イギリスのBBCは、同じアルバムの最初の曲を変えただけで、中身は全部同じだったのではないかという言い方をしていました。私も、やはりこの人は当たり前の人間になると非常にパワーが弱まると思いました。何のためにこの人は大統領になったのかという部分、私はそこには反対ですが、その部分がどこかに吹っ飛んでしまうのだと思いました。
また、インフラ投資を1兆ドルやるということを言いましたが、実はそこには10年間という言葉が入っているのです。ということは1年で10兆円です。アメリカのGDPから見たら、日本のヘリコプターマネーと比較すると相当小さいものです。
アメリカのインフラの傷み方は半端ではないので、その程度なのかという印象です。数字だけを聞いていると大きな投資との印象を受けた人もいると思いますが、私に言わせると、10年で割ってみれば大した事はなく、日本のレベルよりも低いくらいなのです。その一方、軍事に関しては大きな増額になります。
今回の演説のポイントを挙げると、TPPの離脱など、今まで言ってきたことばかりです。それ以外は人畜無害な、NATOを支持することなど、選挙期間中と違うことを言っている状況です。選挙期間中と同様のことを言っていたのは、メキシコとの間に壁を作ることや、オバマケアの撤廃などです。
オバマケアについては、その後オバマケアの問題点がたくさん出てきているのは確かです。保険料が非常に高くなった層が結構多いのです。しかし、オバマケアを撤廃するというよりも、問題を修正することによって良くなると思うので、オバマを否定してオバマケアは全てアウトだとする必要もないと思います。
今回は、当たり前のトランプ大統領はこんなに特徴がないのかということでしたが、どちらかというと、金持ち優遇という部分は如実に出てきています。法人税や所得税を下げることなどです。ただ、総じて私は塩のきいてないスープのような感じになってしまった気がしました。
一方、これによって喜んだのがウォール街です。何しろドッド・フランク法という、リーマンショックの後導入された規制を撤廃することになるからです。またエネルギーについては、CO2などくそくらえという姿勢です。化石燃料やエネルギー産業にとってもプラスで、特にアメリカはそういう産業が多いので、大きなプラスになります。
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