グローバル・マネー・ジャーナル

2016.4.13(水)

ドルから金に流れるマネー(近藤雅世)

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ドルから金に流れるマネー(近藤雅世)2016/04/13(水)


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今回のテーマ

ドルから金に流れるマネー(近藤雅世)

ドルから金に流れるマネー

 最近の世界の動きで特徴的なのは、ドル安/円・ユーロ高と、それに伴う金・原油高であろう。今年の1月4日を100とした指数では、NY金が4月11日までに+16.9%上昇し、原油価格も+9.8%上昇しているのに対し、ドルインデックスは▲5%と下落している。

 株価との比較では金が+16.9%上昇しているのに対しDow平均株価は+2.4%の上昇、上海B株は▲5.2%と下落、日経平均株価は▲14.6%で下落となっている。

 先進国通貨は、ドル円が+9.6%円高になり、ユーロ/ドルが+5.3%ユーロ高、英ポンドは▲3.2%安、スイスフランは▲4.8%安である。

 BRICS諸国他の主要通貨は、ブラジルレアルが+13.6%、ロシアルーブルが+8.4%、カナダドルが+7.7%、豪ドルが+5.6%、人民元が+1.2%、インドルピーが+0.4%で、ドルの▲4.0%に反比例して、2014年以来のドル高各国通貨安が反転している。

 ドル安の主な原因は利上げが見送られたことにあろう。3人の米国地方連銀理事が4月の利上げもあり得ると述べた後で、イエレン議長が、今年は4回の利上げを2回にすると、利上げへの慎重姿勢を示したため、今では4月の利上げはなく、6月以降になるだろうとの見方となっている。ドル安は金や原油高を招く。

 金については、World Gold Councilからマイナス金利になると金投資に有利に働くというレポートが出ている。その理由は、

 ①マイナス金利によって債券価格の上限が限られ、リスクを回避する動きとしての債券投資の妙味が薄れるため、金のセーフヘブンとしての役割が際立つようになる。

 ②外貨準備を運用する各国政府の運用責任者や、株式投資等で運用するファンドマネジャーにとって、現金化するとマイナス金利が発生する恐れがあり、金の小さなリターンでも良しとし、ましてや価格が上昇するならなお良しとなっている。

 ③金の保有コストが金利の低下により限定されている。

 ④マイナス金利により通貨への投資は、通貨戦争や通貨介入の可能性によりボラティリティーが高くなるため回避され、金投資に資金が向かう。

 ⑤中央銀行によるインフレやデフレを制御し、あるいは経済成長を促進するために効果のある選択肢が限られてくるので、債券よりも金を外貨準備として保有する動きが加速する。

 などを挙げている。ファンドマネジャーのポートフォリオに占める金の割合は、7.6%〜15.7%になるだろうという。(詳細は株式会社コモディティーインテリジェンスの週刊ゴールド4月11日号参照)

 一方原油価格は、4月17日に予定されているカタールのドーハにおける産油国会議で1月の生産量をもって生産量を凍結するという決議がなされるかどうかが焦点となっている。三通りの解釈があり、一つはサウジアラビアのムハンマド副皇太子が述べているように、イランが生産凍結に参加しないなら会議には出席しないという会議そのものが流れる可能性。もう一つは、イランに対して参加国が少し譲歩することで会議が成立して、凍結が実施される可能性、この場合イランの生産量をどの水準で妥協するかが問題となる。

 三つ目は、会議が成立して生産量が凍結されても、緩和している世界の原油需給に対しての効果は小さく、一時的に価格は上昇するとしても、いずれ供給過剰の重みにより価格は下落するだろうというもの。どの場合も今後原油価格が45ドルを超えて上昇するというムードにはなっていない。むしろ反落がどの程度で収まるか、あるいは少し反発するかという点が議論の的となり、ゴールドマンサックスなどは、弱気に傾いている。

 金価格も原油価格も、今後の米国景気次第で6月14~15日のFOMCにおいて利上げされる環境が整って来れば、ドルは反転上昇し、各国通貨は弱くなり、商品価格の反落する可能性がある。

中国経済の行方

 中国については、4月4日発売の週刊エコノミストでその危機的状況が描かれているが、(株式会社コモディティーインテリジェンスの週刊経済指標4月12日号参照)新しくて古い話題ではあるが、いずれ恐ろしいバブル崩壊の嵐が日本企業を襲うものと思われる。

 かって旧ソ連邦時代のゴルバチョフは共産主義体制下の非効率な生産活動により、資金的な行き詰まりから国家運営が難しくなり、戦略核兵器削減交渉や、軍備縮小により出費を抑えてペレストロイカ(改革)とグラスノスチ(公開)によって経済・政治体制を立て直そうとしたが、結局旧ソ連邦の崩壊という事態に至った。

 習近平国家主席は懸命に言論統制を行い、反対人脈を汚職の名の下に排除して中央集権化を図っているが、経済運営は彼独りではできない。まして昨年8月に青瓦台における会合で長老から輸出の減少を指摘されるや、人民銀行にそれまでの流れの正反対の元安を指示し、その後再び人民元買い支えに戻り、貴重な外貨準備を半年間で▲4000億ドル(約12%)以上減らしている。習近平は経済音痴であると思われ、頭の中は自己の保身、政敵の排除が大半を占めているのであろう。

 社会主義の場合競争原理が働かず、共産党の幹部の指示通りに経済が運営される。鉄鋼やトウモロコシの過剰在庫を挙げるまでもなく、人間が予め需要と供給を計画して生産を指示するということは不可能なことに違いない。その対極にあるのが商品先物取引であり、需給や人々の思惑が、生産者の憤りも容赦なく、価格を決めていく。

 毛沢東は大躍進政策で2千万人以上の餓死者を出して失敗したが、その轍を踏まないように鄧小平は市場開放を行い、黒猫でも白猫でもネズミを捕る猫は良い猫だとたとえ、先行して裕福になる人々を容認した。その結果貧富の差が極端につき、その収益の分配はスムーズにできていない。こうした状況下で数百万人の失業者が出るとしたら、混乱は想像に難くない。

 ただ、いつまで持ちこたえるか、どのような結末を迎えるのかは定かではなく、カタストロフィーは順送りに先延ばしされ、延ばせば延ばすほどその破裂時のダメージは大きくなるものと思われる。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師
株式会社コモディティーインテリジェンス 代表取締役社長
近藤 雅世
講師より寄稿いただいた内容をご紹介しております。
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資産形成力養成講座 加藤

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