政府は16日、企業に積極的な投資を促すための官民対話の初会合を開きました。会合では設備投資の拡大を求める政府に対し、経済界は法人実効税率の引き下げや労働規制などの岩盤改革が先決と主張。新興国経済の減速により、企業の収益環境は険しさを増しており、民間の経営判断に再び介入の動きを強めようとする政府の動きに、経済界で反発も広がっています。
今回、財界人を集めた会合での安倍首相の説明を聞くと、書いてあるものを棒読みしていました。その内容は、お金が余っているのだから、投資してくれというものでした。しかし企業はいらない金が余っているわけではありません。財界の人たちはもっと違うということを言わなくてはならないと思います。
私が総理だったらこういう場合、投資しろという言い方はしません。皆さんの手元流動性は非常に高まっている、政府としてはできる限り市場にお金を供給している、これが吸収されない理由、つまりなぜこれが皆さんによって投資として有効に使われないのか、その理由を教えてくださいと話します。その理由が政府の理由であれば、政府がなんとかしなくてならず、規制緩和の一つになるかもしれません。
ただ経営者に聞くと、介入に対して反発などと言っていますが、実はそうではなく、単に使い道があるとすると海外なのです。国内に再投資をするということは、今のところ全く必要がないという企業が多いのです。必要がないのに銀行はお金を持っているので、海外で買収をしているというわけなのです。つまり、国内にはニーズがないのです。安倍首相への要望があるとすれば、5000万人ほど国の人数を増やして欲しいということでしょう。人口増という要素がない限り、積極的に国内投資をしていくのは難しいことなのです。
また、もう一つ安倍首相は今回のスピーチの中で間違ったことを言っています。投資をして生産性を上げろと言っているのです。生産性を上げるということは基本的に機械が仕事をするわけで、クビになる人が増えるということです。生産性を上げたら必ず人は余剰になります。安倍首相は経済のけの字も知らないのでしょう。派遣社員を永久職にしろなどと言っている人にとっては、生産性を上げるという言葉は禁句なはずです。ドイツでは、生産性を上げるなどと言ったら組合が大きく反発します。
生産性を上げて、需要も大きく伸びるならいいのですが、人間も増えていなくて需要がフラットな時に、機械投資をして生産性を上げる場合は、労働者をクビにしても仕方がないということになるのです。しかもあれだけ並みいる財界人がこの話をじっと聞いていて、指摘もせず、質問もしないのです。そして会合が終わってからマスコミに、余計なお世話だなどと言っているのです。財界もだらしないものです。安倍首相は経済に関して無知で、あのように棒読みで話をするのは聞くに堪えませんが、私は面白い政治家だと思って見ています。
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