グローバル・マネー・ジャーナル

2016.2.3(水)

短観から読み解く日本経済の伸びしろ(福永博之)

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短観から読み解く日本経済の伸びしろ(福永博之)2016/02/03(水)


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今回のテーマ

短観から読み解く日本経済の伸びしろ(福永博之)

インデックスごとの下落率を比較せよ

 今回の下落局面では、ジャスダックインデックスの下げが日経平均よりも緩やかになっています。去年11月末を100として指数化した比較を見ると、日経平均が一番低く、その次がトピックス、そしてマザーズと続き、一番下げが少ないのが日経ジャスダック平均となっています。やはり、国内の新興市場の方が株価は値を保っているという状況なのです。

 8月、9月に安値をつけた時を見ても、新興市場が大きく下落した場面では、先に安値を付け、その後株価は全体として戻り始めるという傾向が見て取れます。それに対し、今の状況はどちらかというと新興市場が遅れて下落しています。底打ちする時は新興市場の方が早く底入れするという経験則があるので、その意味では新興市場の落ち込み方が緩やかであれば、今回、東証一部などの主力株の下げは、下げ過ぎだと言えるのかもしれません。それぞれのマーケットの動きの特徴が一つの判断材料になるのです。

 マザーズやジャスダックがさらに大きく下落しなければ、日経平均やトピックスも、すでに相当下げてはいますが、リーマンショック級の悪いことが起こるという可能性は低いと言えるでしょう。総崩れになるかならないかが非常に重要なことなので、自分が新興市場には投資をしていなくても、動きはウォッチしておいた方が良いでしょう。

国ごとに異なる移動平均線の期間設定

 中国の上海総合指数を見てみると、移動平均線の見方に特徴があります。上海の証券会社のサイトの指数のチャートには、5日、10日、30日という日にちを使った珍しい移動平均線が載っています。月足では5ヵ月、10ヵ月、30ヵ月の移動平均を使っています。アメリカでは10日、50日、100日、200日など、キリの良い数字を使うので、目安にしている期間が中国とは異なっています。

 今の動きをみると、上海総合指数は月足では30ヵ月移動平均の上でピタリと止まっている状況です。この水準を割るようなことになると一大事ですが、なんとか下げ渋っています。さらに、10ヵ月移動平均線がちょうど上値を抑える形になっていて、興味深いところです。ただ、これが普遍的な動きなのかどうかは見極める必要がありますが、これまでの動きを見ても、こうした長さの移動平均が上値や下値になっているので、参考にしてみるのも良いと思います。

 今は、ちょうど30ヵ月移動平均が3000ポイント前後になっているので、そのあたりを割るかどうかが重要になってきます。3000ポイントを割るようなら、1月は軟調な展開が続く可能性が有ります。その場合、人民元はもちろん、ドル円など為替に影響を与える上に、日本株にとっての売り材料にもなりやすいので注目しておく必要があるでしょう。

短観から読み解く日本経済の伸びしろ

 12月の日銀短観では、大企業製造業DIは前回9月の結果と同じ+12でした。悪化はせず、予想中央値の+11も上回りました。また、前回の先行きは+10で悪くなると予想されていたわけですが、それが実際は横ばいだったので予想から上ぶれたことになります。一方、非製造業も前回の先行きは悪化が見込まれていましたが、実際は横ばいでした。ただ、今回の先行きは製造業、非製造業ともに足元よりも低くなっていて、その差が広がっています。さらに、どちらかというと非製造業の足元と先行きの差が7ポイントと大きくなっていることが気がかりです。先行きに不安を感じ始めている企業が増えてきていると言えます。

 また、設備投資は+10.8と高い水準を保っています。よく、設備投資の数字が良いので景気は大丈夫と国会の答弁やエコノミストのコメントなどでも言われていますが、その中身はどうなのでしょう。実はマイナンバーなど、日本の制度変更に伴う設備投資である可能性が高いのです。実際に工場を最新の設備にリプレイスするといった話ではなく、制度変更への対応のために設備投資をしていると思われるデータがあちこちで見受けられます。前向きな設備投資ではなかった場合、景気が良くなることにはつながらないので注意が必要です。

 今は株価が下落していますが、新興市場などはやや持ちこたえていて、金なども下げ止まっています。短観で示されたように、実際に先行きが少し低下しても、踊り場という程度で再び自信を取り戻して上向きに転じることができれば、基本的には今の株価は割安という見方も成り立つと思います。

 さらに注目すべきなのは、想定為替レートです。1年前のデータを見ると、102円程度でした。日本企業は低めに見ることが多く、一年前も今も、その傾向に変わりはありません。しかし、2015年度下期の想定レートは118円、そしてもうすでに、その水準を割り込んでいるのです。

 これまでは前年同期と比べると、2円分程度のプラスアルファが出ていました。しかし今回は逆に動く可能性があるのです。もしかすると株式市場はこうしたことを先取りして、企業業績の発表が出る前に売り始めているのかもしれません。もちろんファンダメンタルズは株価の割安、割高を判断する一番のベースになるものではありますが、それだけでは今の状況を判断しづらいと思います。こうした指標の分析を全部するのは大変かもしれませんが、テクニカル分析なども活用して、株価がどちらに動いているのかを注意深く見ておかないといけないと思います。

 短観では、中小企業も製造業は先行きがマイナスとなり、非製造業はなんとか0を保っている状況です。そして大企業と同様に、足元と先行きの差が開いてきています。設備投資もわずかにマイナスで、こうしたことも株価が先取りして下落している背景だとも考えられます。

 こうした時に株式投資をやる場合、資金を株に振り向けるにはある程度先が見えてからということになるので、その時に初めてファンダメンタルズを確認材料に使うということが重要になってくると思います。

 短観の結果をグラフで見ると、大企業は製造業が横ばい、非製造業も頭打ちになってきています。中小企業も製造業は横ばい、非製造業はまだやや上向きが続いている状況です。日銀や、国会などの議論の中で、国内景況感はそれほど悪くないと言われていますが、それはこうしたデータがベースになっているのだろうと思います。

 しかしこれは12月のデータで、今年に入ってからは変化してきていると思われます。前回の予測値と実績の差分を見ても、大企業、中小企業ともに予想よりも上振れていることが示されています。こうしたデータを見る限り、景況感が悪くないと言われているのは間違いではないと言えますが、国会などでは、過去のデータで評価するだけでなく、先を読んで対策を打ってもらわないと困るので、今後を見ていくことが重要なのです。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師
株式会社インベストラスト 代表取締役
IFTA国際検定テクニカルアナリスト
福永 博之
1月20日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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資産形成力養成講座 加藤

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