グローバル・マネー・ジャーナル

2016.7.20(水)

BREXIT前、既に大きく下落している経済指標(福永博之)

グローバル・マネー・ジャーナル

BREXIT前、既に大きく下落している経済指標(福永博之)2016/07/20(水)


大前研一学長総監修 資産形成力養成講座 グローバル・マネー・ジャーナル 「最新・最強・最高」クオリティの金融情報とデータ!

第451号!資産形成力養成講座メルマガ

大前研一
資産形成に役立つ情報を、大前研一ならびに一流講師陣から学ぶ!

キャンペーン実施中 7月26日(火)15時まで【激動の世界金融情勢を乗り越えよ!】

 BREXITが確定、波乱の相場展開を乗り越える知恵を! 考え方と情報を活用し、今年も乗り越えていきましょう。「自ら考え、自ら行動を起こし、自らの手で資産を形成すること」 資産運用への第一歩をサポートしてまいります。

【キャンペーン】基本コースが4万円OFF!他 7月26日(火)15時まで

【無料説明会】東京(7/21、8/23)、オンライン(8/4)、大阪・仙台・愛媛で開催!

【無料メールセミナー】グラフで分かる日本経済! 登録無料!

今回のテーマ

BREXIT前、既に大きく下落している経済指標(福永博之)

BREXIT前、既に大きく下落している経済指標

 6月調査の日銀短観は、DIの推移を見ると、大企業においては製造業と非製造業との差の開きが顕著になってきています。数値がゼロより上であれば一応は好景気、業況判断は良いということになりますが、製造業のDIは6と前回から横ばい、非製造業も低下してきています。どちらも伸びが鈍化してきているということが現れてきています。ちなみに今回の結果にはBrexitの影響は含まれていません。一方、中小企業の方も落ち込みがきつく、0を下回る状況になってきました。

 実績と予測値との差分を見ると、大企業製造業、非製造業ともに、一応上振れとなっています。前回かなり落ち込むと予想されていたものが、実際はそうではなかったということです。中小企業も数字の水準は低いものの、前回の予測値との比較では上振れました。今回、先行きは大企業製造業が6、非製造業が17となっているので、次回の短観でそれぞれ先行きの見通しを下回れば悪化が示されることになります。見通しを上回れば傾向として上向きが続くことになるので注目しておきたいところです。設備投資は中小企業で変わらず落ち込みが見込まれる一方、大企業は6.2とプラスが見込まれマーケットは好感しましたが、次の短観ではどうなるか、Brexitの影響を含んでどう変化していくのか、確認していく必要があります。

 続いて景気ウォッチャー調査ですが、グラフでは右下がりに落ちてきています。2012年末、ちょうど当時の民主党野田総理と自民党安倍総裁が解散をめぐって党首討論をしていた頃ですが、アベノミクス前の水準近くまで戻ってきてしまっているのです。さらに先行き判断DIも同じように落ち込んできています。こちらのデータは時期的にBrexitの影響も含まれていますが、それに加えてインバウンドの消費でお金があまり落ちなくなってきていることや、円高の影響を気にしているということもアンケートで表れています。街角景気が回復しないことには消費は盛り上がらないわけで、どうなっていくか注意しておきましょう。

 また内訳を見ると、企業関連と家計に加えて雇用も悪化しています。雇用は前回景気判断の分かれ目となる50を超えていましたが、今回は42.7まで大きく落ちています。企業や家計ももともと50は割っていましたが、そこから今回はそれぞれ5ポイント、6.8ポイントのマイナスとなっています。全体的に景況感に対する見通しが暗くなってきていることがわかりますので要注意です。

 さらに5月の機械受注ですが、こちらも低水準が続いています。機械受注という統計は、船舶、電力や携帯電話などの一部の設備は除かれてはいますが、大型の設備投資がなかなか増えないということで、企業の慎重姿勢が続いていると言わざるを得ません。経済対策が待たれるところです。

 鉱工業指数も生産は予想に反してマイナスとなり、在庫との差がワニの口のようにさらに広がりつつあります。こうなると生産の停滞が心配され、製造業の業績への悪影響も出てくるかと注目されることになります。ただ、一つ朗報なのは製造工業生産予測調査です。翌月予測、当月見込、実績の数字がある中で、翌月予測と当月見込がグラフのように上振れしてきているのです。こうした結果からは落ち込みをすぐに回復できるという見方もできます。この通りになれば、年後半に向けての企業活動は活発になるかもしれないと期待が持てる一面です。

 また、雇用の統計は失業率、有効求人倍率ともに良い水準に達してきています。過去を遡るとバブルの頃、1990年ごろの有効求人倍率は1.5倍を超えているような状況でした。新規求人倍率もバブル全盛の頃は2倍以上になっていました。そして現在、新規求人倍率は2.09倍となり、その水準近くに達しています。もしバブル期の水準を上回ってくることになればすごいことです。バブルのピークを抜けるかどうかはわかりませんが、国内の求人状況としては、一人当たり2倍の求人倍率があるという状況なのです。希望の職種があるかどうかは別問題にはなりますが、雇用自体は改善してきているというわけです。ただし、最新の6月景気ウォッチャー調査では、雇用の部門も大きく落ち込んでいるので、これが今後の雇用統計に反映されるのか、単なるBrexitの影響で終わるのか、次のデータ、さらに翌月のデータの注目ポイントとなります。

 5月の消費者物価指数は前年比-0.4%となりました。しかしこのグラフは2010年の平均を100としたもので、今回の数字は103となります。前年比とは比較する対象が異なるので印象も大きく違うわけですが、まさに別の角度から見ているわけで、グラフではレンジの動きのように見えます。過去、原油価格が大幅に上昇した2008年の上昇と比べ、ここ数年の動きは一定の水準を動いていてレンジ相場に入っているという形です。

 もちろん東京都区部では6月の前年同月比が-0.5%となるなど、物価の指標は大きく落ち込んでいると言えるものの、グラフの動きからはこのレンジを上抜けることになれば、物価は上振れる可能性があります。同様にレンジを下抜ければ、逆にデフレマインドが高まってくると考えられるのです。日銀がなかなか動かない一つの理由は、この消費者物価が、前年、前月との比較で見るのではなく、このようにある一時期を基準にした指数を使って、「傾向として」どうなっているのかを見ている可能性があるのです。黒田総裁が動かないのはこうしたことが影響しているのかもしれないのです。このグラフが落ち込むようなことになれば、動かざるを得なくなるだろうと思われるので、このように傾向を見る見方も参考になると思います。

 小売業販売額を見ると、インバウンドの影響か百貨店の落ち込みが傾向として目立っています。スーパー、コンビニも多少落ちてきています。百貨店の業績はそれほど悪くはないものの、百貨店株の動きが冴えないのは、売り上げの伸びがないというところを投資家は見ているのでしょう。投資先を選別する際にもこうしたところに着目しておくと良いでしょう。

低下を続ける金利 金融マーケットへのマイナス金利の影響は?

 最後に金利動向ですが、長期金利はどんどんと落ちてきていて、過去最低を更新となっています。日銀がマイナス金利を導入したことがきっかけとなり、金利がどんどん低下し、国債は償還の時にはマイナスになるにも関わらずそれでも多くの人が買っているというわけです。

 そうした状況は、実は株式市場にも少なからず影響をもたらしています。裁定取引、つまり鞘取りの取引は、例えば割安になった現物株を買い、割高になった先物を売ります。最終決済日には同じ価格になって終わるので、二つの価格が精算日には一つの価格になるわけです。開いているものが縮まることでその差分が取れるのです。皆が狙っているわけなので、それほど差が開くケースは一日の取引の中でそれほど多くはありません。

 先高期待がある時には、レバレッジを効かせて先物を買い、現物を後から買うなどの取引をすることで、先物の方が先に上がっていくことがあります。その場合は先物が割高、現物が割安となり、鞘が広がって裁定取引が行えるということです。その時には片方だけ取引をし、裁定残を積み上げ、最終売買日に精算の取引をする、これがSQと言われる精算日です。先物が割高かどうかは単純な現物価格との比較で決まるのではなく、先物には理論価格というものが存在します。現物の価格に対し、配当分を差し引き、さらに調達コストを上乗せしたものが理論価格となるのです。

 その調達コストは期限までの残存日数を365日で割り、それに金利を掛けることで求めます。つまり、短期金利もマイナスになっている現在、先物の理論価格は現物価格よりも低くなってしまうわけなのです。2月16日に金利がマイナスになってから、逆ざやが顕著になってきたのはこうした理由からなのです。先物と現物の価格差がちぢまり、さらには逆ざやになるということが実際にすでに起きており、このことから、裁定残はあまり積み上がらないと思われます。さらに逆ざやの状態が続くと、割高となった現物株を売り、割安となった先物を買うというポジションが積み上がります。それにより、株価が上がる時には先物を売り、現物を買い戻すことになり、株価上昇時には先物が頭を抑え、上値の重たさにつながる可能性があると言えます。

 マイナス金利の影響は株の裁定取引にも広がっていて、金利が下がり続ければ逆ざやも拡大し、割安な先物を買った解消の取引が株価の頭を抑えることにもつながるのです。もちろん現物を買うことにもなるので下げにくくはなるものの、株価上昇は抑えられてしまうという痛し痒しの状況が想定されます。とは言え、理論価格だけの話なので、業績自体がよくなれば現物主導で株価が上がることも期待できます。投資のポイントとしては、こうした場合、ETFを買うよりは個別株を買ったほうが高パフォーマンスになる可能性があるので、銘柄選びが一段と重要になってくると思います。

講師紹介

ビジネス・ブレークスルー大学
資産形成力養成講座 講師
株式会社インベストラスト 代表取締役
IFTA国際検定テクニカルアナリスト
福永 博之
7月13日撮影のコンテンツを一部抜粋してご紹介しております。
詳しくはこちら

資産形成力養成講座 加藤

 乱高下するマーケット。仕事と同じように戦略や戦術を考えずに結果は出ません。資産運用は、株式・債券・為替・コモディティ・不動産など多岐に渡り、世界中に金融商品は存在します。総合的な理解や考え方が求められます。世界標準の資産運用を学び、第一歩を踏み出してください!

【キャンペーン】基本コースが4万円OFF!他 7月26日(火)15時まで

【無料説明会】東京(7/21、8/23)、オンライン(8/4)、大阪・仙台・愛媛で開催!

【無料メールセミナー】グラフで分かる日本経済! 登録無料!

資産形成力養成講座では、Facebookページでも金融にまつわる最新ニュースなどご紹介しております。ぜひこちらもチェックしてください。

 「資産運用を日本の国技に!」「世界最適運用で世界標準の5%~10%の利回りを目指せ!」大前研一学長の掛け声のもと、2006年にスタートした資産形成力養成講座。5000名を超える受講生が学んできました。

 金融機関など他人任せにするのではなく自ら設計することで、手数料などを考えると2%程度の利回りの差になることも多々あります。毎年2%の差は、例えば500万円運用している人にとって、10年で100万円以上の差になって現れます。欧米では学校教育で「お金」について学ぶ機会がありますが、日本ではほとんどありません。みなさんも、世界のお金の流れを学び、リターンを実現できる資産形成力を高めませんか?

 来週のメルマガはお休みとなります。それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!