それより、証券投資家が購入している原油のETFは、原油価格が40ドルを超えてくると、売られるのではないかと思われる。米国の原油在庫は5週連続で増加しており、世界の石油在庫も過去5年比でかなり多い水準にある。米国の石油稼働リグ数は減少傾向にあるが、原油生産はそれほど減ってはいない。EIAのShort Term Energy Outlookでは世界の非OPECによる原油生産量は思ったほど減らないと述べている。
一方で、原油需要は中国の景気後退等により増加傾向が鈍っている。EIAは、2016年の世界の石油消費量は日量9,417万バレル、非OPECからの原油供給は日量5,713万バレル、OPECからの原油供給量は日量3,817万バレルと予想し、供給量は合計9,529万バレルとなるため、供給から需要を差し引いた需給バランスは日量112万バレルの供給過剰状態にあるという。
同様に、OPECのOil Market Report 3月号では2月の実際のOPECの生産量は日量3,860万バレルだったため、受給は日量76万バレルの供給過剰と述べている。
産油国は4月17日にドーハで会議を開催することを決定したが、それまでに1月の生産量で凍結する必要があり、イランは経済封鎖の解除の前の生産量としているなど、足並みはそろわないと思われる。産油国は原油価格下落により歳入が縮小し、財政赤字になっているため、簡単に減産や生産凍結は難しいのではないかと推測される。EIAは今年の価格を35ドルと予想しているが、それが正しいとするなら3月21日の39.91ドルの価格は少し高いことになる。
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