グローバル・マネー・ジャーナル

2016.1.20(水)

原油・約12年ぶりに1バレル30ドルを下回る(大前研一)

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原油・約12年ぶりに1バレル30ドルを下回る(大前研一)2016/01/20(水)


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今回のテーマ

原油・約12年ぶりに1バレル30ドルを下回る(大前研一)

【WTI原油】12日、一時1バレル29.93ドル 7日続落で12年ぶり安値

 原油先物の指標となるWTIが12日、7日続落し、約12年ぶりに1バレル30ドルを下回る場面がありました。中国の景気減速への懸念からリスク資産である原油を売る動きが強まったものですが、この動きは銅など原油以外の資源にも波及し、商品相場全体の水準を押し下げている現状です。

 12年前にも30ドル割れの時期がありましたが、今回はその影響が驚くほど多くのところに出てきています。それらは全部、相互に関係していると思います。

 原油が30ドルということで、シェールガスの中には成り立たなくなっているところがたくさん出てきており、オーストラリアのトップ鉱山企業、BHPは、アメリカのシェール事業で8500億円の減損となったほか、世界最大級、ロイヤルダッチシェルは、一万人の人員削減に追い込まれています。こうした影響はまだまだ出てくると言えます。

 エクソンやシェルなど、かつては隆盛を誇ったいわゆる石油メジャーの株価を見ても、軒並み下落しています。BHPビリトンは、やはりアメリカのシェールでの失敗が嫌気され、株価はマイナス70%というひどい状況です。

 実は、天然ゴムの価格もひどく落ち込んできていて、1キロ146円台です。タイでは目も当てられない状況になっていて、タイの暫定軍事政権は、ゴム農家は非常に重要なので、100円以上で国が買い取る政策に出ています。

 なぜ天然ゴムが下がるか、その理由は二つあります。一つは、中国経済の減速です。車が一番多く売れる中国がだんだんと減速してくれば、当然タイヤも要らなくなります。

 もう一つは、原油価格の影響です。タイヤを作る際に、天然ゴムと合成ゴムを混ぜるわけですが、原油価格の下落で、石油から作る合成ゴムの方が値段が安くなります。それにより、割合を維持するために天然ゴムは値段を下げるしかないわけです。もっとも、あまり大きく比率を変えられるものではありませんが、若干いじれるのです。原油価格の下落によって、天然ゴムまで下がってきてしまうというわけなのです。

 ゴムの産地であるマレーシア、タイ、インドネシア、中国の海南島などは大変な状況となっています。特にタイは、現政府の国防大臣が天然ゴム協会の会長をやっているほど、ゴムは重要事業なので、国による買い取りが行われる事態となっているのです。

【日本】日経平均一時1万6944円~14日~ 世界的株安

 14日の日経平均株価は、一時3ヶ月半ぶりに1万7000円を割り込みました。中国の景気減速や原油安を懸念して世界的な株安となっているものですが、先進国の主要市場では特に東京市場の下落幅が大きく、円高に伴う企業業績の悪化懸念や、日本経済の先行き不安が重しになっていると見られると日経新聞が報じました。

 私は日経新聞にはいい加減なことが書かれていると思います。中国の景気減速は確かに影響していますが、原油安が懸念かというと、日本にとって原油安はプラス以外の何物でもありません。日本は原油依存度が高く、いわゆる石油ショックは原油価格が上がってショックだったわけで、原油が下がっているのは大いに助かることなので、原油安まで株安の要因に使うのはやや図に乗りすぎていると思います。

 日本株が下がっている最大の理由は、アベノミクスに対する失望売りで、外国人による売りが激しくなっているのです。安倍黒バズーカは効き目がなく、もともとこれを提案したポール・クルーグマンが、NYタイムズで、日本があれだけやって反応しないとは思わなかった、自分の提言を撤回すると言って、敵前逃亡してしまったわけです。これにしがみついていた浜田氏ら安倍首相のアドバイザーは宙に浮き、宇宙遊泳してしまっているのです。もう発言一つできなくなってしまったのです。何がスタンフォード名誉教授だとがっかりです。クルーグマンにしがみつき、彼を安倍首相の官邸に連れて行き、ジャブジャブと緩和をやれと促したわけですが、全然日本は反応しないとやっとわかったというのです。

 反応しなくて当たり前です。日本は低欲望社会だからです。神の見えざる手ではなく、民の見えざる手が出てくるようにするべきで、それは心理経済学の世界なのです。しかし高欲望のおっさん達が、お金をジャブジャブにして金利を下げたら、絶対に金が出てきて景気が良くなると言って、結果がこうなると、参った、撤回、などとはちょっと無責任すぎる話です。

 東京市場が下げている理由はここにあるのです。しかし、日経新聞としては安倍首相が怖くて書けないという状況なのです。中国の影響も確かにありますが、原油安はプラスのはずで、円高も経済にはプラスです。新聞の書く理由はいい加減なことだと思います。

 日本の企業の実力はそれほど大きく改善しているわけではないので、株価が2万6000円まで行くなどありえないのです。主要市場の下落率を2015年末からで比較すると、上海が一番下落していますが、日本も立派に10%ほど落ちています。日本に関しては、この下落の理由は、アベノミクスに対して世界が懐疑的になり、外国人の売りが先行してしまったというのが正しいでしょう。これは日経新聞は口が裂けても言えないというわけです。米資産運用会社ブラックロックのデニス・スタットマン氏などは、まだ日本はいけると言っていますが、いざまずい状況になってくると、クルーグマンと同様に、予想が外れましたと言い出すのです。

【日本】物価上昇、しぼむ「期待」~日経新聞~

 日経新聞は、「物価上昇、しぼむ『期待』」と題する記事を掲載しました。これは、金融市場の動揺が物価の下ぶれ懸念に拍車をかけているとし、原油価格の低下を背景に、輸入物価は6年2ヶ月ぶりの下落率を記録したと紹介しています。ガソリンなど店頭価格への波及で、企業や家計の物価は上がるという期待もしぼみ、日銀は難しい判断を迫られるとしています。

 日銀黒田総裁は、やれることは全部やると言っていますが、何もやっていません。やれるだけのことをやってこうなってしまったということで、どうも勝手が違うという結果です。安倍首相のアドバイザーが悪すぎるのです。何十年も前の、ケインズ経済学の流れを汲んだ人や、景気を良くするにはヘリコプターでお金を撒いてもいいと言ったバーナンキ前FRB議長のような、乱暴な考え方をする連中は結構多くいるのです。

 そうではなく、実需につながるところを考えると、日本の場合、低欲望で実需がなく、多くの人は満ち足りている状況です。今、これが欲しくてしょうがないというような需要は、若い人が新しい携帯が欲しいというような部分はあると思いますが、設備投資など大きな実需につながるようなものはあまりないのです。住宅も余っているという状況なので、物価上昇はなかなか起こらないわけです。

 日本は20年間物価が上昇せず、それでも不景気ではないのです。デフレと言われていますが、失業はそれほど増えておらず、路頭に失業者が溢れているということもなく、不景気という感覚はありません。機械受注の推移を見ても、期待を示した時期もあったように見えますが、基本的には製造業、非製造業ともに横ばいとなっています。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 学長
大前 研一
1月17日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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資産形成力養成講座 加藤

新年あけましておめでとうございます。2016年の株式市場は波乱の幕開けですが、今年も有益な情報をお届けできればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

資産運用はインフレ経済下で特に重要になります。デフレ下では資産運用をしなくてもモノの価値が下がっていきますが、インフレ下ではモノの価格上昇を超える運用をしなければならないからです。資産運用は、株式・債券・為替・コモディティ・不動産など多岐に渡りますので、総合的な理解や考え方が求められます。世界標準の資産運用を学び、第一歩を踏み出してください!

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「資産運用を日本の国技に!」「世界最適運用で世界標準の5%~10%の利回りを目指せ!」大前研一学長の掛け声のもと、2006年にスタートした資産形成力養成講座。5000名を超える受講生が学んできました。

これまで長期デフレを経験した日本。デフレに慣れ、インフレの想像がつきにくい方も多いかもしれません。しかし確実に、デフレ脱却に向けて動き出しています。インフレとはモノの価値が上昇する世の中。私たちはそうした物価上昇以上に持っている資産を高めていかないと生活力(購買力)を落としてしまうことになります。

金融機関など他人任せにするのではなく自ら設計することで、手数料などを考えると2%程度の利回りの差になることも多々あります。毎年2%の差は、例えば500万円運用している人にとって、10年で100万円以上の差になって現れます。欧米では学校教育で「お金」について学ぶ機会がありますが、日本ではほとんどありません。みなさんも、世界のお金の流れを学び、リターンを実現できる資産形成力を高めませんか?

それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!