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2016.1.6(水)

過去最大の一般会計歳出、削減進まず(大前研一)

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過去最大の一般会計歳出、削減進まず(大前研一)2016/01/06(水)


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新年あけましておめでとうございます! 2016年のみなさまのご活躍をお祈りしております。株式・為替をはじめ世界経済は波乱の幕開けとなりました。考え方と情報を活用し、今年も乗り越えていきましょう。「自ら考え、自ら行動を起こし、自らの手で資産を形成すること」 資産運用への第一歩をサポートしてまいります。

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今回のテーマ

過去最大の一般会計歳出、削減進まず(大前研一)

【日本】経済統計のブレ GDP増減逆転は2000年以降6回

 日経新聞は、「経済統計なぜブレる」と題する記事を掲載しました。これは7-9月期のGDP伸び率が速報値のマイナスから改定値でプラスに転じたことを受け、閣僚の間でも経済統計の精度が再び論点になっていると紹介。サンプル調査である出荷統計、法人企業統計は、精度を高めるにも予算などで限界があるほか、個人消費もネット通販や外国人消費の拡大といった経済構造の変化で見えにくくなっているとし、改善と変化のいたちごっこの中、より良い物差しを探す作業は続くとしています。

 これだけ速報値と確定値が違ってくると、どれが本当かわからず、経済判断ができなくなってしまいます。2000年以降、6回もプラス、マイナスが逆転してしまっている状況です。最近の動向を見ると、なんとなく政権の意向が反映されているのではないかという気がします。今までの統計のズレは皆が素直に受け入れていましたが、今回はやはりアベノミクスで2%インフレだとして、無理に上の方の数字を使っているのではないかという疑念が晴れないわけです。

 もう少しずれない数字で経済を見ていく必要があり、最終的にはGDP全体ではなく、電気使用量など経済活動にリンクするような、ブレない数字を使うべきでしょう。中国はそうしたことで水や電気の使用量を参考にしていますが、日本でもそうしたことが必要になると思えるほど、大きくブレることが増えてきているのです。

 その政府は企業に賃上げを望んでいますが、日経新聞社の調査結果によると、過去最大規模に膨らんだ内部留保の活用先について、「M&A」と「株主還元」という回答が、いずれも44.8%に達しました。一方、「賃上げ」など従業員への還元は14.5%に留まり、官民対話などを通じて企業に賃上げを求める政府の意向と一致していない現状が示されました。

 麻生氏が守銭奴と呼んだ354兆円もの内部留保は、株主に対する配当と、M&Aをやっていくときのためのものです。もともと、政府の要望がずれているので、こうした回答になるのは当たり前と言えます。「賃上げ」や「設備投資」は経費の中に入ってくるものなので、政府の要請に「違和感を感じる」という回答が多いのも当たり前だと思います。

【日本】一般会計の歳出総額96兆7218億円 歳出減進まず

 政府は24日、2016年度予算案を閣議決定しました。それによると、国の予算の基本的規模を示す一般会計の歳出総額は、96兆7218億円と、4年連続で過去最高を更新しました。安倍首相が掲げる1億総活躍社会の実現に向けた関連政策により社会保障費が膨らむことなどが要因で、歳出の切り込みはほぼ手付かず、財政健全化に課題を残した形です。

 税収が増えたことをチャンスとして国家債務を減らしていくという当たり前のことを今回はやらず、それをまた使ってしまい歳出減は全くなかったということです。理由は、参議院選挙があるからということですが、選挙はいつでもあるもので、その度にこうした大盤振る舞いをしていては困るのです。

 日本の場合、長い間歳出が歳入よりも遥かに高いレベルを維持していて、そのことにより、対GDP比で見ると世界一の借金国となりました。しかし、それを埋めようという努力をいずれの政府もやってきていないのです。民主党政権になった時期もありましたが、その時もやっていないのです。このままでは国債暴落という状況にならざるをえません。

 一般会計歳出の主要経費の推移を見ると、この25年の間に何が変わってきたかというと、社会保障費です。かつて1990年には11兆円だったものが、今は構造的に32兆円にまで増えています。地方交付税は15兆円で変わらずですが、国債費は14兆円だったものが23兆円に上っています。こうした項目にはあまり手がつけられず、真水の部分にはなかなか金が向かわないということになっています。

 構造的に社会保障費を抑え込むやり方をしないと、にっちもさっちも行かなくなってくることは明らかでしょう。しかし、今回の予算編成を見る限り、安倍政権にはそうした危機感は全くないと言えます。

 また、その国債ですが、日銀の統計によると、外国人が保有する日本国債と国庫短期証券の残高は9月末時点で101兆円と、前年同期比16.5%増加したことがわかりました。ヨーロッパなどで国債の利回りが低下したことを受けて、日本国債に資金を振り向ける動きが広がった形です。

 日本の国債は日本人が持っているので、おかしくなってもすぐに売り逃げることはないと言われてきましたが、100兆円ともなると、売り浴びせる、空売りするということになれば大変なことになってきます。

 主要機関の国債保有状況を見ると中央銀行が大きく買い増していますが、これは民間金融機関が持っていた国債を日銀が買い、民間金融機関にお金を渡したわけです。ただ、民間の金融機関から借りようという人が少ないので、その資金はうまく動いていないという状況です。一方で海外の保有がじりじりと増えてきていて、50兆円程度だったものが、いつの間にか100兆円にまでなってしまいました。この部分はいざという時逃げるのも早いので、非常に危ないと言えます。

【中国】人民元 IMF・SDR採用で対ドル3カ月ぶり安値

 日経新聞は、「『強い元』を阻む現実」と題する記事を掲載しました。これはIMFが人民元をSDRに採用したことを受けて、人民元が一時、対ドルで約3ヵ月ぶりの安値をつけたと紹介。中国がグローバル市場の荒波にさらされ、アジア通貨危機のような急激な資本流出が起きれば、経済だけでなく政治にも大きなダメージを与え、外貨準備を使い強い元を維持すべきか、資本流出を覚悟で弱い元を許容すべきか、中国の悩みは深いと指摘しています。

 人民元は私が昔から指摘しているように、自由化したら弱くなります。対米ドルの人民元相場は下手をすると1ドル8元、それでは止まらずに1ドル12元という水準まで行ってしまうと思います。中国は今の強い人民元が、急激に競争力を失わせているのです。人件費が上がって、元も上がるとなると産業界は耐えられないので、元は弱い方向に反転せざるをえないと思います。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 学長
大前 研一
12月25日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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資産形成力養成講座 加藤

新年あけましておめでとうございます。2016年の株式市場は波乱の幕開けですが、今年も有益な情報をお届けできればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

資産運用はインフレ経済下で特に重要になります。デフレ下では資産運用をしなくてもモノの価値が下がっていきますが、インフレ下ではモノの価格上昇を超える運用をしなければならないからです。資産運用は、株式・債券・為替・コモディティ・不動産など多岐に渡りますので、総合的な理解や考え方が求められます。世界標準の資産運用を学び、第一歩を踏み出してください!

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それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!