フランス大統領選の決戦投票が7日行われ、中道系独立候補のエマニュエル・マクロン氏が勝利しました。得票率は66.1%で、ルペン氏を大きく上回る過去3番目の大差となりましたが、投票率は74.6%と1969年以来の低水準で、投票を棄権したか無効票を投じた有権者も全体の3分の1に上ったということです。
マクロン氏はフランス歴史上最年少の大統領ということですが、その奥さんはもしかしたら最高齢かもしれない64歳という変わり種です。歴史上、その次に若い大統領は40歳で、なんとナポレオン3世とずいぶん昔のことになります。今回、マクロン氏が選ばれるという事はなかなか想像がつきませんでした。二大政党がぶっ飛んでしまい、政党としては国民戦線と、このマクロン氏個人の戦いとなりました。
そして、今度はフランス総選挙があります。マクロン氏はそこに候補者を立てなければなりません。これまで政党がなかったわけなので、東京都の小池氏の都民ファーストの会と同じように、これからその政党を作ることになります。
その政党の名前がなんと共和国前進党、前進する共和国というものです。全国で577の選挙区がありますが、そのうちの428の選挙区で、一部に政治家はいるものの、ほとんど素人が候補者となっています。その内もっとも有名な人はフィールズ賞をとった40代の数学者です。しかも428の選挙区に男性と女性を同数出しています。これが与党になるマクロン氏の共和国前進党です。これがどの程度票を伸ばすのか注目されています。
ただ、多くの国民は実はしらけてしまっています。つまりルペン氏には票を入れたくないという人がマクロン氏側にいっただけで、投票しない人や白票を投じた人も多かったのです。結局自分たちで選んでおきながら、マクロン氏は何なのか、実はあまり知られていないということなのです。これから先フランスは支持者がいないという前途多難な状況に陥ってしまうのです。
そんな中、私が個人的に非常に嬉しいと思うのは、ドイツと結ぶということです。ドイツと手を取り合って EUを守っていくということをはっきりと表明し、メルケル首相も大喜びで、この二国ががっちり結びついている限りEUは大丈夫だろうと思われます。しかしながら、フランスはものすごく官僚が強い国で、自由主義経済とは程遠いところもあります。これから先、経済を建て直していくことはかなり大変だろうと思います。
オランド政権は今になってみると停滞の5年だと言われ、かなりマイナスに評価されています。マクロン氏がいかにビジネス経験があると言っても、予算には限りがあり、巨大予算を組むわけにもいかないでしょう。それによりドイツとの仲が悪くなることも考えられ、前途は多難だろうと思います。
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