グローバル・マネー・ジャーナル

2016.6.1(水)

アメリカ頼みの世界経済 世界の大部分は混沌へ(田口美一)

グローバル・マネー・ジャーナル

アメリカ頼みの世界経済 世界の大部分は混沌へ(田口美一)2016/06/01(水)


大前研一学長総監修 資産形成力養成講座 グローバル・マネー・ジャーナル 「最新・最強・最高」クオリティの金融情報とデータ!

  第444号!資産形成力養成講座メルマガ

大前研一
  資産形成に役立つ情報を、大前研一ならびに一流講師陣から学ぶ!

【世界経済を学び資産運用開始!】7月期生 6月21日(火)15時まで

年初から株式・為替をはじめ世界経済は波乱の幕開けとなりました。考え方と情報を活用し、今年も乗り越えていきましょう。「自ら考え、自ら行動を起こし、自らの手で資産を形成すること」 資産運用への第一歩をサポートしてまいります。

【東京・秋葉原セミナー】2016世界マーケットの行方 7/23開催!

【無料説明会】東京(6/7)・オンライン(6/16)、大阪(6/18)・名古屋(6/19)で開催!

【無料メールセミナー】グラフで分かる日本経済! 登録無料!

今回のテーマ

アメリカ頼みの世界経済 世界の大部分は混沌へ(田口美一)

世界のマーケット状況を俯瞰する

 世界の株価を5年間の長いチャートで見ると、アメリカは長期にかけて戻ってきていたのが今はフラフラしていますが、それほど極端に下がってはおらず、むしろ去年夏のチャイナショックからは戻っています。トリプルトップを付けに行っているなどチャートの見方は色々ですが、印象としては高止まりというところです。アメリカはまだ極端な調整相場にはなっていないと言えます。

 GDPの規模の順に見ると、次に来るのは中国です。中国株は去年夏にチャイナショックがあって以来、綺麗に下げています。少し戻りましたが、インデックスは5000が3000になった状態で40%下げたまま回復を見ていないわけです。

 続いて日本ですが、足元1万6500円から1万7000円をうかがう展開になっていますが、2万1000円弱から1万5000円へ6000円ほど下がったものが、3000円ほど戻す中間反騰というパターンになっている感じです。しかし正直なところ、2万1000円を回復できるようなファンダメンタルズ、マーケットの勢いは感じられない状況です。

 他の国では、ヨーロッパの雄と言われるドイツを見てみると、指数は1万ポイントを割れたところで上値を切り下げて調整していて、日本同様、下げからの回復は難しい局面です。イギリスはGDP成長率が2%台半ばまできていて経済は悪くないものの、マーケットは不安気です。EUを離脱した方がいいのではないかという国民の声が上がっているのも宜なるかなという感じです。また、近々オリンピックがあるというブラジルですが、相当悪かったところから復活してきています。これはひとえに、政治が今悪いものの、今後政権が変われば良くなるという期待感で買われているものです。

 しかし、どうも足元では政治のトップの不正疑惑について、白黒はっきりさせようというムードも強まっています。白黒はっきりさせたいということは現在混沌の中にあり、先が見えない状況だということです。これはマーケットには一番良くない状況です。悪いことは出てしまった方がいいのです。ブラジルは政治がすっきりと変わってよくなるという期待が出ていたわけですが、トップは辞めない、議会は弾劾裁判をすべきだ、などと揉めてきています。そうなると、ここまで頑張ってきた株価の戻りも、また調整となるかもしれません。

 これら以外のヨーロッパやエマージングの株価もほぼ目立って良いものはなく、唯一アメリカが、決して良くはないものの下がらないで頑張っているという印象です。

アメリカ頼みの世界経済 世界の大部分は混沌へ

 世界のGDP比率を示したグラフをみると、アメリカが25%、中国が16%、日本が5%と、これだけで45%を占めています。さらにドイツを入れると50%、過半数になります。株価は半年後の景気を占う先行指標と言われ、6カ月先取りしていると見られています。そう考えると、アメリカが頑張っているだけで、中国、日本もだめ、ドイツもイギリスも良くないと言うことは、約25~30%を占める先進国と中国の部分が良くないということなのです。

 アメリカが占めている4分の1だけが、株価も経済もなんとか頑張っているということです。一方、その他の国々ではフランス、インド、イタリア、ブラジル、カナダなど、先進国とBRICsが15~20%を占めますが、こちらも先行きがはっきりしません。つまり全体的に見ても、25%のアメリカを除いては、不安ではっきりしない状態なわけです。アメリカは大国ですが、それでも厳しいと感じざるを得ません。

 一方、金利の動向を見てみると、マイナス金利の登場によって「プラス金利」という言葉が成り立つようになりました。10年国債の利回りでは、アメリカは1.7%~1.8%と相当低いものの、なんとかプラスの金利を保っています。また、中国も3%ほど金利があります。この二国は金利が残っているのです。

 また、日本は今10年債金利が-0.1%になってしまっています。日本政府が発行するのが日本国債で、10年国債であればそれに合わせたクーポンで利息を払うわけです。しかし、マーケットではマイナスが付いているということで、発行者はほとんど利息を払わなくてよいわけです。むしろ、流通市場で付いている値段は、それを持ち続けると利息をもらうのではなく、払わなくてはいけないというのがマイナス金利です。そういうおかしなことが起こっているのです。

 例えば、0%のクーポンの国債が100円で発行されたとすると、その国債を満期まで持っていると1円も利息が付きません。さらにそれどころではなく、それを101円で取引しているのです。100円でクーポンがなく、それを101円で売り買いしているということです。満期では100円になってしまい、1%の損になります。これがマイナス金利です。

 損をするのにそういう値段が付いている理由は、日銀が買ってくれるからです。これがまさに日銀がマイナス金利政策を取っているということなのです。ロジックは正しいかもしれませんが、現実に起こると相当おかしいことだと言えます。しかし、そうした状況の国が多くなっているのです。ドイツは先行してマイナス金利を導入し、今、9年債までマイナス金利になっています。日本も10年債が完全にマイナスになっています。

 この状況をわかりやすく示した興味深い表が、エコノミスト誌に紹介されています。色の濃い部分はマイナス金利が付いているところで、国ではスイス、ドイツ、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、オランダ、オーストリア、フランス、アイルランド、そして、日本、イタリア、スペインと並びます。年限で見てもマイナスに沈むところが多くなってきています。わずかに金利が付いているところも色分けされていますが、だんだんと青い部分、「水没」した部分が拡大しているのです。

 一、二年前はマイナス金利の部分はほんの少しで、変なことが起こり始めたという状態でしたが、ここまで拡がっていて、さらに1年後にはもっと拡がると予想されます。徐々に、ひたひたとくる可能性があるのです。この背景はまさしく、長期停滞とデフレです。あらゆる手段、考えられる伝統的金融政策も非伝統的な金融政策もやったものの、それでも効かないということで、いよいよマイナス金利の導入まで行ったわけですが、何れにしても、株式市場でも債券市場でも、相当信じがたいことが今起こっているのです。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師
金融経済アナリスト
前クレディ・スイス証券副会長
田口 美一
5月19日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
詳しくはこちら

資産形成力養成講座 加藤

 乱高下するマーケット。仕事と同じように戦略や戦術を考えずに結果は出ません。資産運用は、株式・債券・為替・コモディティ・不動産など多岐に渡り、世界中に金融商品は存在します。総合的な理解や考え方が求められます。世界標準の資産運用を学び、第一歩を踏み出してください!

【東京・秋葉原セミナー】2016世界マーケットの行方 7/23開催!

【無料説明会】東京(6/7)・オンライン(6/16)、大阪(6/18)・名古屋(6/19)で開催!

【無料メールセミナー】グラフで分かる日本経済! 登録無料!

資産形成力養成講座では、Facebookページでも金融にまつわる最新ニュースなどご紹介しております。ぜひこちらもチェックしてください。

 「資産運用を日本の国技に!」「世界最適運用で世界標準の5%~10%の利回りを目指せ!」大前研一学長の掛け声のもと、2006年にスタートした資産形成力養成講座。5000名を超える受講生が学んできました。

 金融機関など他人任せにするのではなく自ら設計することで、手数料などを考えると2%程度の利回りの差になることも多々あります。毎年2%の差は、例えば500万円運用している人にとって、10年で100万円以上の差になって現れます。欧米では学校教育で「お金」について学ぶ機会がありますが、日本ではほとんどありません。みなさんも、世界のお金の流れを学び、リターンを実現できる資産形成力を高めませんか?

 それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!