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2016.9.28(水)

影響が計り知れないドイツ銀行破綻は起こるのか?(大前研一)

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影響が計り知れないドイツ銀行破綻は起こるのか?(大前研一)2016/09/28(水)


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今回のテーマ

影響が計り知れないドイツ銀行破綻は起こるのか?(大前研一)

【ドイツ】メルケル氏の選挙に向けた大きな不安要素

 ドイツのメルケル首相は19日、混乱を招いた自らの難民政策について、できることなら何年も時計の針を戻し、準備不足だった去年夏以降の出来事をやり直したいと語りました。メルケル氏率いる与党キリスト教民主同盟は、18日のベルリン市議会選で議席を減らすなど、地方選での敗北が続いています。来年秋の総選挙への影響を最小限に抑えるため、歩み寄る姿勢を示したとみられます。

 メルケル氏は初めて、もしできるなら時計の針を1年半戻したいと言いました。それ行けドンドンとここまで来たメルケル氏にとっては、非常に悔しいことだろうと思います。あまりにも敗北が続いていて、それが彼女自身に向けられているということは、彼女もわかっているのでしょう。難民政策については、今までのように基本的には受け入れるとしていて、この姿勢を崩したわけではありません。ただやり方があまりにも混乱していたので、そこをできることならやり直したいということです。

 ドイツの難民申請件数の推移を見ると、月に何万件も来ていることがわかります。こうしたことから、できることならもう少し冷静に、きちんとしたルールを作ってやり直したいという意味なのでしょう。非常に難しい状況なのです。

 一方でドイツは今人手不足なので、産業界は難民については割と好意的に見ています。しかし一般の人の間では、あちこちで事件や問題を難民が起こしているという、ポピュリストの考え方が勝つのです。メルケル氏のように、全体から考えれば吸収できる範囲だという冷静な考え方は支持されなくなっているのです。投票とはそういうもので、ポピュリストが勝つという局面に、もはやなっているのです。来年は彼女自身の選挙もあり、このことが今非常に大きな不安要因になってきているわけなのです。

 しかしドイツでは、メルケル氏以外に誰か適当なリーダーが現れてきているかと言うと、思いつかない状況なので、国民はこのようにメルケル氏の態度が少し変化すれば、また支持しようという気持ちが残っているのではないかと思います。

 また、ドイツ連銀のワイトマン総裁は19日、イギリスがEEA(欧州経済地域)の構成国でなくなれば、イギリスに本拠を置く金融機関は、パスポート制度の適用も失うとの考えを示しました。この制度は、EU加盟国内で金融業の免許を相互利用できるものですが、ワイトマン総裁は、パスポート制度は単一市場に結びつけられたものとの認識を示しました。

 イギリスにとってこれは非常に痛い指摘です。EU加盟国の一つで認可を取得した金融機関は、域内の他の国でも金融営業ができるというのがパスポート制度です。銀行業務と、金融商品の受注等の投資サービス業務、二つの領域のパスポートがあり、この二つによりイギリスがEUのメンバーであれば、イギリスの金融機関、あるいはイギリスに開設した日本やアメリカの金融機関も、ヨーロッパ各国で新たに金融免許を受けることなく業務をすることができるのです。

 今回のワイトマン総裁の発言は、これがなくなるという意味なのです。この発言はイギリスから見ると天変地異でしょう。これがなくなってしまうとイギリスに金融機関が来てくれなくなってしまい、シティーそのものが成り立たなくなるのです。イギリスにとってはとどめを刺されるほどの重要な問題で、非常に大きなショックが走っていると思います。

【ドイツ】影響が計り知れないドイツ銀行破綻は起こるのか?

 ハーバー・ビジネス・オンラインは9日、「高まるドイツ銀行破綻の懸念」と題する記事を掲載しました。これはドイツ政府が健全財政を維持している一方、金融関係の負債は銀行にそのまま押し付けている現状と指摘しています。ドイツ銀行は昨年、67億ユーロ、約7370億円の赤字を計上したほか、排ガス不正問題を起こしたフォルクスワーゲンの巨額賠償金も工面しなければならず、ドイツ銀行の問題は難民問題以上の危険をはらんでいるとしています。

 最近特にこうした関連の記事やテレビ番組が非常に不安なニュースを流すようになってきています。ただ、その実態がどうなっているのかははっきり分かっていません。リーマンショックの時のリーマンブラザーズ以上と言われていますが、そもそもドイツ銀行の方が規模がはるかに大きいわけです。

 ドイツ銀行が破綻した場合のドイツ経済、およびユーロ経済に与える影響は計り知れません。またドイツ銀行は南ヨーロッパの銀行や企業、政府に対してお金を貸しています。回収が非常に難しいところに貸し出しているわけで、そうした危険もはらんでいるといえます。

 ドイツ銀行の純損益の推移を見ると、半端ではない額の損失を出しています。セグメント別の税引き前利益では、ドイツ国内に貸しているコーポレート投資部門は良いものの、それ以外は非常に収益力が弱い上に、過去に貸し込みすぎていて、本当の意味で整理をしていないという状況です。

 ドイツにはコメルツ銀行など、これまでにもいくつかトラブルになったところがありますが、今回の場合はみんなが問題を指摘する一方、ドイツ政府が何も言わないというところが不安の種になっています。ドイツ経済は国としては健全ですが、ドイツ銀行の動向からもドイツ経済の先行きを注視していきたいと思います。

【米国】銀行大手のウェルズ・ファーゴから出た不信

 アメリカ消費者金融保護局は8日、銀行大手のウェルズ・ファーゴで、顧客に無断で預金口座を開設する等の違法行為が横行していたとして、ウェルズ・ファーゴが罰金など1億9000万ドル、約195億円を支払うことで合意したと発表しました。

 この銀行は地域密着型の経営で知られ、ウォーレン・バフェット氏など株式市場からも高い評価を得ていましたが、近年は収益拡大策として、一人の顧客に複数の商品やサービスを提供するクロス営業を推し進めており、営業や報酬体制、法令遵守のあり方が問われそうです。

 結局、お客さんに無断で、一人の人に二つ目の口座を勝手に作ってしまい、そこにお金を移すときの口座間振り替え手数料を抜くということをしていたのです。顧客が全く知らないところで少しずつ抜いていたわけです。業績の評価が、そのようにしていかにクロスセリングをしたかというところなので、勝手に口座を作り、暗証番号も控えておけばその後も自由に操作ができるということで、多くの行員が手を染めてしまったわけです。

 それにしても5300人が解雇されるというのは驚きです。今回JPモルガン・チェースに時価総額全米首位を奪われましたが、リーマンショックの後、圧倒的トップであったウェルズ・ファーゴで、このような非常に初歩的な行員の不正が蔓延していたということで、アメリカの銀行はどうなってしまったのかと思います。時価総額でも圧倒的に大きかったのは徒花であったということです。

 ウェルズ・ファーゴに関しては、私のアメリカの友人たちも今まで悪いことを言ったことはありません。地域密着、顧客密着で、都市銀行のような派手さはないものの、信頼されている銀行ナンバーワンだったのです。それだけにこの驚きは非常に大きく、アメリカの人たちもおそらくまさかという印象を持っていると思います。

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