グローバル・マネー・ジャーナル

2015.11.25(水)

アメリカ12月利上げにゴーサイン!?(藤本誠之)

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アメリカ12月利上げにゴーサイン!?(藤本誠之)2015/11/25(水)


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今回のテーマ

アメリカ12月利上げにゴーサイン!?(藤本誠之)

アメリカ12月利上げにゴーサイン!?

 現在の世界の状況を確認すると、アメリカはQE3終了後、9月利上げ説が出ていましたが、足元の数字が良くなかったこともあり9月には利上げはできませんでした。今回、11月に出された10月分の雇用統計がポジティブサプライズだったことで、12月の利上げについてはほぼゴーサインが出たと思います。

 12月の利上げが非常に濃厚になり、市場もほぼ織り込めたと言えます。今回の雇用統計では非農業部門雇用者数が27万人という非常に良好な数字が出ましたが、もともとかなり弱い数字が見込まれていて、それにもかかわらず、予想を下回る結果が出てもまだ利上げできると言われていました。しかし、蓋を開けてみると数字がとても良かったので、十分利上げできるというところまで一気に傾きました。12月に利上げすることになり、今はその後の利上げペースがどうなるかに注目が移ってきています。

 利上げが確定というムードになり、一瞬株価は下がりましたがすぐに戻り、直近も堅調推移となっている動きから見ると、やはり利上げはほぼ織り込んでいると言えます。利上げしてアメリカ株が下がり、世界の株も下がるというような連鎖は起きないだろうと予想されます。為替市場も同じような動きをしていたので、利上げしたからといって、さらなるドル高が一気に進んで、125円からさらに上という展開にもならなさそうだと思います。利上げするぞと何度も言うたびに、織り込みに行っていたということなのです。実際に利上げをしても、その瞬間の動きはあるものの、直後のインパクトは限定的だろうと思います。

 一方、欧州と日本は調子が悪いのが現状です。欧州は量的金融緩和を実施していますが、ECBドラギ総裁はさらなる追加緩和も辞さないとしているので、12月にも追加策が出てくるかもしれません。アメリカは利上げに踏み切る一方で、欧州は追加緩和となる可能性が高まってきています。

 日本も追加緩和の可能性はあるものの、目先動くかどうかは難しいと思います。年内に追加緩和をする可能性は少ないと思っています。アメリカの利上げの結果を見て、様子を見たいだろうと思うのです。また、アメリカが利上げをして、さらに日本が追加緩和をして一段と円安に振ろうとするのはやや欲張りで、アメリカも嫌がるように思います。追加緩和の可能性は底流としては残っているものの、年内ではなく、来年以降にずれ込んだと思います。

 そうしてみると、アメリカ、日本、欧州という順番で強さが現れていると思います。アメリカの利上げをすでに織り込んでいるという観点から言うと、先進諸国に関しては年内大きな波乱はないだろうと思います。よく11月は、年末に対して45日前がヘッジファンドなどの決算で最終的な解約の期限とされていることから、11月15日に向けて大きく株が動くと言われ、そういうことが度々ありましたが、今回はそうした大きな動きは見られていないので、11月後半から12月にかけてそれほど動くとは考えにくいでしょう。アメリカの利上げがあるものの、先進諸国全体としては、リスクオン、リスクオフともに大きく傾かないと思います。戻り相場からやや横ばいになった今のグダグダとした相場が続くのではないかと思います。

 一方で、もし利上げがないということになったとすれば、アメリカがそれほどまでに景気が悪いということになります。ただでさえ中国があやふやな状態で、チャイナショックが完全には払拭されていない中、アメリカだけが調子が良いという状況なので、それを裏付けるためにも利上げしたほうが株式市場にとってはプラスだと思います。アメリカが利上げできないような状態ということになれば、世界的に経済が不安定で、良くないバブル的な相場ということになるので、利上げできる状態であるということが重要だと思います。

チャイナショックはまだ完全に癒えてはいない

 チャイナショックを引き起こした中国の株価を見ると、ショック以前の下げも大きかったことがわかります。逆に言えば、高値までの上昇も急激だったので、その上がりはじめの3000ポイントあたりで下げ止まるだろうと思われていました。それ以前は低迷が続き、下げ過ぎていた感もあり、3000ポイント近くまでの上昇は正常値だと見れば、下げもその辺りで落ち着くかと思われていたのです。しかしその3000ポイントを大きく割り込み、2850ポイントまで、フリーフォールのように下落する動きになってしまったので、衝撃的だったというわけです。

 中国政府はこれを受けて、先進諸国では考えられないような様々な手を打ちました。日本も日銀が株をETFで買うという手段に出ていますが、中国ではさらに、持っている人に株を売らせないという思わず笑ってしまうような大胆な手を使いました。さらに、空売りをしている人を取り調べて捕まえてしまうなど、驚くべき手段を講じたことから、ようやく戻りに入ってきました。

 チャイナショックはまだ完全に癒えてはいませんが、成長率の目標も7%程度から6.5%に切り下げ、足元の経済指標を見るとそれも達成できるかはわからないものの、市場はやや落ち着いてきました。一応嫌なところは通り過ぎたと思われ、3000ポイント割れの水準は割安だったと後々は言えるようになるでしょう。信用取引で大変なことになったと騒いでいた投資家たちも市場に戻りつつあり、中国の投資家の動きはよくわかりません。先進諸国とは全く異なった株式市場であることは間違いないわけですが、一旦膿は出したので、今後世界の株価の足を引っ張るような大げさなことにはならないでしょう。

 中国の景気については、世界の工場と言われる中国の製造業はまだまだ過剰な生産設備を抱えていて、コストも上昇する中、簡単には元には戻らないでしょう。天津の爆発などのチャイナリスクもあり、今後もいろいろな問題が起こることも予想され、中国だけに工場を置くのは怖いことから、製造業の面では中国への積極的な投資は難しいと言えます。中国の生産工場としての地位は今後もかなり下がっていくことになるでしょう。

 ただその一方、中国の消費に関しては期待が続きます。11月11日、中国では「独身の日」とされ、ネット通販では大規模なセールが行われましたが、アリババでは1兆7500億円もの売り上げとなり、楽天の半年分の額を1日で売ってしまったと言われています。一体何を買っているのか、それほどまでに売れるとは全く不思議な光景です。安くすれば爆売れするということなのでしょう。おそらく中国ではいきなりネット通販になったのだと思います。日本のように店舗網が拡大されていない中で、モノがどんどん入ってきて、所得もある、こうした状況なので、結局ネットでモノを買うことになったのでしょう。このような動きを見ても、消費地としての中国はまだまだ捨てたものではないことは明らかです。

 日本にとっては、中国人にモノを売る、輸出する、もしくは国内に来てもらいインバウンドの需要に応えるといったことがビジネスになります。株価が下がって中国人が来なくなるのではと言われていましたが、中国でも株式投資をしている人はほんの一部に過ぎず、株価下落がそれほど消費に大きな悪影響は与えないので、中国からのインパウンド需要はまだまだ拡大するでしょう。そうしたことから、中国に対してモノを売るビジネスをしている会社の業績は意外に堅調だろうと思います。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師
SBI証券 投資調査部
シニアマーケットアナリスト
藤本 誠之
11月12日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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資産形成力養成講座 加藤

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