イギリス紙テレグラフが報じたところによると、フランス国民戦線のルペン党首が、EU離脱とフラン復活を目指す考えを見直すことが明らかになりました。国民議会選挙を6月に控え、党是である反EUのスタンスについて議論を開始しました。予算や銀行規制の制御がもっと自国でできるよう、EU条約に関する再交渉を行うことを党の方針にするということです。
ルペン氏はほとんど立ち直れていない状況ですが、少なくともEU離脱とフランを復活するという事は取り下げて、基本的には愛国主義だけで行くというところまで来たということです。これは当たり前だと思います。
一方、マクロン大統領は、この一週間で信じられないほどの進歩を遂げました。NATOの会議からG7まで、最も人気があったのはこのマクロン氏だったのです。NATOで一番新しい国家元首はマクロン氏でしたが、NATOの昔からのメンバーがやってくるときに、フランス国歌が流れ、彼が反対側から登場するという、ものすごい演出をやってくれました。フランス人から見たらこれはうれしくてしょうがないことです。
また、マクロン氏は投資銀行にいたので、フランス人にしては英語がものすごくうまいわけです。そこら中の人とやりとりをすることができました。そしてG7でも目立ちました。例えばカナダのトルドー首相はとても人気がありますが、彼とマクロン大統領、2人の若いイケメンが並び、周りにはバラがあり、すごく良い印象となりました。フランスはすでに100年前からこの人が大統領だったかのようなムードになってしまったのです。
一方、今度の6月の総選挙は2回行われますが、なんと550ほどの議席に対し、428人を候補者にし、マジョリティーを狙おうということをやっています。彼の共和国前進というのは今回新しく作った党で、全員が新しい候補者なのです。それが今のところ、世論調査では300議席ほどを確保すると言われているのです。
428人の候補のうち、300人以上が通ってしまい、結局は過半数となり、連立を組む必要もないという見通しなのです。フランスのテレビを見ているとこのマクロン大統領を褒めちぎっています。選挙の前にあれほど一方の候補を褒めちぎるというのはどうかと思いますが、たまたまNATOとG7があったのでこういうことになったのでしょう。
あと2週間で結果が分かるわけですが、マクロン大統領は与党でマジョリティーとなれば、やりたいことが結構できるわけです。しかも、小池新党ではないですが、本当に300議席まで行ってしまったら、ゼロから政党を作り、共和国前身としてマジョリティーを取ってしまったいうことで、フランスの歴史にもないことです。もともとあった政党はどこへ行ってしまうのかという状況です。
マクロン氏は今のところ期待でもっていますが、少なくとも今回の外交は、選挙運動のどれよりも良かったということです。フランスのテレビではここまで褒めて良いのかと言うほど、みんなが喜んでいるのが分かります。やはり英語がうまく、交渉力のある人で、さらにパーティーの様子などを見ていると2分ずついろいろな人と話し、パーティーに慣れている人だとわかります。
日本の安倍首相のように周りの様子を伺って何とかやっているというのとは違います。たくさんの人と少しずつ話すマクロン氏は、やはりテレビ映りが良いのです。そしてほとんどの人は「マクロンと話をしたが、あいつは優秀な奴だ」という印象を持ったのです。
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