どのぐらい預けるかというと、0.05%から1.3%と極わずかですが、日銀に強制的に預金として置かなくてはいけないことになっています。ただ、割合としては小さいようでも、我々国民が市中銀行に預けている預金とは違い銀行の預金なので、兆円単位の額になります。0.05%から1.3%程度といってもトータルの額としては大きいのです。そしてこれがそもそもの日銀当座預金であり、現在9兆円程度が所要の準備預金残高ということになります。
また、銀行同士がお金を出し入れする際、コール市場で動かしたり運用したりするのですが、その最終的な資金決済の場としてもこの当座預金が使われています。我々が銀行を通してお金を送金したりやりとりするように、銀行同士も、そのようなやりとりをインターバンク市場でするわけですが、最終的には日銀当座預金で決済すると非常に便利なのです。そもそもの日銀当座預金は、このような形で預けたお金をうまく使っていたわけです。
しかし現在、この当座預金にはもともとの9兆円をはるかに凌ぐ、200兆円以上もの莫大な金額が預けられています。その理由は金融緩和です。緩和が長く続くうちに、銀行から日銀が国債をオペレーションで購入し、銀行に対してお金を振り込み続けました。つまり、銀行が持っている国債を日銀が買い上げることにより、銀行に国債を買った分のお金を渡してきたのです。そのお金が当座預金に積み上げられてきたのです。そもそも投資するものがないので国債を買っていたわけなので、日銀がそれを吸い上げてお金が振り込まれたところで使いようがないので、それを日銀当座預金に置いておいたということなのです。
しかし法律として必要な準備預金残高より余分に置いたお金は、「ブタ積み」と言われ金利が全く付かなかったので、必要以上に積むと全く利益を生まない預金になってしまっていました。銀行も金利が全く付かないと意味がないので何とか引き出そうとしますが、使いようがないため、また国債を買うか金庫に置くかしかないわけです。銀行がお金を入れたり引き上げたりを繰り返すという状態はとても不安定なので、日銀は2008年、ここに0.1%の金利を付け、安定的に銀行が当座預金にお金を置けるようにしました。
こうして作られた「補完当座預金制度」により、日銀当座預金には金利が付くようになり、市中の金融機関は安心してお金を置いておくという事態が発生したのです。これについて口の悪い人は、何もしないで日銀に置いておくだけで0.1%も金利が付いていると批判していて、実際それが現状では2000億円に上っていたのです。そういう批判的な見方もできますが、日銀が当時やったように金利を付けておいたおかげで、銀行が自行の金庫にお金を移したり戻したりというやりとりがなく、安定的に市場を保つことができたとも言えます。
さらに深読みをするならば、将来的に少し金利を上げたい時には、市中の金利は上げられなくても、この付利を上げることによって、金利のコントロールが可能になるという見方をする人もいました。何れにしてもゼロだったものに金利を付けるようになってかれこれ7、8年経過していました。2000億円を日銀が市中の銀行に金利として支払うわけなので、日銀の儲けは減ります。日銀の儲けは国庫金、つまり税金として国に納めるものなので、その分が銀行に利子として回されていたということになります。
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