グローバル・マネー・ジャーナル

2017.7.5(水)

BREXIT問題は進んでいくのか?(大前研一)

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BREXIT問題は進んでいくのか?(大前研一)2017/07/05(水)


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今回のテーマ

BREXIT問題は進んでいくのか?(大前研一)

【英国】EU離脱問題は進んでいくのか?

 日経新聞は先月21日、「イギリスEU離脱、強行封印」と題する記事を掲載しました。イギリス議会開会に際し、エリザベス女王が読み上げた施政方針では、EU離脱の具体策にほとんど触れませんでした。また与党保守党とアイルランド民主統一党との閣外協力の協議も遅れており、依然として政権の枠組み見通しが立たない異例の事態で、離脱の道のりは不透明さが増しています。

 エリザベス女王が議会開会の時に、首相が草稿した施政方針演説を読むのが通例です。それによって権威がつくのです。その時には通常王冠をかぶってやるわけですが、エリザベス女王はテレサ・メイに対し、いい加減にしろと思ったようで、なんと王冠をかぶらずにブルーの帽子をかぶり、ブルーの服を着て演説を行ったのです。

 星を2つつけ、EUを示すような格好で行ったわけです。この点はかなりの当てつけなのではないかという印象です。しかも、内容も肝心な事は何も書かれておらず、非常に不評を被ったのです。

 北アイルランドのDUP民主統一党との閣外協力はかろうじてやりましたが、これはお金で買ってしまったということです。2年間で15億ポンドを拠出するとしています。しかもDUPは必ずしも今のテレサ・メイと同じような考え方ではありません。北アイルランドとの関係から言うと、ほとんど火薬庫のような危険さがあります。今後EU離脱となれば、アイルランドの国境線で検問が始まることになり、誰も賛成しないだろうと思われます。

  施政方針演説の概要を見ると、EU離脱の実行について多くの法律を作らなくてはならないことがわかります。全部あげれば2万もの法律を作らなければいけないと言われています。他にも経済強靭化、社会の公正化、社会の安全・団結といったことが述べられていて、国を作り直すほどの大変広範な範囲のことを決めなければならないのです。おそらくハードブレグジットは無理だとして、ソフトなブレグジットにしたとしても、テレサ・メイは交渉の当事者としてふさわしくないという意見が、相当出てきている状況です。

 地域によって差はありますが、バーミンガムやミッドランドの辺りは、大きな打撃を被るところです。そして日産の工場のあるサンダーランドも、やはりEU離脱によって大陸に輸出するときに関税がかかることになります。今ちょうど日本とEUの交渉を進めていて、日本車は輸入すると10%チャージされますが、イギリスも同じようになってしまうわけです。

 つまりイギリスに工場を持っていてもEU圏に輸出する際には10%の関税がかかるというわけで、これではかなりしんどいものがあるのです。またリバプールの辺りもそうですが、こうしたところでは、やはりハードブレグジットに対しては、地元の産業が非常に大きな影響を受けるので、嫌だという主張が如実に出てきています。

 こうしたことから、イギリスの場合には同じ与党の中でもハモンド財務大臣に交代するべきではないかという議論が出ています。ハモンド氏の方が、テレサ・メイよりもヨーロッパとの関係は良く、財務相会議などにも出ているので、彼に任せたら良いということですが、いずれにしてもこの政権は1年も持たないと見られています。

 しかし1年後に政権を変えても、それから後9ヶ月しか残っていないのです。3月にリスボン条約に基づく離脱宣言をしてしまったので、猶予はそこから2年しかないのです。1年後に首相が変わった時は、その人は9ヶ月しか時間が無いわけなので、準備はほぼ不可能と言えるでしょう。

【ブラジル】大統領支持率7%も継続方向?

 日経新聞は先月29日、ブラジル大統領「テメル降ろし広がらず」と題する記事を掲載しました。食肉大手JBSに絡む収賄疑惑で起訴されたテメル大統領の支持率が、地元紙の調査で7%にまで下がっています。しかし、ブラジルで現役の大統領を刑事裁判にかけるには、下院で3分の2の承認が必要で、さらには経済界にもテメル氏の構造改革を評価する声が根強く、方向感が定まらない状況はブラジル経済の重荷になりそうです。

 モンゴルもそうですがブラジルも、前の大統領、その前の大統領、そして今の大統領いずれも汚職ということで、どうなっているのかという感じです。

 実は、ブラジル経済はそれほど悪くありません。ブラジルの通貨レアルの推移を見ると、レアル安のほうに大きく動いているわけでもなく、株価指数のボベスパ指数を見ても、大きく落ち込んでいるわけでもありません。基本的にブラジル経済は、このような大統領にもかかわらず、前二代の大統領の存在にもかかわらず、そこそこを保っているというわけです。

 したがって、このままキープしておけば良いのではないかということになり、テメル降ろしが全く進まないというわけなのです。日本の某防衛大臣や、某首相などにしても、都議選の結果を受けて自民党も少し反省するかもしれませんが、知らん顔をしていれば過ぎ去っていくという不思議な現象が、ブラジルでも、あるいは日本でも、起こっているということでしょう。

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 それでは、次回のグローバルマネー・ジャーナルもお楽しみに!