グローバル・マネー・ジャーナル

2016.2.10(水)

日銀のマイナス金利導入決定(大前研一)

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日銀のマイナス金利導入決定(大前研一)2016/02/10(水)


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今回のテーマ

日銀のマイナス金利導入決定(大前研一)

【日銀】マイナス金利導入を決定~金融政策決定会合で5対4~

 日銀は29日の金融政策決定会合で、マイナス金利政策の導入を5対4の賛成多数で決定しました。中国経済の減速や原油価格の下落で世界経済の先行き懸念が強まり、国内景気や物価に悪影響が及ぶリスクが高まったためで、銀行が日銀に預ける当座預金の一部に2月から-0.1%の金利を適用する方針です。

 今、日本の銀行は日銀に国債を売り、その分のお金をもらっています。そのお金を日銀の当座預金に入れています。それについて0.1%の預かり料を取るということですが、1兆円預けていたら10億円ですから、飲み込んでしまえという銀行もあるでしょうし、それなら自分の銀行に移しておいて貸し出しに使うという銀行もあるでしょう。

 ただ、貸してくれという人が非常に少ない現実において、これが本当の市場にどのくらい貸し出しや設備投資として出てくるかというと、他の政策と咬ませない限り無理だと言えます。銀行も、とりあえず預けているだけであって、それを自分の銀行に持ってきたところで貸して欲しいという人が少ないのでそもそも無理ということなのです。

 マイナス金利は、1年半ほど前にドラギ総裁がヨーロッパ中央銀行でやりました。ヨーロッパの場合は、銀行がヨーロッパ中央銀行に預けている分が少ないので、今のところあまり効果は出ていません。

 勘違いしている人も多いようですが、我々が預けている銀行の預金がマイナスになって、保管料を取られるというわけではありません。金融機関が日銀当座預金にそのまま置いてある分について、マイナス金利になって保管料を取られるということなのです。ただこのまま、この政策だけで経済が上向くことはないでしょう。

 しかも黒田総裁はこういうことをやりながら、2%の物価上昇率の達成時期はさらに一年先になると言っているのです。使える手段は全部使うと言いながら、全部使ってみたところで目標は先送りなのです。さらに目標達成が先になることについて、原油安などのマイナス要因があると言っていますが、それだけではないことをみんな知っています。アベノミクスがいかに破綻したか、政府や日銀は、まずその評価をやることが重要ではないでしょうか。

【日本株式】サウジ政府ファンドが叩き売る?

 日経新聞は27日、「株、企業業績に警戒感」と題する記事を掲載しました。これは中国をはじめとする新興国経済の減速や円安の一服を受け、証券会社のアナリストが相次いで企業の業績見通しを下方修正し始めたと指摘しています。円安による増益期待が薄れる来期も含め、業績への不安が強いうちは、積極的に買いにいけないとするファンドマネージャーの声を紹介しています。

 ファンドマネージャーやアナリストは、来年は上向く、来年初めは厳しくても年後半は上向く、と調子よく言うのが儀礼となっています。それを毎年繰り返しているのです。そうしたアナリスト達が見通しを修正する動きを表すリビジョンインデックスが、今かなりマイナスに傾いていて、-37%となっています。要するに、多くのアナリストが自分たちの経済成長見通しをマイナス方向に見直ししているのです。

 考えてみれば当たり前で、もともと日本は思ったほど伸びておらず、中国にも足を引っ張られています。さらに、原油安もその理由に挙げられています。しかし、原油安については、日本にとっては大きなプラス要因です。原油安までマイナス要因に使うというのはおかしなことですが、安倍首相のアベノミクスは正しいとされ、それを揺さぶるものとして原油安、中国などと他のところが悪いと言っているわけです。もっと足元で、自分たちの国の需要がなぜ伸びないのか、正直に分析するようなことをしていかないとだめなのです。

 現代ビジネスは28日、「暴落の可能性大、サウジ政府ファンドが叩き売る『赤信号銘柄』」と題する記事を掲載しました。原油価格の下落が続き、産油国の政府系ファンドが日本株を売り始めていると紹介。また、中国人の爆買いとともに積極的に買ってきた都心部の不動産も売り始めているとして、不動産の急落リスクが出てきたと警告しています。

 サウジだけでなく、ノルウェー政府なども日本株の見直しを始めています。サウジの場合は全世界の今の資産運用を見直して、大きく引き上げてお金に換えないと政府が維持できなくなっています。サウジのファンドも、ノルウェーのファンドも日本株だけでも1000社以上の株を持っています。スタートトゥデイなどの株もどういうわけか、そうしたところが大量保有しています。そうした中、今の原油安や中国景気減速でマイナスになると思われるような銘柄を積極的に売り始めているという状況なのです。

 サウジに関しては国家の経営が非常に苦しくなっているので、アラムコオイルの株を上場することも含めていろいろな動きが出てきています。また、王様が変わった後、イランとの対立もあって金のかかる戦争のようなこともイエメンで始めてしまっているので、そうした点で、サウジのような巨大ファンドの売りは、日本に限らず、相当なマイナス圧力になるのは間違いありません。

 日本の株式保有率を見ると、外国法人がずっと伸びてきて、個人が減ってきています。事業法人はほぼ一定で、金融機関は持ち株の整理をしているのでこちらも減少しています。このように、外国法人はかつての約18%から30%程度まで、非常に多く持つようになってきたので、外国の巨大ファンドが売り始めると、その影響は大きく、株の上昇を抑えることになるのです。

【日本】物価上昇、しぼむ「期待」~日経新聞~

 日経新聞は25日、「預金、なぜ膨張?」と題する記事を掲載しました。これは、長引く超低金利にもかかわらず、銀行の預金残高が年間10兆円のペースで増え続け、2015年11月末には677兆円に達したと紹介。内訳をみると、現役世代の40代の預金額が大きく減る一方、シニア層が増えているということで、老後の生活費や医療費がどれだけ必要かを見通せない世代がリスクに備えて節約している現状としています。

 これは、私が言っている低欲望社会の典型的な断面だと言えます。それと同時に、日本が低成長になった90年代初頭から、700兆円近く個人金融資産が増えているのです。ずっと低成長でいる中、資産がどんどん増えているということなのです。それで私は税金も資産課税にするべきだと前から提唱しているのです。

 一方、低欲望社会なので、人々は預金に置いたままあまり運用しようとしません。元本が維持されていれば良いと、低金利なのに預けたままにしているのです。しかし政府も、もう少し人生をエンジョイするためにお金を使ったらどうかという雰囲気を前面には出していません。

 総活躍社会と言いますが、なんとなくまだ働けと言っているように聞こえます。そうではなく、「総エンジョイ社会」として、皆が人生を楽しみ、最後に自分の人生は良かったと思って死ねるようにする、そうしたメッセージをコンスタントに送るべきなのです。0.1%しか金利が付かない預金だけに677兆円もあるというのはとんでもないことです。それだから金融機関は儲かるのです。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 学長
大前 研一
1月31日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
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資産形成力養成講座 加藤

新年あけましておめでとうございます。2016年の株式市場は波乱の幕開けですが、今年も有益な情報をお届けできればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

資産運用はインフレ経済下で特に重要になります。デフレ下では資産運用をしなくてもモノの価値が下がっていきますが、インフレ下ではモノの価格上昇を超える運用をしなければならないからです。資産運用は、株式・債券・為替・コモディティ・不動産など多岐に渡りますので、総合的な理解や考え方が求められます。世界標準の資産運用を学び、第一歩を踏み出してください!

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「資産運用を日本の国技に!」「世界最適運用で世界標準の5%~10%の利回りを目指せ!」大前研一学長の掛け声のもと、2006年にスタートした資産形成力養成講座。5000名を超える受講生が学んできました。

これまで長期デフレを経験した日本。デフレに慣れ、インフレの想像がつきにくい方も多いかもしれません。しかし確実に、デフレ脱却に向けて動き出しています。インフレとはモノの価値が上昇する世の中。私たちはそうした物価上昇以上に持っている資産を高めていかないと生活力(購買力)を落としてしまうことになります。

金融機関など他人任せにするのではなく自ら設計することで、手数料などを考えると2%程度の利回りの差になることも多々あります。毎年2%の差は、例えば500万円運用している人にとって、10年で100万円以上の差になって現れます。欧米では学校教育で「お金」について学ぶ機会がありますが、日本ではほとんどありません。みなさんも、世界のお金の流れを学び、リターンを実現できる資産形成力を高めませんか?

それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!