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2015.11.4(水)

主要30新興国への投資 前年比5割減(大前研一)

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主要30新興国への投資 前年比5割減(大前研一)2015/11/04(水)


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今回のテーマ

主要30新興国への投資 前年比5割減(大前研一)

【新興国】主要30新興国への投資 前年比5割減 ~2015年見通し~

 世界の主な金融機関で構成する国際金融協会がまとめた統計によると、主要新興国30ヵ国への資本流入は、2015年に前年比で5割減少する見通しが明らかになりました。資本流出との差し引きでは5400億ドル、約65兆円の流出超過で、流出超は1988年以来、27年ぶりです。

 前のアジア危機の時と同様にお金が抜けている状況です。しかしこうした国々の外貨準備はこの15年間で11倍にもなっているので、流出が多いことが直ちに経済危機に結びつくものではありません。

 今年に限ってみると、ブラジルやインドなどはBRICsの一員ですが、まだ資金は流入中です。トルコもいろいろとトラブルはあるもののおそらく前半は流入が続いていたと思われます。インドネシアも同様です。

 流出は、タイ、マレーシア、ロシア、韓国、サウジアラビアと続きます。サウジアラビアは原油価格が下がったためサウジの人がお金を外へ持って行っているのです。そして、流出額が大きいのが中国です。50兆円近い金が流出しています。企業と富裕層が資金を海外に持って行ってしまっています。外から入る分も減っていますが、それ以上に内部の人たちが持ち出しているのです。

 なかんずく、富豪の李嘉誠氏は中国への投資で中国政府のめでたきを得ていたのですが、今は脱中国をあからさまにやっているということで、ことごとく中国政府にコテンパンにやられています。あれだけ貢献をしたのに、中国政府は手のひらを返したように彼を叩いているということがビジネスウィーク誌にも取り上げられています。

 アメリカ財務省が19日に発表した報告書によると、中国が景気減速による人民元安を食い止めるため、7月から9月に2290億ドル、約27兆5000億円の為替介入を行ったことがわかりました。

 外貨準備が豊富なのでこうした時に使っても良いわけで、アメリカは依然として人民元が安すぎるので高くしろと言っていますが、私は以前から、為替を自由化したら人民元は暴落すると言ってきました。そのことがようやく中国政府やアメリカもわかってきたようです。

 人件費を上げてきた国は同時に為替も上げていくことは不可能で、人件費を上げて競争力を持とうと思ったら為替は安くならないといけないのです。それをせずになんとかなったのは、日本とドイツだけなのです。スイスは少し例外と言えるでしょう。そうしてみると中国は決して競争力は強くないので、あれだけ人件費を上げて、アメリカが言うように人民元もさらに強化するということは不可能と言えるのです。

 おそらく自由化をすれば、1ドルが13元から15元まで落ち込んで、そして再び弱くなった製造業の競争力が回復に向かうのです。こうすることによってのみ、中国の巨大なメーカーの脱出劇に歯止めをかけることができるのだと思います。介入で元安を止めると言っても限度があるので、中国にとっても貴重な外貨は、イギリスに行って大バレードをやるのではなく、きちんととっておくべきだと思います。

【中国】7-9月期GDP 前年同期比6.9%増 ~中国国家統計局~

 中国国家統計局は19日、2015年7-9月期のGDPが1年前に比べて6.9%増加したと発表しました。リーマンショックの後以来6年半ぶりに7%を下回りました。

 実態はもっと低いと言うのが定説になっていますが、今回初めて7%を切る数字を中国政府が認めたわけで、ある意味画期的なことと言えます。李克強首相はこれを「新常態」だと言っていますが、心安からずというところで、「常態」ではないだろうと思います。

 そのために世界中が今後いろいろな迷惑を被ることになります。一つは、中国が世界中から買いまくっていたことによりオーストラリアなどの資源国はとても潤っていたわけですが、それがなくなることによって、オーストラリア、ブラジル、カナダなどの資源国の先行きが不安視されています。

 一方、あれだけの機械をフル稼働していた中国が急減速するということになると、作り出した鉄やセメントが世界中にあふれだす可能性があります。以前から私はそう指摘していましたがようやくそれが現象として現れてきています。

 日経新聞は17日、「あふれだす中国鋼材」と題する記事を掲載しました。中国が2014年だけで国内需要を1億トン上回る8億2000万トンの粗鋼を生産し、そのうちASEAN主要5カ国とインドに2500万トン弱が流れ出たと紹介しています。安価な鋼材の浸透によりタイの鉄鋼大手が破綻し、インドのタタ製鉄も人員削減に追い込まれるなどアジアの鉄鋼産業の生き残り競争が激しさを増しているようです。

 中国には鉄鋼会社がまだ100社あるので、今後中国の鉄鋼会社もバタバタと倒れていくと思います。粗鋼生産量の推移を見ると、中国では8億トンほどの生産が可能で、おそらく今後中国では4億トン使うかどうかというところなので、基本的には2億トン分の企業が潰れ、2億トン分が世界に溢れ出すということになります。

 日本全体の生産が1億トンなので、その2倍が溢れまくるわけです。韓国のボスコがホットコイルをアジアで輸出することで大きな影響を受けた時代がありましたが、その比ではない事態だと思います。タイの鉄工所が潰れるというニュースは序曲に過ぎず、メインチャプターになると少なくとも2億トンが世界中に溢れ出すわけです。

 インフラ建設には必要ではあるので、中国もAIIBなどを使いながらやっていくとは思いますが、経済的にペイするかどうかという問題もあります。AIIBは、フィリピンの高速道路やインドネシアの鉄道などをやろうとしていますが、それでも追いつかない量なのです。そうした数字を把握しておくと様々な理解がしやすいでしょう。

 セメント生産についてもシェアを見ると、中国のセメント生産は24億トンに上り、世界生産43億トンのうちの56.5%です。これもやはり半分くらいは中国で必要なくなるのです。それが溢れ出すと、世界中のセメント生産を全部止めても間に合わないというような事態になるのです。セメントは価値があまりないので船で輸出するのは大変なのですが、アジア近海であれば輸出は可能と言えます。

 このように、鉄鋼、セメントに関しては、中国の設備能力が行きすぎたために過剰設備を調整する間は中国も七転八倒、ダンピングも日常茶飯事となってくると思います。世界にとっても非常に大きな問題となると言えます。

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