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2016.4.27(水)

落ち込む経済指標 短期的か長期的か見極めよう(福永博之)

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落ち込む経済指標 短期的か長期的か見極めよう(福永博之)2016/04/27(水)


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今回のテーマ

落ち込む経済指標 短期的か長期的か見極めよう(福永博之)

落ち込む経済指標 短期的か長期的か見極めよう!

 2月の機械受注は前月比で大きく落ち込んできています。ただ、グラフを見るとわかるようにリーマンショック後に低下した水準からはすでに抜け出してきています。その意味では景気が後退しているという状況にはまだ至っていないという判断につながっています。

 今回大きく落ち込んだ要因としては、鉄鋼セクターで前回非常に大掛かりな設備投資があり、金額では去年12月の8129億円から今年1月の9347億円まで大きく増えたのです。2月はその増加の反動で前月比が落ち込んだと言われています。グラフだけ見ると今回ガツンと落ちているように思いますが、反動に過ぎず、トレンドとしては右肩上がりが続いていると言えるでしょう。このデータを見る限りは、景気が後退しているという状況は見られません。

 また、この時期に発表された他の指標についても、景気悪化の兆しは見えるものの落ち込んでいるというところまでは至っていません。2月の鉱工業生産は-6.2と大きく落ち込みました。これも一時的なものだという考えが大勢です。これについては、トヨタ自動車の工場の一時停止が影響したものです。トヨタが部品を調達している会社の工場が火事になり、そのせいで部品が調達できず、その間車の生産ができなかったのです。鉱工業生産は自動車生産なども全部含むので、その影響で落ち込んだと見られています。

 一方、在庫がやや減少しているのは良い状況です。在庫が増えて生産が落ち込むとワニの口が広がるようなグラフとなり最も良くないパターンになりますが、そうではないのでまだ大丈夫であり、一時的な要因であると見られます。その裏付けとなるのが、生産予測調査のデータです。一旦かなり落ち込んだにもかかわらず、その翌月、翌々月の予測を見ると、一気に跳ね上がっています。このことから、鉱工業生産の落ち込みも一時的と見られているというところがポイントです。

 こうしたデータを元に、現状を判断することが重要です。トヨタの工場の生産停止があったのは確かですが、それだけを理由に一時的と言ってはいけません。それに加えてこのように生産予測などの基礎データが上向きであることから判断するべきなのです。データは自分の都合の良いように解釈できてしまうので、こうして客観的に裏付けとなるデータを持ってきて判断するように注意しましょう。

 次に2月の景気動向指数ですが、先行指数は低下し99.8と100を下回り、一致指数は100を超えているものの前月比-3.2と低下傾向、遅行指数はほぼ横ばいです。この動きがよくない感じがするのは、過去の景気の山にあたる部分で、一致指数や遅行指数は上がっている中、先行指数が徐々に落ちていくという傾向が見られているからです。

 4月末には日銀金融政策決定会合があります。日銀は頑張っているとは思いますが、政府ももっと知恵を絞って何か対策を考えないと、もう一度本格的に景気が落ち込んでしまう可能性があると言えます。もし、景気が落ち込んで、消費税も引き上げとなると、おそらく景況感は最悪の結果に陥る可能性もあります。私はエコノミストではありませんが、毎回こうしてデータを見ていると、そうした状況が見えてきます。受講生の方達も毎回統計を見ていればひらめくことだと思います。

 雇用に関しては、新規求人倍率がどんと落ちています。1.92倍と非常に高い水準なのですが、前月比で-0.15と大きな落ち込みです。通常、失業率などは0.1%ずつ動きますが、求人倍率に関しては、0.01という単位で動きます。今回の0.15という幅は普通の10倍以上の大きな動きと言えます。有効求人倍率も1.28と横ばいで頭打ちになっており、さらに失業率は3.3%と低い水準は保っているものの、久々に悪化しているので注意しないといけない状況です。選挙などと言っている場合ではなさそうな気がします。

 消費者物価指数も低下してきていて、物価も伸び悩んでいます。ただ、この指数は2010年を100として指数化したものですが、その水準だけ見ると2010年よりは上にあります。しかし目標としては前年比の伸びが2%を超えたいというところなのですが、その数字を見るとゼロが続いていて、かなり開きがある状況です。やはり緩和をしないとだめだということでしょうか。

マネーストックへのマイナス金利の影響は?

 一方、小売販売額は良い数字です。前年同月比で100を超えていて、しっかりしていると言えます。街角景気は、足元はなんとか踏ん張っている状況なのです。そこでさらに回復できるように政策的な支援が必要なのだと思います。

 マネーストックも横ばいで、残高の伸びは低下しています。M3はゆうちょも含めた残高ですが、マイナス金利が導入されてからどちらも伸び悩んでいることがわかります。さらに内訳をみると、マイナス金利が導入されたのでCDは一気に3.6から-0.1まで落ち込んでいますが、実は現預金の伸びが少しずつ増加、また預金通貨も増えてきています。広義流動性を見ると横ばいで、みなさんがお金を現預金にシフトしていることが見て取れます。マイナス金利がどうだこうだと言いながら、実際には預金の残高が増えているのです。

 預金金利もマイナスになるとの不安から金庫が売れているということが話題にもなりましたが、実際には現預金にお金が向かっているということです。こうしたデータを見るといろいろな矛盾も見えてくるのです。現金通貨については去年9月以降継続して伸びており、景気ウォッチャー調査で景況感が50を割り込んだ去年8月頃から景気が心配になってきて、現預金にお金を置き始めたことが現れていると考えられます。このように幾つかのデータを関連付けてつなぎ合わせて考えるとより状況がよくわかるのです。

 金利動向を見ると、マイナス金利が導入されたことで長期金利は0を下回っての推移になっています。マイナス金利の利回りである-0.1%に達すると戻る動きで、その水準が終値ベースでは下限となっています。しかしこれも日銀がもしマイナス金利を拡大すれば、さらに低下する可能性は十分あると言えます、黒田総裁は国会答弁の中で、マイナス金利拡大は理論上-0.5%まで下げても大丈夫と話しているので、金利はあと数回切り下げられる可能性は十分あると考えられます。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師
株式会社インベストラスト 代表取締役
IFTA国際検定テクニカルアナリスト
福永 博之
4月13日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
詳しくはこちら

資産形成力養成講座 加藤

 乱高下するマーケット。仕事と同じように戦略や戦術を考えずに結果は出ません。資産運用は、株式・債券・為替・コモディティ・不動産など多岐に渡り、世界中に金融商品は存在します。総合的な理解や考え方が求められます。世界標準の資産運用を学び、第一歩を踏み出してください!

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