しかしトランプ氏はドイツの事には全く触れず、中国と日本をいつも対象にしています。またメキシコについても厳しく批判していますが、NAFTAにはカナダも含まれます。カナダとの間には塀を作るのかということになりますが、カナダについても失念しているようです。NAFTAにカナダが入っているということが、彼の頭の中には無いのです。
一方、サービス収支を見ると、一位が中国、そしてカナダ、ブラジル、日本と続きます。これはアメリカにとってプラスの順なので、この点と相殺して考える必要があるのです。物の収支だけの問題では無いのです。
ニューズウィーク誌の記事でも、事業を息子に譲って退くことができるのかと書かれています。頼っているイヴァンカとその夫はホワイトハウスに入り、自身の二人の息子たちに事業を引き継ぐとしていて、フィリピンのトランプタワーの建設など、息子たちが出向いているようですが、こうしたものが世界中に何十もあるのです。実際にコンフリクトがないのか懸念されています。
さらに、最近ワシントンDCのホワイトハウスの側に新しいトランプタワーができました。外国からの要人が来た時に、一行がそこに泊まるとなると、それは贈収賄になるのではないかと指摘され、彼は急に、そのお金を国に返すなどと言い出しているのです。本当に事業を人に渡すと言うならば、トランプタワーでなく、別の名前にすればいいのです。結果的にこうした場所をプロモーションに使うことはやはり贈賄になるということで、国にお金を返すと言うものの、どうするのか疑問に思われます。
また、通商政策については、やはり彼のやり方はマイナスになります。アメリカは自由貿易協定NAFTAがあるカナダとメキシコはほどほどに使っていて、それによりコスト競争力が出ているのです。それらを無理にアメリカに持ってくることで、アメリカ企業の競争力が削がれることにつながります。
トヨタは5年で1.1兆円の投資をすると言っていますが、これはトヨタにとっては誤差の範囲です。トヨタはメキシコ工場を止めるわけでもありません。そして、トランプ氏が間違っている点は、実は非難されたカローラはカナダで作っているのです。それをメキシコのグアナファト州で作ろうとしているわけです。
さらにバハで作ると発言しましたが、実際にバハで作っているのはタコマであり、トランプ氏の頭は全くクリアではないのです。アマゾンも10万人の雇用と言っていますが、倉庫と配送人ばかりだということです。今回の通商政策は、幼稚園レベルの認識に基づいて、ツイッターで命令をしていると言えるのです。
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