グローバル・マネー・ジャーナル

2015.10.21(水)

上向く経済指標から読み解く経済(福永博之)

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上向く経済指標から読み解く経済(福永博之)2015/10/21(水)


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今回のテーマ

上向く経済指標から読み解く経済(福永博之)

経済情勢から日本経済の状態を把握する

 今回、9月調査の日銀短観のキーワードは「設備投資」です。大企業製造業のDIは、+12でした。前回6月調査の短観では+15で、さらに先行きは+16に上がると見ていたわけですが、これが結局+12に低下した上に、先行きに関しても+10に低下という結果になったのです。

 一方、大企業非製造業は、前回は+23と十数年ぶりの良い数字となり、先行きも低下はするものの+21でしたが、今回はさらに良くなり、+25となりました。ここから製造業よりも内需の方が景況感が良いということが見えてきています。ただ非製造業も先行きに関しては+19と、前回よりも悪化するという見通しになっています。輸出関連と言われる製造業は予想より良くない状況であり、非製造業の方は訪日外国人がお金を落としていることもあり、ひとまず良くなっていると言えるでしょう。

 一方、設備投資の数字を見ると、+10.9となっていて、前回よりもさらに良くなっています。設備投資というと一般的には製造業が行うものです。非製造業の中には通信セクターも含まれるので、通信網を作るなどの設備投資はありますが、一過性のものなので別にして考えることにします。そうしてみると、本来製造業が良くなる方向で設備投資がプラスとなれば本業の積極的な投資だと判断できるのですが、今回は製造業の景況感が低下しているにもかかわらず、設備投資が増えるという結果なのです。

 一部の新聞では、設備投資が増えているので先行きに対して明るい見通しから株価も上がっているなどと報じていますが、そうとは言えないと思います。エコノミストのレポートなどによると、今回はマイナンバーなどの一時的な制度変更によって発生した設備投資が影響していると考えられます。設備投資の内訳を見ると、実際には後ろ向きな設備投資と言わざるを得ないのです。やらなくて良いのならやりたくない設備投資であり、業績に反映してこない可能性が高いのです。もしこれを続けて業績に跳ね返るようにするには、さらにルールを変えるなどして制度的な設備投資を増やす必要があるのです。

 今回の設備投資の増加が本業に跳ね返ってくるものなのかどうかを注意深く見ていっていただきたいと思います。そのために、機械受注統計のデータが参考になります。半年先など、先を見て動くのが機械受注なので、そこに数字として設備投資の改善が現れてくるのかどうかがとても重要になります。設備投資が増えているといっても、間違った見方かもしれないので注意が必要で、単純には喜べないということなのです。

 つづいて中小企業の短観ですが、製造業は今回が0で、先行きはマイナスに転じています。非製造業は一応プラスですが、先行きは低下が見込まれています。にもかかわらず、大企業と同様に設備投資は前回と比べてマイナス幅が少なくなり、増加傾向となっています。やはり中小企業でもマイナンバーなど、制度の変更がここに影響しているとしか考えられません。9月末になってにわかにニュースやワイドショーなどで取り上げられるようにもなり、期末になって間に合わせるように駆け込みで対策をし始めたということなのでしょう。

 中小企業にももちろん関わることであり、実際にソフトウェアなどの設備投資の額も増えてきているのです。日銀の短観に関するサイトを見ればそうした細かい内訳も載っていますので、見ていただくと良いでしょう。設備投資に関しては全産業の数字ですが、良くなっているからといって騙されないように注意が必要です。

 短観のDIの推移をグラフで見ると、大企業は非製造業が右肩上がりですが、製造業は頭打ちとなっていることがわかります。中小企業は、製造業、非製造業ともに横ばいになってきています。また、前回の先行きと今回の実績との差分を表したグラフを見ると、大企業製造業は悪化すると見ていた上にさらに悪化していて、これまでの上振れから下振れに変化してきています。一方、非製造業では上振れが続いていて、内需関連はまだ良いということがここからもわかります。中小企業製造業はほぼ横ばいで、非製造業ではやや伸びが鈍化しているという状況です。

 また、想定為替レートについて見てみると、今回の調査では117円台まで円安になってきています。実勢レートが119円、120円という水準なので、これからの業績の上振れ効果はあまり期待できないかもしれません。年度後半、日銀が追加緩和をせず、アメリカも利上げをしないとなるとドル円はレンジ相場に入ってしまう可能性があります。そうなると製造業の期待値はこれまですごく高かったわけですが、どこまでそれを織り込んでしまったのかが重要になります。また、実際の為替レートと想定レートの差がどんどんなくなってきていて、製造業にとっての恩恵が目減りしているわけなので、注意して見ていく必要があります。

 株価は1万7000円から1万8000円台という水準で、PERで見ても14倍程度で決して割高ではないとは思いますが、これからどの業種が上がるのか、ポートフォリオの中身を考えるにあたり、短観などで先行きを見ていく必要があります。業績を見る上では、悪いと見られていたのが良くなってくるという状況の方が、変化率も大きくなるのでポートフォリオを入れ替えるにはいいと言えます。業績が良いからといって株価がもどってくるとみて引っ張りすぎないほうがいいのかもしれません。

 機械受注額についてみると、船舶、電力、携帯電話を除く民需で、7月は前回と比較すると8359億円から8055億円に減少しています。もちろんリーマンショック後の7000億円までは落ち込んでいませんが、この調子で8000億円を割り込むようなことになれば、設備投資は明らかに減少していることになります。この統計は大型機械の受注を示しているので、本業の設備投資の動きが良くないということになり、世界景気に対する各企業の見通しが厳しく、積極的に設備投資をしていないとなれば、機械株などが売られることにもつながることを頭に入れておきましょう。今後の数値は、下期となる9月、10月の状況を、機械受注に限らずよく見ておく必要があるでしょう。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師
株式会社インベストラスト 代表取締役
IFTA国際検定テクニカルアナリスト
福永 博之
10月7日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
詳しくはこちら

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それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!