アメリカトランプ大統領にも、ポジティブなところ、ネガティブなところ、いろいろあるかと思います。ポジティブなところとして、マーケットが最も期待しているのが大幅な減税です。何よりも法人税減税の場合、上場企業のEPS、1株当たり利益は税引き後の話なので、税金を減らしてくれれば企業は全く同じことをしていても利益が増えてしまうのです。その面でいうと、10%から20%減税されれば、そのまま10%から20%株が上がっても良いわけです。同じPERであればEPSがそれだけ増えるわけなので、その株が上がるということになり、この部分は非常にポジティブだと思います。
次にポジティブな点は、大規模なインフラ投資です。実はこれがトランプ大統領でなくヒラリー氏が大統領になっていても、ある程度やっただろうと思います。アメリカはやらざるを得なかったのです。財政再建ということでこれまでインフラ投資ができていなかったので、昔作ったものをだましだまし使用しており、古くなっているインフラが多いのです。それをなんとかしなくてはならないので、もともとインフラ投資はあったはずなのです。
ただそれをトランプ大統領は声高に主張するので、やはりマーケットにも効果が出ています。非常に無駄と思われるようなメキシコ国境の壁も、実際に作れば万里の長城のように数千キロに及びます。本気かわかりませんが作ってしまえば無駄に多くのお金がかかります。建設機械や労働力も必要になるでしょう。ただ、働くのはアメリカ人なのかというとメキシコ人のような気もします。
このような大規模なインフラ投資の中で今後の注目としては、鉄道の分野です。新幹線について先日安倍首相が訪米した際、トランプ大統領から新幹線技術の話が出てきているので、鉄道網が日本ほど大きくは無いアメリカでは今後、高速鉄道、新幹線という話は出てくると思います。今のところ世界中で見ると、中国が日本の新幹線やTGV等を作らせたときに技術を真似て、それを世界に輸出しているという状況があります。日本の新幹線のように見えるものを提案している状況です。しかしこれが世界各国で安全に動いていないのです。もともとコピーで作ったものなので技術がそこまでついていかないのです。
特に高速鉄道に関しては安全面の配慮が必要です。さすがに時速300キロで走っていると、何か起これば乗客全員が亡くなってしまう大事故につながりかねません。日本でも時速100キロの電車で事故がありましたが、それでも大惨事になったわけです。時速300キロの新幹線では被害は計り知れません。やはり今のところ大きな事故のない、安全な日本の新幹線が採用される可能性は高いと思います。その他、建設機械関連の銘柄や、アメリカに工場を持つセメント関連の銘柄などが注目になってくると思います。
また規制緩和については、やはり金融機関がメインです。リーマンショック後、自己投資や様々なものに対してかなりの規制をかけられてきました。自由にさせるとろくでもないことをするので、規制して危険度を減らそうというのがこれまでの流れでした。ただ行き過ぎた規制は企業の活力を失わせることになるので、トランプ大統領がそれを緩和して景気を良くしていこうというわけです。
日本の金融株もアメリカの金融株も上がっているのは、この規制緩和への期待が大きいからです。トランプ大統領自体は元ビジネスマンなので、どうも自分が儲かるような政策をやろうとしているようです。本来トランプ大統領を支持しているのは昔ながらの労働者の人たちですが、やろうとしていることはお金持ちで企業家が儲かる政策だということです。
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