それまで売り込んできた投資家が買い戻すために値上がりし、それを見た他の投資家が金は強いと思って買い増すためだと思われる。つまり、6月14日のFOMCで利上げが行われれば、その後の金価格は上昇傾向になるのではないかと想像できる。
金価格を動かす今後の地政学的リスクは、一つは7月17日のギリシャ国債の償還資金の問題であろう。これは6月15日の欧州財務相会議で資金支援が決定されれば、リスクは解消する。
欧州共同体のリスクは、オランダやフランスの選挙がEU支持派の勝利により、懸念されていたポピュリズムによるBREXITに続くEU離脱国の出現は、当面なさそうである。イタリアでは五つ星運動がEU離脱を主張しているが、総選挙で過半数を握ることは無いと想定されている。
残る問題は三つ。一つは、9月のメルケル首相の総選挙であり、EUをけん引してきた彼女が舞台から降りるようなことがあれば、EUの屋台骨は揺らぐ可能性がある。もう一つはスペインのカタルーニャの独立運動である。今すぐ独立することはなさそうであるが、スペイン政府にとっては頭の痛い問題であり続けるだろう。
最後に英国は、アイルランドの少数政党と連立を組まざるを得なくなった保守党の交渉力が弱まり、EUからの離脱がかなり英国に不利な条件となる可能性がある。EUへの支払い問題、FTP交渉の遅延など、EUは第二の脱EU国が出ないように英国に厳しく当たるだろう。これは一層のポンド安を招くだろう。
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