グローバル・マネー・ジャーナル

2015.12.9(水)

金価格と原油価格は今後値を戻すか?(近藤雅世)

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金価格と原油価格は今後値を戻すか?(近藤雅世)2015/12/09(水)


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今回のテーマ

金価格と原油価格は今後値を戻すか?(近藤雅世)

金価格と原油価格は今後値を戻すか?

 直近の商品価格の動きは、NY金が12月4日+22.9ドル高の急騰を見せたが、翌日▲8.9ドル安と下落して、結局1075.2ドルになっている。これは2010年2月以来の水準である。

 一方NY原油は12月4日のOPEC定期総会において、サウジアラビア等は減産を口にしなかったため急落し、12月7日は37.65ドルと、2009年1月以来の低い価格となっている。

 金については第3四半期の需要が増大しており、インドや中国の常連客以外にも米国におけるコイン需要や欧州の金地金の需要などが、前年同期比それぞれ+62%、+42%と大きく伸びており、需要全体では前年同期比+33%伸びている。これは金価格が割安だというイメージが出来上がっているためだと思われる。また政府保有金も、中国やロシアが定期的に外貨準備として大量に金を購入しており、中国は1700トン、ロシアは1300トン保有しているが、実際の保有量は公表されている数量以上に多いものと想像されている。(日本は765トンで中国、ロシアに次いで第9位)政府が購入する金の量は毎年300~500トンと言われ、年間需要(2014年は4,240トン)の大きな部分を占めるようになってきている。

 一方供給量は、金鉱山の生産性が落ち始めており、1970年には南ア1か国で1000トンを生産し、総生産量の3分の2を占めていたが、その後枯渇し2014年は168トンまで落ち世界第6位の生産量となっている。世界第一位の金生産国は中国で462トンを生産し、2位以下は豪州、ロシア、米国、ペルー、南ア、カナダ、メキシコ、ガーナなどである。

 金は天然資源であるため、いずれは枯渇するものと思われ、今年2015年は金鉱山の生産量がピークになると言われている。それは1995年に金の新たな鉱脈の発見がピークに達しており、その時に発見された鉱脈は20年を経てほぼ生産が頂上を超え始めているためだという。

 一方、供給過剰になっているのが原油であり、需給面からみた場合、当分価格が上昇する雰囲気はない。OPECの石油マーケットレポート11月号によれば、今年2015年の世界の原油需要量は日量9,286万バレル、一方非OPECの原油生産量は日量6,325万バレル、差し引き2,961万バレルをOPECが生産すれば需給はバランスする。しかし、OPECは10月時点で日量3,138万バレル生産しているため、+177万バレルの供給過剰状態にある。

 更に世界の石油在庫は過去最大の45億2,500万バレルもあり、これは消費量の97日分に相当する。何等かの事情で突然世界の原油生産が止まったとしても3カ月は生産なしで石油を供給できる状態にある。

 こうした需給が緩んでいる原因は、米国のシェールオイル、カナダのオイルサンドなど新しい形態の原油資源開発が進んだためであるが、稼働リグ数は徐々に減ってはいるとはいえ、こうした非OPEC諸国からの原油生産がはっきりと減少に転じるのは、来年半ばだと言われている。当面は、OPECが減産しない限りこうした供給過剰は解消されない。

 世界の産油国は国家予算の過半を石油収入が占めているため、近年の高価格から財政支出が大きく膨らんでいる。しかし、歳入減に伴う緊縮予算を実現できていない。そのため、価格が下がれば生産量を増やして収入を保つことが政治的にも必至となっている。こうしたことが、OPEC総会においても減産決議を難しくしており、実際に減産することはとてもできない状態にあると思われる。今回12月4日のOPEC総会でも、事前にサウジアラビアの高官が減産をほのめかす発言で原油価格は揺れたが、結局総会では何の発言もなかったため、大きく反落した。

今後商品価格が一時的に反発する3つの理由

 エネルギーとしての原油は環境に優しい天然ガスや風力・太陽熱等の再生エネルギーなど、代替エネルギーの開発により、その存在感を小さくしている。また中国やインド・米国の発電エネルギーは、より安価な石炭に負うところが大きくなっている。したがって原油需要の伸びはもっぱらガソリンなどの輸送用エネルギー需要の増加に頼らざるを得なくなっている。先進国ではもはや飽和状態に近いため、もっぱら新興諸国のモータリゼーションが今後の原油需要の増加の担い手となっている。まだまだ車は売れ続けているが、新興諸国の景気が減速すれば、世界の原油需要の増加は自ずと減速し始める。

 これらを背景に原油価格は40ドルを切る事態となっているが、このような状況が長く続けば、GDPや国家歳入に対する石油依存度の高いロシア、ベネズエラ、ブラジル、マレーシアなどの産油国の経済が悪化し、石油企業の破たんや、産油国のデフォルト懸念による債権の値下がり、政府系ファンドの投資引き上げなどから世界経済に負の影響を与える恐れがあるので原油安はガソリンが安くなったと喜んでばかりはいられない。

 今後3つの理由で全般的に下押しされている商品価格が一時的に反発する可能性がある。

 1つは、16日に米国FOMC(公開市場委員会)で利上げが決議されれば、利上げを見込んで買い進まれてきたドルが売り戻される可能性がある。ドルは昨年から2割以上高くなっており、少し異常だと思われる。一時的にせよドル安局面が現れればドル建ての商品価格は上がるだろう。

 2つ目は、金と原油に対するファンドの売り残が積みあがっていることだ。何かの拍子で価格が反転すれば、それを見て空売りが買い戻される可能性がある。こうしたことは、それほど長続きするものではないが、一つの反転上昇のきっかけにはなるだろう。

 3つ目は、商品全般に割安感が出ていることである。さらに売り込むよりは、安値を拾う感覚が広がるだろう。中国人やインド人は金の価格が下落しているときは傍観しているが、価格が底を打ったと認識すると安いうちに買い漁る傾向がある。どこまでも下がる雰囲気の中では買いは膨らまないが、反発し始めれば待っていた投資家が商品を買い始めることもあるだろう。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師
株式会社コモディティーインテリジェンス 代表取締役社長
近藤 雅世
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