設立する見通しが明らかになりました。国債投資に偏る200兆円を超える運用資金を、リスク投資に本格的に振り向ける第一歩となります。

 投資をする場合には貸出部門の人材が必要です。目利きがいないと危なくてしょうがないからです。郵貯はそれがいないので、ファンドと一緒にやるというのが今回の話です。郵貯銀行の資産構成を見ると、国債が100兆円を超えているという状況で、つまりは運用する力がないのです。今度の上場の際には、運用力のないところが運用を始めるのはリスクが高いということを開示情報の中に入れないと危ないと言えるでしょう。通常、銀行というのは集金と融資の両部門があり、長い間それぞれのエキスパートがいるものですが、郵貯に関しては国債を買うのが専門だったので、そういったエキスパートがいないというわけです。

【新興国】主要新興国企業の借金 約2150兆円(2014年時点)~IMF~

 IMFが先月29日発表した世界金融安定報告によると、主要な新興国の企業が抱える借金は、2014年時点で18兆ドル(約2150兆円)と、10年前の4.5倍に急増したことがわかりました。この問題は、この後アメリカが金利を上げて資金が撤収された時に、新興国企業がバタバタと倒れるという問題に発展する可能性があります。

 世界の証券取引所の時価総額を見ると、中国問題もあり、1000兆円以上が失われていると言われていますが、やはり企業が倒産し始めて新興国に銀行に大きな影響が出てくると、第二のリーマンショック程度では済まない大きな問題となるでしょう。アジアの通貨危機が97年、それが飛び火して98年にはロシアでも通貨危機ありましたが、それに匹敵するような大変な状況になる可能性があると思います。

 中国ですが、日本経済研究センターの試算によると、今年4-6月の中国のGDP成長率は、中国政府が発表した7%を下回り、5%程度にとどまっていた可能性が高いということです。

 いわゆる「李克強指数」、つまり「鉄道貨物輸送量」や「発電量」、「銀行貸し出しの伸び」で試算したもので、GDP成長が5%ではないかということですが、私自身は下手をするとマイナスになっていると思っています。実態はそれほど悪いのです。

 ただ中国の場合には、消費経済というよりも政府主導のインフラ構築経済が中心となっているので、一般の人たちへはまだ波及していないのです。今後波及してくると思いますが、今回の国慶節の中国からの訪問客を見ても、フランスでも、香港でも、日本でも、購買力は衰えているようには見えません。銀聯カードで恩典をつけるサービスはシンガポール、パリ、日本など、どこでもやっていて、中国人観光客を呼び込もうとしています。そうしたことからも、今のところ一般コンシューマーのところには影響していないと見られます。中国の経済は、まだそうした消費の部分が非常に少ない一方、パブリックの部分がとても大きいわけですが、その部分は相当なマイナスになっていると見ていいでしょう。

 日経のアンケートによると、日本ではすでに中国経済の減速が「経営にマイナス影響」とみている経営者が3分の2近くに上っています。中国の減速はオーストラリア、カナダ、ブラジルなどの経済にすでに明確に打撃を与えています。国内企業でも、中国銘柄と言われている日立建機や、コマツなどは大きなマイナスになっているほか、中国でよく売れているピジョンなどもマイナス影響が大きいと言われています。

 中国は今後、もう一度経済成長をしようとしても難しいので、経済政策の根本をあらためて見直して、何を中心に経済を立て直していくのかを見ていく必要があるでしょう。慌てて土地から株へ、株から次へと移しても、立て直しは無理だと思います。一旦落ちるところまで落ちて、そこから再構築していくことが必要で、しかもそれを地方別でやっていく必要があるだろうと思います。

 一番良いのは通貨をフロート、つまり自由化してしまうことです。通貨をドルから離すことで、人民元はおそらくかなり安くなるでしょう。そうすれば、輸出競争力がもう一度戻ってきます。急速に中国を逃げ出そうとしている労働集約型の産業も、もう一度戻ってくるか、逃げるのを留まる可能性があります。中国に関してはこの為替の自由化が一つの鍵になると思っています。

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